ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。こちらは番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加え、’20年からLP聴きも追加してECM本編とJAPOが終了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページとメインブログと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。

2017年03月

1086


Hymns/Spheres/Keith Jarrett(Org)(ECM 1086/87)(輸入盤) - Recorded September 1976. - 1. Hymn of Remembrance 2. Spheres (1st Movement) 3. Spheres (2nd Movement) 4. Spheres (3rd Movement) 5. Spheres (4th Movement) 6. Spheres (5th Movement) 7. Spheres (6th Movement) 8. Spheres (7th Movement) 9. Spheres (8th Movement) 10. Spheres (9th Movement) 11. Hymn of Release


(12/12/27)キース・ジャレットのパイプ・オルガン曲集で、CD2枚組。音の変化を聴くような流れるような曲もあるし、クラシック調の1曲目もあるし、と記譜されたものがあるのかどうかは不明。実はCDはECM 1302で上記のセレクションとして’85年に発売されたもののカットされた曲が多かったでした。ある修道院にある18世紀製作のバロック・オルガンを使用とのこと。ピアノのインプロヴィゼーションをオルガンに置き換えて、その響きをコントロールしているのは画期的かも。音の厚みが持続していき、そこに非常にゆったりとしたドラマが生まれてきます。ジャンルとしてはクラシックや現代音楽に近いものを感じますが、それもフリー・インプロヴィゼーションで、進んでいく物語に荘厳な、あるいは神聖なものを感じます。かなりゆったり。

(注)’85年に発売されたECM 1302の収録曲は以下の通り。Spheres/Keith Jarrett(Org)(ECM 1302) - Recorded September 1976. - 1. Spheres(1st Movement) 2. Spheres(4th Movement) 3. Spheres(7th Movement) 4. Spheres(9th Movement)

1085


The Survivor's Suite/Keith Jarrett(P, Ss, etc.)(ECM 1085) - Recorded April 1976. Dewey Redman(Ts, Per), Charlie Haden(B), Paul Motian(Ds, Per) - 1. The Survivor's Suite, Beginning 2. The Survivor's Suite, Conclusion


邦題「残氓」。インパルスに何枚も作品を残したアメリカン・クァルテットですが、なぜかECMにも作品を残しています。レーベルカラーを出しながらもこってりした雰囲気。曲は27分台の1曲目「発端」と21分台の「結末」の2曲のみ。キース・ジャレットの作曲。1曲目は、最初は笛やサックスの音が出てきて民族音楽色の強い静かな場面。キースのピアノが出てくるのは8分目あたりからで、こってりした中に土着性と哀愁の場面、あるいは逆に洗練されている場面が、盛り上がったり静かになったり、ドラマチックに展開していきます。2曲目はいきなり激しいフリーではじまり、5分目からサウンドがまとまって印象の強いメロディが浮かび上がります。15分から静かな場面になリ、やはりまた哀愁の世界へ。そしてラストで大団円。(02年9月19日発売)

1084


The Following Morning/Eberhard Weber(B)(ECM 1084)(輸入盤) - Recorded August 1976. Rainer Bruninghaus(P), Members of Philharmonic Orchestra, Oslo(Cello, French Horn and Oboe) - 1. T. On A White Horse 2. Moana 1 3. The Following Morning 4. Moana 2


(02/05/25)全曲エバーハルト・ウェーバーの作曲。ベースとピアノ、それにオーケストラの一部メンバーが参加していて、1曲目から、あの独特なエレクトリックを通したベース音が響いてきます。どの曲も10分前後。しっとり系のメロディで心の中に響いてくるような1曲目は、ピアノが、あるいはベースがメロディを奏でながら時おり見せるフレンチホルンやオーボエの表情が良い感じ。淡色系のイメージのサウンドで少しずつ表情を変えながら進行していく2曲目、重厚にたゆたう場面もあって哀愁度の高いメロディが時々刻み込まれていき、ゆったりと流れていく12分台のタイトル曲の3曲目。この曲と4曲目では普通のベース音も。4曲目では静かなサウンドをバックに、時にベースソロが漂い、ときに跳ねていく感じです。

1083


After The Rain/Terje Rypdal(G, P, Ss, Fl, etc)(ECM 1083) - Recorded August 1976. Inger Lise Rypdal(Vo) - 1. Autumn Breeze 2. Air 3. Now And Then 4. Wind 5. After The Rain 6. Kjare Maren 7. Little Bell 8. Vintage Year 9. Mutler 10. Like A Chile, Like A Song


