ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。こちらは番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加え、’20年からLP聴きも追加してECM本編とJAPOが終了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページとメインブログと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。

2017年01月

1011


Music From Two Basses/David Holland(B, Cello)/Barre Phillips(B)(ECM 1011) - Recorded February 15, 1971. - 1. Improvised Piece 1 2. Improvised Piece 2 3. Beans 4. Raindrops 5. Maybe I Can Sing It For You 6. Just A Whisper 7. Song For Clare


邦題は「ベーシック・ダイアローグ」。 2人のベーシストのみによるインプロヴィゼーションなので、当時ではかなり珍しいアルバム。最初の2曲が2人によるインプロヴィゼーションで、3曲目以降がそれぞれの作曲。ただしフリー・インプロヴィゼーションとの境界はあまりないような気がします。1-2曲目は通常のメロディのほかアルコ、ひっかく音、叩く音などさまざまな音も出して実験色もありますが、そんな中ではっとするような美しいメロディの部分も。それぞれの個性で聴くよりは2人の合わさったサウンドを追いかけていく感じ。ハーモニーの洪水の3曲目、タイトル通り雨が落ちる音のような4曲目、曲としてはまとまっている小品の5曲目、フリーに近い感覚の音の6曲目、ゆったりと伴奏とメロディに分かれて聴ける7曲目。(03年8月27日発売)

1010


Ballads/Paul Bley(P)(ECM 1010) - Recorded March and July 1967. Gary Peacock(B), Barry Altschul(Ds), Mark Levinson(B) - 1. Ending 2. Circles 3. So Hard It Hurts


1曲目がゲイリー・ピーコック(B)、バリー・アルトシュル(Ds)とのトリオで、2-3曲目がマーク・レビンソン(B)、バリー・アルトシュル(Ds)とのトリオ。すべてアーネット・ピーコックの曲ですが聴いた感じではフリー ジャズです。ECMがスタートする以前の録音なので、サウンドはちょっといつものECMと違う感じもします。1曲目は抑制の効いたフリー・ジャズという面持ちで、比較的静かに3人のコラボレーションが展開していきます。何と17分台の大曲 です。1曲目から、何と「エンディング」というタイトル。2曲目は3分弱の小品ながら、静かな緊張感。3曲目はテンションを維持しつつ冷ややかに、3人の語り合いが淡々と進行していきます。 これまた12分台の長い作品。フリーなので聴く人を選ぶかもしれません。(00年9月23日発売)

1009


A.R.C./Chick Corea(P)/Dave Holland(B)/Barry Altshul(Per)(ECM 1009) - Recorded January 11-13, 1971. - 1. Nefertitti 2. Ballad For Tillie 3. A.R.C. 4. Vadana 5. Thanatos 6. Games


当時のフリージャズの影響が強く見え隠れするアルバムで、正面から勝負をしている感じです。1曲目に「ネフェルティティ」。解体・再構築路線のソロピアノのイントロを経て、カッチリしたタイム感のトリオでの4ビートから曲が展開してフリーに突入して 、再びテーマに戻ります。2曲目は3者による作曲なので、おそらくフリー・インプロヴィゼーションの世界。短いテーマから徐々に発展していって、フリージャズの世界に入りこんでいくタイトル曲の3曲目。デイヴ・ホランド作の4曲目は、自由ながらも美しさを感じさせる出だしからフリーに展開していきます。ゆっくりとフェードインしてまたフェードアウトしていくゴリゴリのフリージャズの5曲目、やはり当時のフリージャズ度が高い6曲目。今なら聴く人を選ぶアルバムかも。

1008

Girl From Martinique/Robin Kenyatta(Fl, As, Per)(ECM 1008)(ストリーミング配信) - Recorded October 30, 1970. Wolfgang Dauner(Clavinet, P), Arild Andersen(B), Fred Braceful(Ds) - 1. Girl From Martinique 2. Blues For Your Mana 3. Thank You Jesus 4. We'll Be So Happy

