ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。こちらは番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加え、’20年からLP聴きも追加してECM本編とJAPOが終了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページとメインブログと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。

1371


Cosi Lontano...Quasi Dentro/Markus Stockhausen(Tp, Flh, Synth)/Gary Peacock(B)(ECM 1371) - Recorded March 1988. Fabrizio Ottaviucci(P), Zoro Babel(Ds) - 1. So Far... 2. ...Forward... 3. ...Late... 4. ...Across Bridges... 5. ...In Parallel... 6. ...Breaking... 7. ...Through... 8. ...Almost Inside...


超空間的双頭バンド。静寂の時間の方が長いフリーの世界なので、音数より間の方が気になるアルバム。全員作曲者に名を連ねているので、やはり全曲フリー・インプロヴィゼーションの世界か。禅問答ではないけれど、フェード・インしてフェード・アウトしていくような曲名。1曲目は前半ドラムスが中心で、その後他の楽器が漂う世界。高めの音域のベース・ソロが炸裂する2曲目、ゆったりと研ぎ澄まされたホーンが伸びる、間の3曲目、珍しくベースやホーンがリズミックで速めの展開の4曲目、ホーンが静かにメロディを奏でて、他のメンバーも緊張感のある5曲目、パルス的に音に反応していく、間のある6曲目、やはりスペーシーで研ぎ澄まされたサウンドの7曲目、静寂に近い中を各楽器がゆったりとソロをとっていく8曲目。

1370


Passio/Arvo Part(ECM New Series 1370) - Recorded March 1988. The Hilliard Ensemble: Michael George(Bass), John Potter(Tenor), Lynne Dawson(Soprano), David James(Countertenor), Rogers Covey-Crump(Tenor), Gordon Jones(Baritone), Elizabeth Layton(Vln), Melinda Maxwell(Oboe), Elisabeth Wilson(Cello), Catherine Duckett(Basson), Christopher Bowers-Broadbent(Org), The Western Wind Chamber Choir, Poul Hillier(Cond) - 1. Passio Domini Nostri Jesu Christ Secundum Joannem


(02/08/03)邦題「ヨハネ受難曲」。70分台の大曲です。アルヴォ・ペルトは現代作曲家ですが、ここではもっと以前の音楽を聴いているような不思議な雰囲気になります。宗教的な題材だからなのか、沈んだ荘厳な雰囲気が全体を支配していて、派手になることなく、時間の流れに沿ってその雰囲気のまま進んでいく感じがあります。もちろん歌詞の方は聖書からとられているようなので、その意味は けっこう重いと思いますが。

1369


Der Mann In Fehrstuhl/The Man In The Elevator/Heiner Goebbels(P, Synth, Prog)(ECM 1369)(輸入盤) - Recorded March 1988. Arto Lindsay(Vo, G), Ernst Stotzner(Vo), Don Cherry(Vo, Tp, Doussn'Gouni), Fred Frith(G, B), Charles Hayward(Ds, Metal), George Lewis(Tb), Ned Rothenberg(Sax, Bcl), Heiner Muller(The Author) - 1. In Einem Alten Fahrstuhl/In An Old Elevator 2. Es Geht Um Einen Auftrag/It Concerns A Task 3. Funf Minuten Vor Der Zeit/Five Minutes Too Early 4. Drei Stufen Auf Einmal/Three Steps At A Time 5. No Taboleiro De Baiana 6. Ein Schneller Blick Auf Die Uhr/Quick Glance At My Watch 7. Allein Im Fahrstuhl/Alone In The Elevator 8. Wilde Spekulationen/Wild Speculations 9. Der Chef/The Boss 1-. Sein Selbstmord/His Suicide 11. Fita Nos Meus Olhos 12. Ich Verlasse Den Fahrstuhl/I Step From The Elevator 13. Ohne Auftrag/Without Any Task 14. Mitleid In Peru/Compassion In Peru 15. Trockener Schlamm Mit Fahrspuren/Caked Mud With Vehicle Tracks 16. Heimweh Nach Dem Fahrstuhl/Homesick For The Elevator 17. Kalter Schweiss/Cold Sweat 18. Etwas Wie Heiterkeit/Something Like Serenity 19. Diese Frau Ist Die Frau Eines Mannes/This Woman Is The Wife Of A Man 20. Auf Einem Grasuberwachsenen Bahndamm/On A Railway Embankment 21. Worin Besteht Mein Verbrechen/What Is My Crime


