ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。こちらは番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加え、’20年からLP聴きも追加してECM本編とJAPOが終了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページとメインブログと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。

2018年05月

1556


Cerco Un Paese Innocente/Michael Mantler(Tp)(ECM 1556) - Recorded January 1994. Mona Larsen(Voice), Bjarne Roupe(G), Marianne Sorensen(Vln), Mette Winter(Viola), Gunner Lychou(Viola), Helle Sorensen(Cello), Kim Kristensen(P), The Danish Radio Band: Ole Kock Hansen(Cond), Jan Kohlin(Tp, Flh), Benny Rosenfeld(Tp, Flh), Palle Bolvig(Tp, Flh), Henrik Bolberg Pedersen(Tp, Flh), Lars Togeby(Tp, Flh), Vincent Nilsson(Tb), Steen Hansen(Tb), Kjeld Ipsen(Tb), Giordano Bellincampi(Btb), Axel Windfeld(Btb, Tuba), Jan Zum Vohrde(Fl, Afl, Ss), Michael Hove(Fl, Cl, Ss), Uffe Markussen(Cl, Bcl, Fl), Bob Rockwell(Cl, Ss), Flemming Madsen(Cl, Bcl, Fl), Nikolaj Bentzon(Synth), Thomas Ovesen(B), Jonas Johansen(Ds), Ethan Weisgard(Per) - 1-5. Part 1 6-11. Part 2 12-15. Part 3 16-19. Part 4


(99/10/25)ジャケットに書いてありますが、日本語だと「無邪気(無垢な?)国を求める」というタイトルらしい。イタリアの詩人Giuseppe Ungarettiの詩にマイケル・マントラーが曲をつけてレコーディングしたもののようです。かなり大がかりなメンバーで、クラシックとも思えるようなバックのサウンドに、ヨーロッパ特有のエキゾチックなメロディをもったヴォーカルがかぶさります。 曲の構成は4つのパートに分かれていて、インタールードもあったりと、クラシック的。とはいうもののドラムやエレキギターなども入っているので、場面によってはインプロヴィゼーションに聞こえる場面も。アルバムを通したサウンドカラーとしては、まさにジャケット写真のようなどんよりと曇った山岳地帯のようなイメージが全体を支配しています。

1555


Sandor Veress/Passacaglia Concertante/Songs Of The Seasons/Musica Concertance(ECM New Series 1555)(輸入盤) - Recorded February 1993. Camerata Bern, Heinz Holliger(Oboe, Cond), LondonVoices, Terry Edwards(Cond) - 1-4. Passacaglia Concertante 5-11. Songs Of The Seasons 12-14. Musica Concertance


(04/02/22)Sandor Veressは20世紀ハンガリーの現代音楽家。1-4曲目がオーボエとストリング・オーケストラの、5-11曲目が混声合唱団の、12-14曲目が12人のストリングスの曲。ハンガリーの哀愁というよりは、やはり現代音楽的な複雑さと陰影のある曲、というイメージが強いです。合唱曲は、新しめの味付けではありますが、寒色系の奥深いようなメロディと響きが印象に残ります。ラストのストリングス曲はより現代的。

1554


If Mountains Could Sing/Terje Rypdal(G)(ECM 1554) - Recorded January and June 1994. Bjorn Kjellemyr(B), Audun Kleive(Ds), Terje Tonnesen(Vln), Lars Anders(Viola), Oystein Birkeland(Cello), Christian Eggen(Cond) - 1. The Return Of Per Ulv 2. It's In The Air 3. But On The Other Hand 4. If Mountains Could Sing 5. Private Eye 6. Foran Peisen 7. Dancing Without Reindeers 8. One For The Roadrunner 9. Blue Angel 10. Genie 11. Lonesome Guitar


全曲テリエ・リピダルの作曲。3-5、7、9曲目がストリングス入りの曲。フュージョン、クラシック、そして、プログレッシヴ・ロックと思えるような場面もありますが、全体のサウンドはやっぱりECM的かも。フュージョン的な、メロディの印象が強い1曲目、ゆったりした中にギターが雄叫びを上げる2曲目、現代音楽かと思ったら重いゆったりとしたロックになる3曲目、北欧の風が吹いてくるようなタイトル曲の4曲目、クラシックの味付けもあるプログレ風の5曲目、繊細で静かに語りかけてくるような6曲目、ビートが効いていてノリもけっこう良い7曲目、ヘヴィーで自在なロックの印象の8曲目、包み込むような優しさのあるサウンドの9曲目、自由なビートのドラムスの上を舞うベースの10曲目、哀愁のギターがスローで漂う11曲目。

