ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。こちらは番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加え、’20年からLP聴きも追加してECM本編とJAPOが終了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページとメインブログと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。

2018年07月

1628


No Birch/Christian Wallumrod(P)(ECM 1628)(輸入盤) - Recorded November 1996. Arve Henriksen(Tp), Hans-Kristian Kjos Sorensen(Per) - 1. She Passes The House Of her Grandmother 2. The Birch 1 3. Royal Garden 4. Somewhere East 5. Travelling a. Far East b. Slow Brook c. I Lost My Heart In Moscow 6. The Birch 2 7. Ballimaran 8. Watering 9. Before Church 10. The Birch 3 11. Two Waltzing, One Square And Then 12. Fooling Around 13. The Gardener 14. The Birch 4


3人ないし2人のフリー・インプロヴィゼーションの曲が5曲(1、5、8、11-12曲目)。Christian Wallumrodの曲が6曲(2、4、6-7、10、14曲目)と、あとはメンバーの作曲。非常に静かなサウンド。3人の楽器のつぶやきというか、語り合いが全編を支配している感じ。曲によってはトリオではない。1曲目も凄みというよりは安らぎのある冷たさで進行していきます。5曲目は何と14分台もの組曲構成で、多少緊張感もあるけれど、スペイシー。尺八的なトランペットも。タイトルにちなんだThe Birchは2、6、10、14曲目でありますが、やはりクラシック的な哀愁と内面を向いている独特な世界。パーカッションというよりは、エコーの効いたスペイシーな世界の3曲目、民族的なノスタルジーのある切ない4曲目。淡々と続きます。

1626


Nothing Ever Was, Anyway. Music Of Annette Peacock/Marilyn Crispell(P), Gary Peacock(B), Paul Motian(Ds), Annette Peacock(Voice)(ECM 1626/27) - Recorded September 1996. - 1. Nothing Ever Was, Anyway(Version 1) 2. Butterflies That I Feel Inside Me 3. Open, To Love 4. Cartoon 5. Arbert's Love Theme 6. Dreams (If Time Weren't) 7. Touching 8. Both 9. You've Left Me 10. Miracles 11. Ending 12. Blood 13. Nothing Ever Was, Anyway (Version 2)


全曲がアーネット・ピーコックの作品。本人が6曲目になぜかヴォイスで参加。内容はECM流フリー・ジャズのようですが、メロディアスな部分もあります。静かな曲も、そうでない曲も、やはりこの3人ならではの内面を向いている渋さがあります。タイトル曲は最初(1曲目)と最後(13曲目)にヴァージョン違いでどちらも10分以上の長さにわたってありますが、スペイシーで限られた音の中の緊張感。くぐもりながら時に開放に向かう2曲目、きら星ののようでゆったりとしている3、8曲目、ちょっとパーカッシヴなフリーに近い4曲目、有名だけどやっぱり空間的な5、7曲目、抽象的な中に哀愁やメロディが伝わってくる9、12曲目、ドラム・ソロではじまり時間軸に沿ってゆっくり展開する10曲目、静かなフリーへの距離が近い11曲目。

1624


Mozart/Piano Concertos K. 271, 453, 466 Adagio And Fugue K.546/Keith Jarrett(P), Stuttgarter Kammerorchester, Dennis Russel Davies(Cond)(ECM New Series 1624/25) - Recorded May 1996 and March 1998. - 1-3. Concerto For Piano And Orchestra No. 20 In D Minor K.466 4-6. Concerto For Piano And Orchestra No. 17 In G Major K. 453 7-9. Concerto For Piano And Orchestra No. 9 In E-Flat Major K. 271 "Jeunehomme" 10. Adagio And Fugue In C Minor K. 546


デニス・ラッセル・デイヴィス指揮のシュトゥットガルト室内管弦楽団がバックの、キース・ジャレットによるモーツァルトの協奏曲の第2集。人気のある協奏曲をここでは演奏している のだとのこと。彼の解釈した演奏は斬新なのだそうですが、そこまで聴く耳を持っていないので、少々残念かも。 ただ、本格的なクラシックの世界に足を踏み入れてしまったな、という気がします。モーツァルトなので、比較的分かりやすい世界のような気も。(99年5月22日発売)

1623


Tactics/John Abercrombie(G)(ECM 1623) - Recorded July 13-15, 1996. Dan Wall(Org), Adam Nussbaum(Ds) - 1. Sweet Sixteen 2. Last Waltz 3. Bo Diddy 4. You And The Night And The Music 5. Chumbida 6. Dear Rain 7. Mr. Magoo 8. Long Ago And Far Away