(03/09/02)Heiner Mullerの詞(詩?)に、基本的にはHeiner Goebbelsが曲をつけたもの。ジャズやアヴァンギャルドの世界では有名なミュージシャンが多く参加しています。出だしに詞の朗読の場面もありますが、ヴォーカルのあるロック風の演奏の場面が多くあって、そのサウンドはアヴァンギャルドな部分はあっても、親しみやすい方だと思います。42分の中に21曲が詰め込まれていて、しかも連続しているので、ロックの叙事詩を聴いているような雰囲気。いきなりビートが効いてノリノリになったかと思えば思索的な、あるいは先鋭的なサウンドになってみたりと、その表現は多彩。たまにジャズ的なフレーズが出てきますが、特にジャンルを限定せずに音楽 や歌を楽しむ(?)、というのが正しい聴き方かもしれません。

1368


Proensa/Paul Hillier(Voice)(ECM New Series 1368)(輸入盤) - Recorded February 1988. - Stephen Stubbs(Lute & Psaltery), Andrew Lawrence-King(Harp & Psaltery), Erin Headley(Vielle) - 1. Farai Un Vers 2. Reis Glorios 3. Aissi Cum Es Genser Pascors 4. L'autrier Una Sebissa 5. Be M'am Perdut 6. Can Vei La Lauzeta 7. Pos Tornatz Sui 8. Be.m Degra De Chantar


(03/11/18)南フランスのドルバドゥール歌曲、いわゆる11-13世紀頃の中世騎士世俗歌曲というものらしいです。現代に正確に再現できるものではないらしいけれども、ヴォイスや歌、そして古楽器を使って、当時の雰囲気を出しています。素朴な楽器の響き、そして素朴ではあるけれども、その憂いを帯びた力強い歌を聴くことができます。どちらかと言うと歌が主で、楽器は控えめな伴奏、または合いの手を入れる感じです。

1367


Aero/Masqualero(ECM 1367)(輸入盤) - Recorded November, 1987. Arild Andersen(B), Jon Christensen(Ds), Tore Brunborg(Ts, Ss), Nils Petter Molvaer(Tp), Frode Alnaes(G) - 1. Aero 2. Science 3. Venise 4. Printer 5. Balet 6. Return 7. Bee Gee


(03/08/14)Arild Andersenの曲が4曲とTore Brunborgの曲が3曲。比較的オーソドックスなクインテットの編成なのに出てくる音はECMサウンド。曲によってはけっこう過激にジャズしていますが。いきなり冷めていて浮遊感が漂っているタイトル曲の1曲目で、なるほど、と納得する演奏。やや激しい部分もあって、彼らにしてはジャジーな演奏の2曲目、ベースのソロではじまって、寒色系かなと思える絡み合うアンサンブルやソロが展開する3曲目、ちょっとハードなユニゾン中心のテーマをもち、ジャズが展開していく4曲目、持続音の上をパーカッションが淡々と続き、後半は曲らしい展開を見せる5曲目、ギターがハードながらメロディアスに聴かせてくれる心地良い6曲目、淡い感触でしっとりとしたメロディが紡ぎ出される7曲目。

1366


Private City/John Surman(Bcl, Recorders, Ss, Bs, Synth)(ECM 1366) - Recorded December 1987. - 1. Portrait Of A Romantic 2. On Hubbard's Hill 3. Not Love Perhaps 4. Levitation 5. Undernote 6. The Wanderer 7. Roundelay 8. The Wizard's Song


多重録音のソロ作品。1曲目と3曲目はバレエのために書かれた曲。ジャズ色はないですが、ECMらしい思索的な、深く、静かな曲も多いです。薄暮の憂いの中からバス・クラリネットのメロディが浮かび上がってくる、ヨーロッパ的哀愁を感じる1曲目、リコーダーで異国情緒を感じさせるようなサウンドの2曲目、やはり青系統のサウンドイメージのあるたゆたうような3曲目、バスクラリネットの多重録音が幻想的な4曲目、ソプラノサックス1本でスペイシーな世界の5曲目、ゆったりしていてクラシック的なアンサンブルもある哀愁路線の6曲目、ちょっと浮遊感をもたらしながらアンサンブルが心地良い7曲目、ミニマル的なアルペジオをバックに、高めの音域を中心にバリトン・サックスがメロディを奏でていく、盛り上がりのある8曲目。

1365


The Paul Bley Quartet(P)/John Surman(Ss, Bcl), Bill Frisell(G), Paul Motian(Ds)(ECM 1365) - Recorded November 1987. - 1. Interplay 2. Heat 3. After Dark 4. One In Four 5. Triste