(19/09/22)全曲Robin Kenyattaの作曲。欧州フリー的なサウンドで、電気楽器も聴こえつつ、フリージャズ、ブルースなどを演奏しています。「イパネマの娘」をもじったのではないとは思いますが、ある意味東洋的な感じもするような間を活かした静かで自由なバックで、幻想的なフルートを吹いて不思議なサウンドを醸し出しつつ後半は8ビートになる1曲目、ブルースというよりはロック的な8ビートサウンドでせまってきて、サックスも映えて、このサウンドの当時の新しさを物語っている2曲目、サックスと後半フルートを吹き、静かな演奏のバラードが心なしか敬虔な雰囲気もあって、ゆったりと進んでいって後半はビートも出てきて賑やかになる3曲目、やや時代を感じさせる音ですが、4曲の中で一番ポップな感じのある4曲目。

1007


Afric Pepperbird/Jan Garbarek(Ts, Bs, Cl, Fl, Per)(ECM 1007) - Recorded September 1970. Terje Rypdal(G, Bugle), Arild Andersen(B, etc.), Jon Christensen(Per) - 1. Skarabee 2. Mah-Jong 3. Beast Of Kmmodo 4. Blow Away Zone 5. MYB 6. Concentus 7. Afric Pepperbird 8. Blupp


今でもおなじみの4人の演奏ですが、ヤン・ガルバレクの音は、今に比べて、アヴァンギャルト(フリー)の要素が非常に強く、全然別人のサックスに聞こえます。 ただし、抑制は効いています。1曲目は、いわゆる静かなホーンの咆哮が聴ける当時のフリージャズとでも言うべき展開。2分弱の小品でベースを中心にギターが絡む2曲目、12分台の曲で一定のベースのリズムの上を飛び交うサックスとギターの3曲目、これぞゴリゴリのフリージャズというべき激しい展開の4曲目、ベースとサックスが中心の静かな小品の5曲目、ホーンの多重録音と思われるこれまた小品の6曲目、ソロも当時の雰囲気を出していてエキゾチックかつドラマチックなタイトル曲の7曲目。8曲目はスペイシーなドラムスの小品で幕を閉じます。

1006

Output/Wolfgang Dauner(P. Ringmodulator, Hohner Electra-clavinet)(ECM 1006)(ストリーミング配信) - Recorded September 15 and October 1, 1970. Fred Braceful(Per, Voice), Eberhard Weber(B, Cello, G) - 1. Mudations 2. Output 3. Bruch 4. Nothing To Declare 5. Abraxas 6. Brazing The High Sky Full

(19/09/22)全曲ウォルフガング・ダウナーの作曲ないしは共作。1曲目から落ち着いてはいるんだけど、電子楽器の絡んだある程度前衛的なサウンドでゆったりと進んでいきます。ベースもエバーハルト・ウェーバーで、ここではアルコ奏法ながら、個性的な味を見せてくれます。そこに時折り絡むヴォイス。ドラムスが入って、フリー的な電子音も加えながら、アヴァンギャルド的に進んでいくタイトル曲の2曲目、スペースの多い静かなやり取りが徐々にフリーで盛り上がる3曲目、ジャズロック的な8ビートで、少し時代を感じさせる音とノリの4曲目、エキゾチックなフレーズと何やら素朴なビートが絡んで、不思議な異国情緒的なものを味わいつつ進んでいく5曲目、ドラムスが淡々と進む中で、他の楽器が絡んでいく趣向の6曲目。

1005


The Music Improvisation Company/Derek Bailey(G)/Evan Parker(Ss)/Hugh Davis(Electro)/Jamie Muir(Per)/Christine Jeffrey(Vo)(ECM 1005) - Recorded August 25 and 27, 1970. - 1. Third Stream Boogaloo 2. Dragon Path 3. Packaged Eel 4. Untitled No.1 5. Untitled No.2 6. Tuck 7. Wolfgang Van Gangbang


全曲参加メンバーによるフリー・インプロヴィゼーション。クリスティン・ジェフリーは1、5曲目に参加。バリバリのフリー・ジャズでドシャメシャ的な部分もあるけれども、ある時はメロディと対極に位置するような非旋律が静かな場面から浮かび上がっては沈んでいき、ある時にはコラボレーションを形成している(非)音楽。ドラムスもベースもなくて、逆にElectro(シンセサイザーの元になるようなもの?)が入っているので独特なサウンドの感触があります。さすがにここまでイディオムならざるフリーを追求するのも頭が下がる思いですが、そのためにかなり聴く人を選ぶアルバムになっているような感じも。4-5曲目は「無題No.1-2」という曲なのですが、他のタイトルがある曲とどういう風に違いがあるのかを考えると難しい。(03年8月27日発売)