ジョン・アバークロンビー作は3作(1-2、6曲目)、ダン・ウォール作も2曲(3、7曲目)。オルガントリオ路線で3枚目。しかもライヴ録音。あっさりしていて静かな場面も多く、神経質な感じ。かわいらしいけれど、速いフレーズで鋭く、4ビートの場面もある1曲目、タイトルどおりワルツでしかもしっとりと静かに進んでいく2曲目、ファンクのビートでノリも良く、ギターもブルージーな3曲目、スタンダードの4ビートで哀愁を振りまきながらも彼らのペースで料理するややアップテンポの4曲目、静かだと思ったらドラムスもギターも速射砲的にフレーズが出てくる5曲目、しとしと降る雨のように静かにせまってくる6曲目、スペイシーから渋くて鋭いやり取りが盛り上がる7曲目、スタンダードをまろいけれどもオーソドックスに料理する8曲目。

1622


Circa/Michael Cain(P)(ECM 1622) - Recorded August 1996. Ralph Alessi(Tp, Flh), Peter Epstein(Ss, Ts) - 1. Siegfried And Roy 2. Social Drones 3. Ped Cruc 4. Miss M 5. Circa 6. Egg 7. Top O'The Dunes 8. And Their White Tigers 9. Red Rock Rain 10. The Suchness Of Dory Philpott 11. Marche


マイケル・ケインを中心に、メンバーが作曲。変則の楽器編成のトリオ。記譜されたものとインプロヴィゼーションの区別がつかないほど構築されていて、しかも緊密。頭で聴く音楽だと思 います。小品の1曲目を経て、哀愁の漂う暗さが何ともいえない2曲目、スピーディーなパッセージの中で色合いが微妙に変わっていく3曲目、現代音楽的パルスとフレーズを持ち、中ほどでフリー的に盛り上がる4曲目、ゆったりと中間色的な色合いで流れていく5曲目、浮遊感のあるハーモニーの流れ、中間部のソロ・ピアノで聴かせる6曲目、個性的ながらジャズを感じる7曲目、浮遊感が音楽となるクラシック的な8曲目、牧歌的にゆったりする9曲目、きらびやかなピアノが印象的な10曲目、哀愁と変幻自在な構成で聴かせる11曲目。

1621


Sonate Pour Piano/Jean Barraque(ECM New Series 1621)(輸入盤) - Recorded July 1996. Herbert Henck(P) - 1. Tres Rapide 2. Lent


(04/03/26)20世紀フランスの作曲家Jean Barraqueのピアノ・ソナタ。いきなり1曲目の冒頭からいかにも現代音楽的な難解な音使いでピアノがはじまります。そのままの姿勢で続くので、ある意味セシル・テイラーを想像してしまいましたが、当たらずとも遠からずか。記譜され、かつ調性のない(と思われる)旋律を弾き続けるのはかなり強靭な精神力だと思います。タイトルの通り2曲目のほうが内面を向いていて、厳かで静かです。

1620


Dolorosa/Dmitri Shostakovich/Peteris Vasks/Arfred Schnittke(ECM New Series 1620)(輸入盤) - Recorded June 1996. Stuttgarter Kammerorchester, Dennis Russell Davies(Cond) - Dmitri Shostakovich: 1-5. Chamber Symphony Op.110bis Peteris Vasks: 6. Musica Dolorosa Alfred Schnittke: 7-8. Trio Sonata


(04/03/26)3人の作曲家はそれぞれ旧ソ連、ラトヴィア、ロシアの20世紀現代音楽家で、’60-80年代作曲のオーケストラ作品を集めたもの。Dmitri Shostakovichは意外にドラマチックな構成で聴きやすいサウンドをもっています。クラシックと現代音楽の間をいく感じで叙情的な雰囲気も。現代的だけれど情熱もあり哀愁もふつふつと漂ってくるPeteris Vasksのタイトル曲。Arfred Schnittkeは現代味はちょっと強めでやや寒色系。