同じメンバーでの第2作目。やっぱりこのメンバーならではの音。5曲中、ポール・ブレイ作は1、5曲目。前作に続き、静謐な、しかもものすごい緊張感の中での緊密なインタープレイが展開されます。時にハード。1曲目は何と20分もの曲で、確かにタイトル通り「インタープレイ」となっていますが、フリー的に、しかも均整のとれたサウンドでバランス良くドラマチックに展開していくさまは見事。立ち止まりそうになることもありながらその冷たい構成美。ジョン・サーマン作の、リズムのある程度ある中を時にメロディが舞い飛んでいる2曲目、ビル・フリゼール作の、ハードなギターと静謐さをブレンドして各楽器に展開していく3曲目、ポール・モチアン作の各パートが内面をえぐっていくような4曲目、美しいソロピアノで語りかける5曲目。

1364


De La Nuit ... Le Jour/Tamia(Voice)/Pierre Favre(Per)(ECM New Seires 1364)(輸入盤) - Recorded October 1987. - 1. Ballade 2. Wood Song 3. Maroua 4. De La Nuit ... Le Jour 5. Mit Sang Und Klang 6. Yemanja


(03/11/18)2人のどちらかのオリジナルまたは共作。ボーダーレスではありますが、New SeriesよりもECMでいいくらいの内容。パーカッションやメロディ楽器(キーボード?)の上を漂っていく、時にエキゾチックな、時に心に入り込み、時に突き刺さるヴォイスの構図。不思議な世界観。哀愁を誘うメロディの部分もあります。パーカッションも激しい部分は少ないけれど、個性的なサウンド。タイトル曲の4曲目はけっこう幽玄の世界。

1362


Johann Sebastian Bach/Das Wohltemperierte Klavier, Buch 1/Keith Jarrett(P)(ECM New Series 1362/63) - Recorded February 1987. - Praludien Und Fugen 1-12 BWV 846-857: 1-2. C-Dur 3-4. C-Moll 5-6. Cis-Dur 7-8. Cis-Moll 9-10. D-Dur 11-12. D-Moll 13-14. Es-Dur 15-16. Es/Dis-Moll 17-18. E-Dur 19-20. E-Moll 21-22. F-Dur 23-24. F-Moll Praludien Und Fugen 13-24 BWV 858-869: 25-26. Fis-Dur 27-28. Fis-Moll 29-30. G-Dur 31-32. G-Moll 33-34. As-Dur 35-36. Gis-Moll 37-38. A-Dur 39-40. A-Moll 41-42. B-Dur 43-44. B-Moll 45-46. H-Dur 47-48. H-Moll


邦題「J.S.バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻」。バッハは18世紀ドイツの有名な作曲家。ここではジャズのクラシック化でなくて、純粋にクラシックとしての演奏をしています。クラシック /バロックは私自身の評価軸がないためコメントがうまくできないのですが、聴いていて心が安らぎます。元々完成度のけっこう高い楽曲なので、人気が高いのもうなずけます。 不思議なのは楽譜どおりに弾いているのに、キースの音楽にも聴けること。

1360


Still Live/Keith Jarrett(P)(ECM 1360/61) - Recorded July 13 1986. Gary Peacock(B), Jack DeJohnette(Ds) - 1. My Funny Valentine 2. Autumn Leaves 3. When I Fall In Love 4. The Song Is You 5. Come Rain Or Come Shine 6. Late Lament 7. You And The Night And the Music, Extention 8. Intro, Someday My Prince Will Come 9. Billie's Bounce 10. I Remember Clifford


邦題「枯葉」。CD2枚組。だんだん曲のヴァリエーションも増えてきて、好みのスタンダードも多くなってきたので、特にこのアルバムは何度も聴いた一枚。1曲目は自然発生的なアルペジオから盛りあがってなだらかに引いていきます。これでもか、という感じの流麗かつ強引な、タイトル曲の2曲目、穏やかにしっとりと歌い上げる3曲目、16分もテンションが持続する4曲目、比較的オーソドックスなサウンドの5曲目、メロディアスに優しく語りかけてくる6曲目、前半はアップテンポのスタンダード、そして後半一転してオリジナルになる7曲目、厳かな オリジナルのイントロからおなじみの曲にスッと入って盛りあがる8曲目、これまたゴキゲンなジャズの9曲目。10曲目は静かな3分半ほどのバラードで幕を閉じます。(01年3月28日発売)

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