1004


Afternoon Of A Georgia Faun/Marion Brown(As, etc)(ECM 1004)(輸入盤) - Recorded August 1970. Anthony Braxton(As, Ss, Cl, Bcl, Fl, etc), Bennie Maupin(Ts, Afl, Bcl, etc), Chick Corea(P, etc), Andrew Cyrille(Per), Jeanne Lee(Vo, Per), Jack Gregg(B, Per), Gayle Palmore(Vo, P, Per), William Green(Per), Billy Malone(Ds), Larry Curtis(Per) - 1. Afternoon Of A Georgia Faun 2. Djinji's Corner


(00/09/10)全曲マリオン・ブラウンのオリジナル。当時のECMからすれば、大編成でしかもメンバーもスゴい。1曲目は厳かにパーカッションではじまって、日本的な間を感じさせるようなホーンが徐々に入ってくるフリージャズ。エコーが効いていて深遠なる咆哮。静かにピアノが入ってその後ホーンやヴォイスが合流していきます。あくまでもソロではなくて全体のサウンドバランスで聴かせていて、アグレッシヴさは陰をひそめています。全般的に内に秘める炎というような感じで内面にこもるフリージャズ。2曲目はこれに対して言わばオーソドックスなフリージャズ。ドシャメシャもありますが、爆発しっぱなしと いうわけではなくて、全体の統制はとれている感じです。ヴォイスが印象的。少しですが、時代を感じます。

1003


Paul Bley(P) With Gary Peacock(B)(ECM 1003) - Recorded April 13, 1963 and May 11, 1968. Paul Motian(Ds), Billy Elgart(Ds) - 1. Blues 2. Getting Started 3. When Will The Blues Leave 4. Long Ago And Far Away 5. Moor 6. Gary 7. Bigg Foot 8. Albert's Love Theme


’63年当時でオーネット・コールマンの曲を2曲取り上げている点や、スタンダードも1曲あります(4曲目)が普通のジャズのようでいて妙にフレーズが引っかかる点など、個性は当時から強いです。 他にポール・ブレイ、ゲイリー・ピーコックや、アーネット・ピーコック作の曲があります。音質重視のECMでは珍しく、2つのセッションの音が違います。ポール・モチアンは’63年録音の1-5曲目に参加。1、3曲目のオーネット・コールマンの曲は、当時なら新しいけどもこんなものかな、納得、という感じ。彼なりのリリシズムあふれる2曲目、当時としては進んでいたと思える演奏の5曲目。’68年録音の6-8曲目の方が、深みを帯び、凄みさえ感じさせます。そんな中で7曲目は比較的オーソドックスな展開。 (00年9月23日発売)

1002

Just Music(ECM 1002)(ストリーミング配信) - Recorded December 13, 1969. Alfred Harth(Ts, Cl, Bcl, Tp), Dieter Herrmann(Tb), Johanes Kramer(G), Franz Volhard(Cello), Thomas Stoward(Cello, Fl), Peter Stock(B), Thomas Cremer(Per, Cl) - 1. Stock-Vol-Hard 2+1 2. Jaust A Moment 2+2

(19/09/21)両方の曲ともにJust Music名義なので、フリー・インプロヴィゼーションかと思われます。ちょうどLP時代のA面1曲、B面1曲という収録でしょう。演奏を続けて録音して、タイトルは後からつけた感じもします。あまりドシャメシャなフリーではなく、静寂からはじまって、徐々にゆったりと盛り上がりつつ、それぞれの楽器が音を出して混沌とした世界に引き込んでいくイメージ。盛り上がったかと思うと静寂が再び訪れたりと、ある意味楽器の音と非イディオム系のインプロヴィゼーションと混ざった独特な音世界。ホーンの叫びというか咆哮もあって、なかなかにハードな世界を作り出しています。音の波やパルスなどの出るところ、引くところが絶妙で、静かな場面が目立ちます。2曲目の方が音的には賑やかになってます。

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