ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。こちらは番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加え、’20年からLP聴きも追加してECM本編とJAPOが終了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページとメインブログと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。

2018年03月

1500


Twelve Moons/Jan Garbarek(Sax) Group(ECM 1500) - Recorded September 1992. Rainer Bruninghaus(Key), Eberhard Weber(B), Manu Katche(Ds), Marilyn Mazur(Per), Agnes Buen Garnas(Vo), Mari Boine(Vo) - 1. Twelve Moons 2. Psalm 3. Brother Wind March 4. There Were Swallows... 5. The Tall Tear Trees 6. Arietta 7. Gautes-Margjit 8. Darvanan 9. Huhai 10. Witch-Tai-To


ヤンガルバレク作は5曲(1、3-5、9曲目)、トラディショナルも2曲(2、7曲目)。私にとってECMのイメージの集大成という感じ。曲によってデュオからクインテットまで、編成が変わります。哀愁の強いメロディと映画音楽のようなドラマチックさが印象的なタイトル曲の1曲目、ヴォーカルが北欧の雰囲気を感じさせる静かな2曲目、静かなサックスから徐々に盛り上がっていく哀しみをたたえた3曲目、メロディにオリエンタルな香りがある4曲目、ゆったりした中を時々ソプラノサックスが響く5曲目、やや陽性ながら繊細な感触のある6曲目、トラディショナルも今っぽい感じになる7曲目、ヴォーカルとサックスだけでの北欧的な8曲目、明るい牧歌的なメロディが印象に残る9曲目、再演曲で、メロディアスなのは相変わらずな10曲目。

1499


Then Comes The White Tiger/Red Sun-Wolfgang Puschnig(As, Afl), Linda Sharrock(Voice), Rick Iannacone(G), Jamaaladeen Tacuma(B)/SamulNori-Kim Duk Soo, Lee Kwang Soo, Kang Min Seok, Kim Woon Tae(Per), Kim Sung Woon(Per)(ECM 1499) - Recorded May 1993. - 1. NanaJang (The Meeting Place) 2. Peaceful Question 3. Kil-Kun-Ak 4. Hear Them Say 5. Piri 6. Soo Yang Kol(The Valley Of Weeping Willows) 7. Flute Sanjo 8. Komungo 9. Full House-Part 1 10. Full House-Part 2 11. Far Away/Ariang


メンバーそれぞれの作曲、あるいは共作。プロデューサーはWolfgang Puschnig。珍しく韓国録音で民族的なサウンドが前面に出ています。韓国のサムルノリ(有名な打楽器集団)がECMに顔を出し、共演するメンバーも各国から集まったそうそうたるメンバーなので驚きました。ただし、静かな場面ではECMらしさがのぞきます。1曲目は全員のインプロヴィゼーションと思われる11分台の曲で、ミディアムのテンポのダイナミックなパーカッションを堪能できます。その他小品と長い作品が交ざりあっていますが、3曲目のサムルノリの打楽器だけの演奏もなかなか良い。ややスローな7拍子のファンク的な11分台の4曲目、明るい民族的ファンクの6曲目、空間的なフルートと打楽器の7曲目、折衷ファンクがけっこう楽しい10曲目。

1498


The Hal Russel Story/Hal Russel NRG Ensenble(Ts, Ss, Tp, Dr, Per, Vo, etc.)(ECM 1498) - Recorded July 1992. Mars Williams(Ts, As, Bs, F, etc.), Brian Sandstrom(B, G, Tp, Per, etc.). Kent Kessler(B, Tb), Steve Hunt(Ds, Vib, Per, etc.) - Part 1 1. Intro & Fanfare, Toy Parade, Trumpet March, Riverside Jump Part 2 Scholar And Fan 2. Krupa 3. You're Blase 4. Dark Rapture 5. World Class Part 3 Hit The Road, Hal 6. Wood Chips 7. My Little Grass Shack 8. O & B Part 4 Fase Company 9. For M 10. Gloomy Sunday 11. Hair Male 12. Bossa G 13. Mildred 14. Dope Music Part 5 The Birth Of The Free 15. 2 x 2 16. Ayler Songs Part 6 NRG Rising 17. Rehcabnettul 18. Steve's Freedom Princilple Encores 19. Lady In The Lake 20. Oh Well


老人プレイヤー、ハル・ラッセルの元気な、そしてどことなくユーモラスなフリージャズ(と言いきれないですが)であり、遺作になった作品。全体の5分の4ほどが彼の作曲。それぞれがマルチ・プレイヤーですが、シリアスでもありユーモアも持っているアルバムです。ものすごく元気なのにはびっくりします。あるときは爆発的な、あるときは静かな、そしてフリージャズの部分とアンサンブルの部分とがあって、全20曲、目まぐるしく変わっていきます。ナレーションでつながっていたり、曲中で語ったり叫んだり、そして20曲を6つのパートとアンコールに分けるなど、いろいろ工夫がされているフリーです。ECM黎明期を想像させるような、ギャロンギャロン系フリーが満載なのがうれしい。ラストの20曲目はカッコ良いファンクの曲です。