1553


Nordic Quartet/John Surman(Ss, Bs, Acl, Bcl)/Karin Krog(Voice)/Terje Rypdal(G)/Vigleik Straas(P)(ECM 1553) - Recorded Autumn 1994. - 1. Traces 2. Unwritten Letter 3. Offshore Piper 4. Gone To The Dogs 5. Double Tripper 6. Ved Sorevatn 7. Watching Shadows 8. The Illusion 9. Wild Bird


メンバーの単独作品、ないしはカーリン・クローグとの共作。ドラムスもベースもない渋い取り合わせ。ヴォーカルのカーリン・クローグは、前衛的な事にも手を出していて、このぐらいならば驚かないかも。クァルテットは1、4、6、9曲目のみ。つぶやくように語り、ギターや他の楽器がそれに絡んでくる1曲目、歌とバス・クラリネットのデュオで漂っていく2曲目、ホーンとギターがゆったり寄り添う3曲目、ヴォーカル以外のトリオで、ややハードながら明るめの4曲目、ギターとバリトン・サックスでロック的なやり取りの5曲目、情景描写のようなドラマチックな世界が広がる6曲目、静かながらも映画音楽のような淡いメロディの7曲目、ソプラノ・サックスとピアノでしっとりとした8曲目、エキゾチックな淡々としたヴォーカルを聴ける9曲目。

1552


Ou Bien De Debarquement Desastreux/Heiner Goebbels(Sampling, Prog)(ECM 1552)(輸入盤) - Recorded June 1994. Andre Wilms(Voice), Sira Djebate(Vo), Boubakar Djebate(Kora. Vo), Yves Robert(Tb), Alexandre Meyer(G, Table-G, Daxophon), Xavier Garcia(Key), Moussa Sissoko(Djembe(22)) - 1. Longtemps Il Crut Encore 2. Samedi, 28. juin 3. Les Premiers Jours 4. Jeudi, 3. Juillet 5. Longtemps, Longtemps, Longtemps 6. Vendredi, 4 Juillet 7. Samedi, 5. Juillet 8. Comme Le Vent Augmentait 9. Mardi, 8. Juillet 10. Cette Foret 11. Vendredi, 25. Juillet 1890 12. Il Eut Du mal 13. Mardi, 29 14. Fili 15. S'adapter Et Ne Pas S'adapter 16. 3. Aout 1890 17. 9 Heures Apres 18. Dangoma 19. Il Comprit 20. Mort Aux Meres 21. Koulamja 22. Haches, Couteaux, Tentacules 23. 7. Aout 1940 - Apres-Midi 24. Le Soir 25. Manilo 26. 8. Aout 1940 27. 13 Aout 1940 - Matin 28. 20. Aout 1940 29. Sunyatta 30. Dans Le Silence Blanc 31. Fin Du Bois Du Pins


(03/09/28)Joseph Conrad、Heiner MullerとFrancis Ponge作の3人の詩の朗読で、3人の詩の順番は分散されています。落ち着いた男声のナレーションと、アフリカっぽい女声ヴォーカルが時々入れ替わって登場します。ナレーションの時は生演奏と、時にサンプリングの伴奏が交じり合い、そこにヴォイスが乗っかっているという構図。ヴォーカルやアフリカ楽器のDjembe、Koraなどのサウンドがやっぱりアフリカっぽかったりするところもあって、ほのぼのする場面もありますけれど、ギターやトロンボーンはアヴァンギャルド路線まっただ中のフレーズを、時々思い出したようにロックっぽく撒き散らしています。その折衷感覚は、ある種のエキゾチックな香り。13曲目はかなり盛り上がる演奏で、22曲目もパーカッシヴで印象的。

1551


Athos A Journey To The Holy Mountain/Stephan Micus(Voice, Bavarian Zither, Satter, Shakuhachi, Suling, Flowerpots, Nay)(ECM 1551) - Recorded November 1993 - February 1994. - 1. On The Way 2. The First Night 3. The First Day 4. The Second Night 5. The Second Day 6. The Third Night 7. The Third Day 8. On The Way Back