1619


Jatekok(Games) And Bach Transcriptions/Gyorgy Kurtag(P)(ECM New Series 1619)(輸入盤) - Recorded July 1996. Marta Kurtag(P) - 1. Flowers We Are, Mere Flowres... (...enbracing Sounds) 2. J.S. Bach: Aus Tiefer Not Schrei Ich Zu Dir (BWV 687) In Memoriam Joannis Pilinszky 3. Preludium And Chorale 4. Knots 5. Antiphone In F-sharp 6. Dirge 1 7. Hommage A Christian Wolff (Half Asleep) 8. Play With Overtones 9. Perpetuum Mobile (Objet Trouve) 10. ...And Once More: Flowers We Are... 11. Beating - Quarrelling 12. Study To "Holderlin" 13. J.S. Bach: Gottes Zeit Ist Die Allerbeste Zeit Sonatina From "Actus Tragicus" (BWV 106) 14. Bells Hommage A Stravinsky 15. Furious Chorale 16. Hoquetus 17. Palm Stroke 18. Bluebell 19. Thistle 20. Stubbunny 21. Harmonica Hommage A Borsody Laszlo 22. Hommage A Domenico Scarlatti 23. Aus Der Ferne To Alfred Schlee On His 80th Birthday 24. J.S. Bach: Triosonata In E-flat major 1, 1 (BWV 525) 25. Dirge 1a 26. Dirge 2 In Memorium Ligeti Ilona 27. Tumble-Bunny 28. Hommage A Kurtag Marta 29. J.S. Bach: O Lamm Gottes Unschuldig (BWV Deest) 30. Evocation Of Petrushka Hommage A Farkas Ferenc 3 31. Adoration, Adoration, Accursed Desolation... Hommage A Farkas Ferenc 4 32. Hommage A Soproni In Memorium Matris Caissimae 33. Hommage A Halmagyi Mihaly 34. Scraps Of A Colinda melody - Faintly Recollected Hommage A Farkas Ferenc 2


(03/07/13)短い曲を34曲の演奏していて、2人の演奏(写真で見ると連弾のようです。)もあれば、いずれかの演奏もあります。英文で書かれた作曲方法は読んでませんが、ある種の法則を作って作曲、あるいは即興演奏をしたもののように思います。中にはバッハをモチーフにしたか、そのまま抜き取ってきたかのような演奏も何曲かあります。 クラシックなのですが、ECM的なジャズのピアノ・インプロヴィゼーションと垣根は低いのでは。

1618


Lieder Ohne Worte/Heinz Holliger(ECM New Series 1618)(輸入盤) - Recorded June 1996. Thomas Zehetmair(Vin), Thomas Larcher(P), Ursula Holliger(Harp) - 1-7. Lieder Ohne Worte 2 8. Sequenzen Uber Johannes 1. 32 9. Trema 10-12. Praludium, Arioso Und Passacaglia 13-15. Elis 16-19. Lieder Ohne Worte 1


(04/03/10)20世紀スイスのオーボエ奏者で現代音楽家Heinz Holligerの作品集。曲も’60年代作曲のものから’90年代のものまで。ヴァイオリンとピアノ、ハープの独奏、ヴァイオリンの独奏、など曲によってさまざまな表現を見せますけれど、静かで内省的な部分が多く、やはり寒色系の難解なサウンドでせまってきます。ハープの曲も、やはり同じ感じで既成概念が通用しません。まさにジャケットの暗い基調の森と雪景色の雰囲気。

1617


In Full Cry/Joe Maneri(Cl, As, Ts, P) Quartet(ECM 1617)(輸入盤) - Recorded June 1996. Mat Maneri(Electric Vln), John Lockwood(B), Randy Peterson(Ds, Per) - 1. Coaster And Finer 2. Tenderly 3. Outside The Dance Hall 4. A Kind Of Birth 5. The Seed And All 6. Pulling The Boat In 7. Nobody Knows 8. In Full Cry 9. Shaw Was A Good Man, Peewee 10. Lift 11. Motherless Child 12. Prelude To A Kiss


(03/09/29)7、11曲目がトラディショナル、2、12曲目がスタンダード/ジャズメン・オリジナル。他は参加者のフリー・インプロヴィゼーション。曲によって調子はずれに聴こえるのは音階を細分化する「微分音」によるもので、これが独特のサウンドや不安定感を生んでいます。おなじみの2、7曲目あたりもテーマの部分は分かるものの、危うげなハーモニーで、聴いていて失調感がある感じです。ただ、骨太な素朴感も何となく。フリーとは言え、咆哮はあまり激しくないし爆発しっぱなしというわけではないし、サウンドの点から内側にこもっていくような方向性もあります。でも、やっぱりハードなフリー。5曲目は珍しくピアノが入ってますがやっぱりマイペースの演奏。12曲目はソロピアノ。おなじみの曲なのにオリジナルに聴こえます。

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