1497


You Never Know/Peter Erskine(Ds)(ECM 1497) - Recorded July 1992. John Taylor(P), Palle Danielsson(B) - 1. New Old Age 2. Clapperclowe 3. On The Lake 4. Amber Waves 5. She Never Has A Window 6. Evans Above 7. Pure & Simple 8. Heart Game 9. Everything I Love


ピーター・アースキン作は3曲目のみ。この叙情的なピアノトリオの空間におけるドラムとしての表現やさりげない主張は、何度聴いても深いものを持っているようです。ジョン・テイラー作が4曲(1-2、6-7曲目)、ヴィンス・メンドーサ作が3曲(4-5、8曲目)。蒼い叙情を保ちつつ、変拍子系ながらしっとりとした1曲目、アップテンポでメカニカルなテーマのスリリングな2曲目、静かながらどことなくほのぼのとした3曲目、映画音楽のような落ち着いたメロディの4曲目、内向的な3人の動きを感じる繊細なフレーズが続く5曲目、淡色系のピアノが自由で時に少し速い6曲目、なかなか速くてスリルのあるピアノの場面もある7曲目、じっくりゆったりと聴かせるバラードの8曲目、唯一のスタンダードでこれのみ4ビートで演奏する9曲目。

(注)’16年に ECM 1497, 1532, 1594, 1657がECM 2490-93のBOXセットになりました。

1496


Despite The Fire-Fighters' Efforts.../Aparis(ECM 1496)(輸入盤) - Recorded July, 1992. Markus Stockhausen(Tp, Flh), Simon Stockhausen(Key, Ss), Jo Thones(Ds) - 1. Sunrice 2. Waveterms 3. Welcome 4. Fire 5. Green Piece 6. Orange 7. Hannnibal


(02/02/17)このメンバーによる2枚目で、全曲が兄弟(?)の作曲という点も同じ。前回のCDタイトルがグループ名に。相変わらずキーボードが効いています。1曲目は静かな出だしで5分あたりから盛り上がってきて、ドラムソロを経て静かに終わっていく13分台の曲。スペイシーなフリー・インプロヴィゼーションのようで時々のキメが鋭い2曲目、さまざまに表情を変えていくドラマチックな14分台の3曲目、アヴァンギャルドですが何だかけっこうジャズを感じてしまうファンク的でもある4曲目、シンセサイザーをバックにスペイシーな世界が広がっていく5曲目、ややパーカッシヴではありながらもこちらも広い空間をフレーズが舞っていく6曲目、トランペットの哀愁のメロディが印象的な7曲目。やや聴く人を選ぶかも。

1495


Gorecki/Satie/Milhaud/Bryars/O Domina Nostra/Sarah Leonard(Soprano)/Christopher Bowers-Broadbent(Organ)(ECM New Series 1495) (輸入盤)- Recorded June 1992. - 1. Henry Gorecki: O Dimina Nostra Op.55 2. Erik Saie: Messe Des Pauvres 3. Darius Milhaud: Prelude 1 4. Prelude 2 5. Gavin Bryars: The Black River


(04/01/23)エリック・サティの曲のみ19世紀作、他の曲は20世紀作。オルガンとソプラノ(1、4曲目)という変わった取り合わせで、静寂と重厚さを併せ持ったような、ゆったりと流れていくようなメロディとフレーズが印象的。1曲目は最初と後半は静かで、一部盛り上がったところで見せる大きな世界、2曲目はサティにしては重厚な雰囲気。荘厳でメロディアスな小品の3-4曲目、ヴォーカルが前面に出てきてそれでも厳かな5曲目。

1494


Olivier Messiaen: Meditations Sur Le Mystere De La Sainte Trinite/Christopher Bowers-Broadbent(Org)(ECM New Series 1494)(輸入盤) - Recorded June 1992. - 1. Meditations Sur Le Mystere De La Sainte Trinite


(03/07/27)メシアンは20世紀の現代音楽家で、神秘主義的思想が強く、宗教的な色彩が強い曲を書いています。’69年に書かれたこの曲も邦題で言うと「聖なる三位一体の神儀への瞑想」となります。オルガンの曲にしてはメリハリが効いていて動きが速く、ドラマチックな仕上がりになっています。そして現代音楽的な複雑さを垣間見せながらも、 楽器のせいか雰囲気はやはり神秘的で、深い蒼色の世界がのぞいています。