全曲ステファン・ミクスの作曲で、多重録音による演奏。ギリシャの聖地への巡礼の三日三晩の出来事を夜はア・カペラ(22のヴォイス、2、4、6曲目)で、昼は器楽(1、3、5、7曲目)で表現しているとのこと。3曲目のように尺八のソロの曲もあったりします。ア・カペラの曲は教会音楽のように聴こえます。全体を通して荘厳な雰囲気。多重録音なので即興よりは書き譜と思われ、これはクラシックや宗教音楽に近いジャンルかもしれません。1曲目ではちょっと物悲しい民族楽器が空間的な哀愁を漂わせてゆっくりと進みます。穏やかで温かいサウンドに包まれている5曲目、尺八と音や節回しが何となく似ているネイのソロの7曲目。ラスト8曲目は帰りの曲で、器楽と11のヴォイスの録音。間があるけれども厚みもあります。

1549


Atmospheric Conditions Permitting/Jazzensemble Des Hessischen Rundfunks(ECM 1549/50)(輸入盤) - Recorded 1967-93. Tony Scott(Cl), Karel Krautgartner(Cl), Emil Mangelsdorff(As, Fl, Ss), Joki Freund(Ts, Ss), Heinz Sauer(Ts, As, Ss, Ds, Synth, etc), Gunter Kronberg(Bs, As), Albert Mangelsdorff(Tb), Gunter Lenz(B), Ralf-R. Hubner(Ds, Synth), Ulrich Beckenhoff(Tp), , Christof Lauer(Ts, Ss), Bob Degen(P), Bill Frisell(G), Eberhard Weber(B), Joerg Reiter(P), Hans Ludemann(P), Volker Kriegel(G), Rainer Bruninghaus(P, Synth), Paul Lovens(Ds, etc), Deter Petereit(B), Peter Giger(Ds), Lee Konitz(As), Markus Becker(P, Synth), Thomas Heidepriem(B), Willhelm Liefland(Narrator), Buschi Niebergall(B), Michel Pilz(Bcl), Jaime Torres(Charango), Norberto Pereyra(G), Karlheinz Wiberny(Piccolo), Theo Jorgensmann(Cl), Rudiger Carl(Cl), Gunter Christmann(Tb), Alois Kott(B), Peter Kowald(Tuba), Alexander Von Schlippenbach(P), Detlef Schnonberg(Ds), Peter Panzol(Ss), Stephan Schmolck(B), Aki Takase(P, Celeste), Thomas Heberer(Tp), Stefan Lottermann(Tb), Werner Pirchner(Vib), Adelhard Roidinger(B), John Schroder(G), Theodossij Spassov(P), Simeon Shterev(Fl), Jurgen Wuchner(B) - 1. Bagpipe Song 2. Auf In Den Wald 3. Niemandsland 4. Out Of June 5. Incantation For An Alto Player 6. Stomp Blase 7. Krotenbalz 8. Blues, Eternal Turn On 9. Accelerated Service 10. Noldes Himmel 11. Reverse 12. Oben 13. Schattenlehre 14. Winterballade 15. Repepetitititive 16. Darauf Der Schnee Danach 17. Fahrmann Charon 18. Concierto De Charangojazz 19. Walzer Fur Sabinchen 20. Fur Den Vater 21. Merge Song 22. The Truth Is Unavailable 23. Der Fahle Zwerg Auf Dem Kahlen Berg 24. Kauf Dir Einen Bunten Luftballon 25. Bloody Nose 26. Von Der Gewohnlichen Traurigkeit 27. Fin 89 ... Oder Was Der Mehsch So Braucht 28. Manipulation 29. Herbstschleife 30. Kauze Und Kauzchen 31. Nachwort


(03/08/10)楽団の’67年から’93年にかけての録音をCD2枚組に集めたもの。なるほど、’60年代のオーソドックス風なジャズ (1曲目)から現代的なアレンジまで、さまざまなジャズの要素が散らばっています。4曲目のようにシンセサイザーも駆使したアヴァンギャルドなサウンドの曲や、11-12曲目のようなナレーション入りの曲も。18曲目はチャランゴ、ギター、テナー・サックスで延々16分。ピアノ(チェレステ)とトランペットで軽快な24曲目。全体を通してホーンのアンサンブルが耳に残る感じ。核となるメンバーはずっと一緒のようですが、他に色々なミュージシャンが出入りしています。個人的には’81年6月録音のビル・フリゼールとエバーハルト・ウェーバーが参加する10分台の3曲目が、この2人のカラーで、印象的。