彼の多重録音によるアルバム。曲によってインゲ・リセ・リピダル(Vo)も参加。全体的に静かな曲です。1曲目からその荘厳な雰囲気は伝わってきます。やはり厳かなキーボードをバックに繰り広げられる泣きのギターの2曲目、生ギターによるしっとりとしたメロディの3曲目、幽玄なフルート・ソロの小品の4曲目、薄いもやのかかった空間の中をギターによってその存在感を感じさせるような、タイトル曲の5曲目、ピアノとエレキギターとの語り合いの6曲目、エレキピアノとフルートの小品の7曲目、ピアノの上をエレキギターが空間を静かに刻んでいくような8曲目、ギターがとつとつと語りかけてくる9曲目。そしてノルウェー流というか、彼流の空間表現ともとれる10曲目。ヒーリングに近いものを感じます。(01年6月21日発売)

1082

Shimri/Arild Andersen(B)(ECM 1082)(この番号では未CD化、別番号でCDBOX発売) - Recorded October 1976. Juhani Aaltonen(Ts, Ss, Fl, Per), Lars Jansson(P), Pal Thowsen(Ds, Per) - 1. Shimri 2. No Tears 3. Ways Of Days 4. Wood Song 5. Vaggvisa For Hanna 6. Dedication

(19/09/24)5曲目がLars Jansson作曲で、4曲目が4人のインプロヴィゼーション、他の曲は全曲アリルド・アンデルセンの作曲。2人前作とはメンバーが替わっています。いかにも北欧ジャズらしい、美しいメロディと静けさが印象的でテンポがあまりないようなタイトル曲の1曲目、浮遊感のあるテーマのメロディやピアノのフレーズが乾いていて、スピリチュアルな感じもあるバラードから中盤8ビートでテンポが良くなるドラマチックな2曲目、少し陰影のあるフルートからはじまり、比較的静かにゆったりと進行する3曲目、空間を漂うような間が多い4曲目、自由に吹きまくるフルートとピアノのややメランコリックな対比がいい5曲目、スピリチュアルなサウンドの出だしから哀愁のあるバラードへ、中盤サックスが盛り上がる6曲目。

(注)Green In Blue/Arild Andersen(B) Early Quartets(ECM 2143-45)の3枚組BOXとして’10年に再発。初CD化

1081


Rubisa Patrol/Art Lande(P)(ECM 1081) - Recorded May 1976. Mark Isham(Tp, Flh, Ss), Bill Douglass(B, Fl, Bamboo Fl), Glenn Cronkhite(Ds, Per) - 1. Celestial Guests - Many Chinas 2. Jaimi's Birthday Song 3. Romany 4. Bulgarian Folk Tune 5. Corinthian Melodies 6. For Nancy 7. Kaimi's Birthday Song 8. A Monk In His Simple Room


2曲を除いてオリジナルで、全8曲中4曲がアート・ランディの曲。曲によってはいわゆる普通のクァルテット編成の曲もありますが、透明感の強いアルバムです。1曲目の中国民謡でビル・ダグラスはフルートも吹いて冒頭いきなり長いソロをとり、メドレーでマーク・アイシャムのゆったりとした硬質感のある曲に入っていきます。フルートとピアノのデュオで柔らかく聴かせる2曲目、硬く哀愁のあるメロディが聴くものの心にせまってくる3曲目、ブルガリア民謡のテンポが良い小品の4曲目、しっとりしたフレーズで語りかけてくるような5曲目、メロディアスでドラマチックに進んでいく6曲目、フルートとピアノでの淡々としつつインプロヴィゼーション色の強い7曲目、印象的なメロディで映画音楽的に包み込んでくる8曲目。

1080


Sargasso Sea/John Abercrombie(G)/Ralph Towner(G, P)(ECM 1080) - Recorded May 1976. - 1. Fable 2. Avenue 3. Sargasso Sea 4. Over And Gone 5. Elbow Room 6. Staircase 7. Romantic Descension 8. Parasol