1493


If You Look Far Enough/Arild Andersen(B)(ECM 1493) - Recorded Spring 1988, July 1991 and February 1992. Ralph Tawner(G), Nana Vasconcelos(Per), Audun Kleive(Snare Dr) - 1. If You Look 2. Stev 3. For All We Know 4. Backe 5. The Voice 6. The Woman 7. The Place 8. The Drink 9. Main Man 10. A Song I Used To Play 11. Far Enough 12. Jonah


アリルド・アンデルセン作は全12曲中5曲(1-2、4、10-11曲目)、参加者のインプロヴィゼーションは5、9曲目。割と渋い演奏がそこにあります。ノルウェイのトラディショナル・ソングの演奏も3曲(6-8曲目)あり、パーカッションとのデュオで雰囲気が出ています。個人的に最後の曲のソロ・ベースが好み (何とポール・サイモンの曲)。ベースをシンセサイザーのようなエフェクトをかけた雄大でゆったりした1曲目、速めのスリリングなフレーズが舞う2曲目、ベースのメロディアスな流れにギターが絡む3曲目、しっとりとメロディが進んでいく4曲目、シンセ的ベースとパーカッションの妙の5曲目、3人でなかなかノリの良い演奏を聴かせる9曲目、ゆったりメロディ系でせまる10曲目、タイトルと内容で1曲目と対になる11曲目。

1491


Atlas/Meredith Monk(Cast: Voice)(ECM New Series 1491/92)(輸入盤) - Recorded June 1992. Cast(Voice): Carlos Arevalo, Thomas Bogdan, Victoria Boomsma, Janis Brenner, Shi-Zheng Chen, Allison Easter, Robert Een, Dina Emerson, Emily Eyre, Kaite Geissinger, Ching Gonzalez, Dana Hanchard, Wendy Hill, Stephern Kalm, Robert Osborne, Wilbur Pauley. Randall Wong, Orchestra: Kathleen Carroll(Viola), Arthur J. Fiasco Jr.(Cello), Anthony Pirollo(Cello), John Cipolla(Cl, Bcl), Susan Iadone(Vln), Cynthia Powell(Key), Darryl Kubian(Vln), Thad Wheeler(Per), Wayne Hankin(Sawn, Sheng, Recorder, Cond), Steve Lockwood(Key), James F. Wilson(French Horn) - Part 1: Personal Climate: 1. Overture(Out Of Body 1) 2. Travel Dream Song 3. Home Scene 4. Future Quest (The Call) 5. Rite Of Passage A 6. Choosing Companions 7. Airport Part 2: Night Travel: 8. Night Travel 9. Guide's Dance 10. Agricultural Comunity 11. Loss Song 12. Campfire/Hungry Ghost 13. Father's Hope 14. Ice Demons 15. Explorer #5/Lesson/Explorer's Procession 16. Lonely Spirit 17. Forest Questions 18. Desert Tango 19. Treachery (Temptation) 20. Possibility Of Destruction Part 3: Invisible Light: 21. Out Of Body 2 22. Other Worlds Revealed 23. Explorer's Junctions 24. Earth Seen From Above 25. Rite Of Passage B


(04/02/14)メレディス・モンク作の3つのパートに分かれている1つのオペラ、ということで、CDの中には、衣装をまとってオペラ歌劇をしている写真もいくつか。曲だけ聴いていると、相変わらず彼女の曲らしい突き刺さるような、時に叫ぶようなトンガリヴォイスと、エキゾチックなメロディ、語りなどが印象的。それでいて、淡々と繰り返されるメロディの部分に懐かしいものを感じる事も。クラシックサイドから見ればやはり前衛的なのかも。

1490


Oracle/Gary Peacock(B)/Ralph Towner(G)(ECM 1490) - Recorded May 1993. - 1. Gaya 2. Flutter Step 3. Empty Carrousel 4. Hat And Cane 5. Inside Inside 6. St. Helens 7. Oracle 8. Burly Hello 9. Tramonto


9曲中6曲がゲイリー・ピーコック(1-3、5-6、8)の、他の2曲はラルフ・タウナーの作曲。7曲目はやや激しい部分もあるインプロヴィゼーションのタイトル曲。ご存知の2人による組み合わせは、さりげなく難しいテクニックを使ってしまって聴き流してしまいそうですが、なかなか渋いデュオの演奏です。憂いを帯びたギターで息の合ったやり取りの1曲目、比較的速いパッセージで浮遊感も感じる2曲目、淡彩色系の8分の6拍子で進む3曲目、やや元気なコラボレーションが新鮮な感じの4曲目、やや無機的な感じもしてフレーズが飛び回る5曲目、牧歌的な雰囲気を持つゆったりした小品の6曲目、ちょっとハネるようなリズムが心地良い感じだけれども淡い8曲目、ラルフ・タウナー作で落ち着いたギターが前面に出る9曲目。

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