1546


Azimuth/The Touchstone/Depart/Azimuth(ECM 1546-48)(輸入盤) -- Azimuth - Recorded March 1977. John Taylor(P, Synth), Norma Winstone(Voice), Kenny Wheeler(Tp, Flh) - 1. Sirens' Song 2. O 3. Aizmuth 4. The Tunnel 5. Greek Triangle 6. Jacob The Touchstone - Recorded June 1978. John Taylor(P, Org), Norma Winstone(Voice), Kenny Wheeler(Tp, Flh) - 1. Eulogy 2. Silver 3. Mayday 4. Jero 5. Prelude 6. See Depart - Recorded December 1979. John Taylor(P, Org), Norma Winstone(Voice), Kenny Wheeler(Tp, Flh), Ralph Towner(G) - 1. The Longest Day 2. Autumn 3. Arrivee 4. Touching Points: From The Window - 5. Wildfall - 6. The Rabbit - 7. Charcoal Traces 8. Depart 9. The Longast Day (Reprise)


(03/09/06)ECM 1099、ECM 1130とECM 1163が3枚組になって再発されたもの。全曲ジョン・テイラーの作曲。ピアノ、トランペット、ヴォイスという変わった編成が、研ぎ澄まされたメロディアスなサウンドを生み出して、浮遊感を伴った清涼感とでもいうような雰囲気を漂わせています。メンバーの3人共に、アメリカのジャズとは無縁なその冷めた個性の組み合わせと、ある種のしっとり感や格調の高さが面白い。アルバムそしてグループ名のタイトル曲の1枚目3曲目が、反復するシンセサイザーのバッキングの中をフレーズが舞う内省的な12分台の曲だというのも興味深いところ。 派手な曲はありません。3枚とも似たようなサウンドの感触の中で、3枚目にはラルフ・タウナーが参加していて、ギターの味わいがいい感じです。

1545


The Sea/Ketil Bjornstad(P)/David Darling(Cello)/Terje Rypdal(G)/Jon Christensen(Ds)(ECM 1545) - Recorded September 1994. - The Sea 1 - 12


全曲ケティル・ビヨルンスタ の作曲。今度は「海」をテーマにしたアルバム。タイトルも「海1」から「海12」まで。書き譜が多いことが予想され、映画音楽に流れるBGMといった感じもしますが、やっぱり硬質な個性は見え隠れします。 個性的な楽器編成で、ギターは個性を出しながら、静かな場面もあれば、意外に過激な音を出すことも。チェロがいることで、クラシックのような印象的な哀愁のある旋律でスタートする1曲目。どの曲もメロディが落ち着いていてきれいです。これはもう曲ごとにうんぬんではなくて、トータルアルバムとして74分を通してゆったりとドラマを聴きとっていく、という流れになるような展開。4曲目のドラムスがメインで、バックに哀愁のメロディが流れるのも面白い。12曲目(ラスト)はしっとりとソロ・ピアノ。

1544


Matka Joanna/Tomasz Stanko(Tp) Quartet(ECM 1544) - Recorded May 1994. Bobo Stenson(P), Anders Jormin(B), Tony Oxley(Ds) - 1. Monastery In The Dark 2. Green Sky 3. Maldoror's War Song 4. Tales For A Girl, 12 5. Matka Joanna From The Angels 6. Cain's Brand 7. Nun's Mood 8. Celina 9. Two Preludes For Tales 10. Klostergeist


1、5、7曲目が全員のフリー・インプロヴィゼーション、トーマス・スタンコ作は2-4、6、8曲目。オーソドックスなクァルテットですが、大半は叙情的で空間的な曲。静かなフリーの中で研ぎ澄まされた音を選び抜いた1、7曲目、抽象的な出だしから叙情的なトランペットがはじまるやはりフリー的な2曲目、冷たいながら4ビートのジャズに近い雰囲気を持つ3曲目、ゆったりとしながら速いフレーズも織り交ぜて進行する4曲目、暗い静かなところからメロディが浮かび上がる10分台のタイトル曲の5曲目、ちょっと暗めのテーマが印象的で抑制されつつ発散もする6曲目、空間的な中でしっとりとしたメロディが流れていく8曲目、トランペットとピアノのデュオで淡々と綴っていく小品の9曲目、Tony Oxley作の独特なドラム・ソロの10曲目。

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