渋いギタリスト2人の演奏で、全曲彼らのどちらか、あるいは2人でのオリジナル。やはり空間を大事にしたアルバムです。エレクトリック/フォークのジョン・アバークロンビーと、12弦/ガットのラルフ・タウナーのそれぞれの個性も注目です。渋くて深みのある演奏が繰り広げられていく1曲目、浮遊感覚があってややスリリングなやり取りが聴かれる2曲目、インプロヴィゼーションで作られたと思われる、空間的で緊張感のあるタイトル曲の3曲目、しっとりと静かに紡ぎ出されていく4曲目、過激なエコーの効いたエレキギターとの音のぶつかり合いが面白い5曲目、スピーディーながら冷めたところもあるスリリングな6曲目、語り合う感じで哀愁漂う7曲目、ピアノも交えてドラマチックにフレーズが綴られていく8曲目。

1079


Pictures/Jack DeJohnette(Ds, P, Org)(ECM 1079) - Recorded February 1976. John Abercrombie(G) - 1. Picture 1 2. Picture 2 3. Picture 3 4. Picture 4 5. Picture 5 6. Picture 6


構築されたものがもともとあったのか、フリー・インプロヴィゼーションなのかどうか判断はつきませんが、1枚のアルバムがトータルサウンド的な作りになっているようです。 多重録音の部分もあります。3曲目のみジョン・アバークロンビーとの共作で、それ以外はジャック・ディジョネットのオリジナル。ドラムスのビートの上にかぶさるオルガンサウンドの図式の1曲目、淡々としたテンポのあるドラムスのみで8分弱を勝負している2曲目、ギターとのノリの良い自由なやり取りの3曲目、波間を漂うような静かな掛け合いの4曲目、アコースティック・ギターが渋い味わいを持つ5曲目、しっとりしたピアノを中心に叙情的に、かつ淡々と進んでいく6曲目。ジョン・アバークロンビーは3-5曲目に参加 しています。

1078


The Plot/Enrico Rava(Tp)(ECM 1078)(輸入盤) - Recorded August 1976. John Abercrombie(G), Palle Danielsson(B), Jon Christensen(Ds) - 1. Tribe 2. On The Red Side Of This Street 3. Amici 4. Dr. Ra And Mr. Va 5. Foto Di Famigila 6. The Plot


(99/01/16)このメンバーでは2枚目のアルバム。全曲エンリコ・ラヴァのオリジナルないしは共作。彼の哀愁を帯びたトランペットはもちろん前面に出ていますが、ギター度も高いです。サウンド的には適度な浮遊感覚。ストレートで親しみやすいメロディとやや過激なバックとのアンサンブルが面白く、中間部では過激路線に入って行く1曲目、静かでスペイシーな、哀愁が漂うメロディの2曲目、自由度が高くてテンポの良いラテンタッチのバックの上をマイペースで吹いているトランペット、そしてギターも弾きまくる3曲目、3拍子系のエキゾチックに盛り上がる4曲目、渋くて哀愁度も高いギターとのデュオの5曲目、流れるように進んでいき、中ほどからドラマチックに盛り上がっていく15分台のタイトル曲の6曲目。

1077


Nan Madol/Edward Vesala(Ds, Per, Harp, Fl)(ECM 1077)(輸入盤) - Recorded April 25 and 26, 1974. Elisabeth Leistola(Harp), Kaj Backlund(Tp), Juhani Aaltonen(Sax, Fl, Bells, Voice), Seppo Paakkunainen(Ss, Fl), Pentti Lahti(Ss, Bcl), Charlie Mariano(As, Fl, Nagaswaram), Juhani Poutanen(Vln, Avlin, Voice, Bells), Sakari Kukko(Fl), Mircea Stan(Tb), Teppo Hauta-aho(B, Voice) - 1. Nan Madol 2. Love For Living 3. Call From The Sea 4. The Way Of... 5. Areous Vlor Ta 6. The Wind


(02/05/25)エドワード・ヴェサラのドラムスはパルシヴでパーカッシヴな感じなのですが、ここでは作曲やアレンジの方にも重きをおいているようなサウンドの曲が多いです。タイトル曲の1曲目は重厚な音が漂っていくような、6人で音を出しているわりにはシンフォニックなイメージのある曲。彼が楽器をハープ(これもなかなか)に持ちかえてサックスとのデュオを繰り広げる2曲目、多重録音と思われるパーカッションソロの3曲目、そして彼のパルシヴなドラムスとドラマチックでフリーな展開が聴ける12分台の4曲目、オリエンタルな香りのあるメロディからフリーブローイングになだれこむ9人編成での12分台の5曲目、厳かなオーケストレーションと効果音で、まさにヨーロッパの暗い「風」を意識するような6曲目。

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