ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。こちらは番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加え、’20年からLP聴きも追加してECM本編とJAPOが終了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページとメインブログと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。

2019年05月

1965


Gyorgy Kurtag/Kafna-Gragmente Op.24(ECM New Series 1965)(輸入盤) - Recorded September 2005. Juliane Banse(Soprano), Andras Keller(Vln) - Teil 1: 1. Die Guten Gehn Im Gleichen Schritt... 2. Wie Ein Weg Im Herbst 3. Verstecke 4. Ruhelos 5. Berceuse 1 6. Nimmermehr (Excommunicatio) 7. "Wenn Er Mich Immer Fragt" 8. Es Zupfte Mich Jemand Am Kleid 9. Die Weissnaherinnen 10. Szene Am Bahnhof 11. Sonntag, Den 19. Juli 1910 (Berceuse 2) 12. Meine Ohrmuschel... 13. Einmal Brach Ich Mir Das Bein 14. Umpanzert 15. Zwei Spazierstocke 16. Keine Ruckkehr 17. Stolz (1910/15. November, Zehn Uhr) 18. Traumend Hing Die Blume 19. Nichts Dergleichen Teil 2: 20. Der Wahre Weg Teil 3: 21. Haben? Sein? 22. Der Coitus Als Bestrafung 23. Meine Festung 24. Schmutzig Bin Ich, Milena... 25. Elendes Leben 26. Der Begrenzte Kreis 27. Ziel, Weg, Zogern 28. So Fest 29. Penetrant Judisch 30. Verstecke (Double) 31. Staunend Sahen Wir Das Grosse Pferd 32. Szene In Der Elektrischen Teil 4: 33. Zu Spat ( 22. Okutober 1913) 34. Eine Lange Geschichte 35. In Memoriam Robert Klein 36. Aus Einem Alten Notizbich 37. Leoparden 38. In Memorium Joannis Pilimszky 39. Wiederum, Wiederum 40. Es Blendete Uns Die Mongnacht...


(06/03/18)Gyorgy Kurtagは20世紀ハンガリー出身の作曲家。フランツ・カフカの「カフカ断章」に曲をつけたもので、全40曲でも60分弱。短いものは1分以下、長くて7分台の曲が並んでいます。まさにスペイシーで、そしてアヴァンギャルドな独特な雰囲気をあわせ持つ、不思議な世界が展開されています。静けさが基調の世界に、時にソプラノやヴァイオリンがあまり滑らかでないメロディとして浮かんでくる構図。まさに現代音楽的。 (06年7月26日発売)

1964


Piano Solo/Stefano Bollani(P)(ECM 1964) - Recorded August 2005. - 1. Antonia 2. Impro 1 3. Impro 2 4. On A Theme By Sergey Prokofiev 5. For All We Know 6. Promenade 7. Impro 3 8. A Media Luz 9. Impro 4 10. Buzzilare 11. Do You Know What It Means To Miss New Orleans 12. Como Fue 13. On The Street Where You Live 14. Maple Leaf Rag 15. Sarcasmi 16. Don't Talk


ステファノ・ボラーニのインプロヴィゼーションは4曲(2-3、7、9曲目)、作曲は3曲(6、10、15曲目)。いかにもECMらしい繊細で温度感の低いソロが多く展開。クラシック的な様相を示す曲も珍しくないです。「インプロ」の4曲は、このレーベルならではのフリーをやっているという感じですが、そこそこメロディらしさも出てくるので、割と自然に入ってきます。4曲目はクラシックのプロコフィエフにインスパイアされたというインプロヴィゼーションで、淡々と静かに進んでいきます。スタンダードやポップスも、優しさや哀愁を垣間見せながら、静かな世界、あるいは水面下を進んでいく雰囲気の曲もあり、自由な演奏の曲もあります。ジャジーで異色な11-13曲目も硬質な感じは少しあります。14曲のみ陽気。15曲目は盛り上がりも。(06年8月30日発売)

1963


Giacinto Scelsi/Natura Renovatur(ECM New Series 1963)(輸入盤) - Recorded June 2005. Frances-Marie Uitti(Cello), Munchener Kammerorchester, Christoph Poppen(Cond) - 1. Ohoi 2. Ave Maria 3. Ahagamin 4-6. Ygghur 7. Natura Renovatur 8. Allelija


(06/08/12)Giacinto Scelsiは20世紀イタリアの現代音楽家。ここでは、2、4-6、8曲目がチェロのソロで、1、3、7曲目がストリングスの合奏。12音階主義でスタートした彼のこと、難解な部分もあるのでしょうが、ただひたすらに持続音の連なりとサウンドで時系列的に漂っていく、というイメージもオーケストラにあります。緊張感のかなりあるサウンド。チェロのソロは緊張感にしろ癒しにしろゆったりした感じ。メロディも非メロディも。

1962


Elixir/Marilyn Mazur(Per, etc)/Jan Garbarek(Ts, Ss, Fl)(ECM 1962)(輸入盤) - Recorded June 2005. - 1. Clear 2. Pathway 3. Dunun Song 4. Joy Chant 5. Bell-Painting 6. Elixir 7. Orientales 8. Metal Dew 9. Mother Drum 10. Mountain Breath 11. Creature Walk 12. Spirit Of Air 13. Spirit Of Sun 14. Sheep Dream 15. Talking Wind 16. Totem Dance 17. The Silen In The Wall 18. River 19. On The Move 20. Winter Wish 21. Clear Recycle


(08/02/11)2人の共作が7曲(7、10、12-13、16、18、20曲目)で、他はマリリン・マズール作。共作はフリー・インプロヴィゼーションか。21曲を55分なので小品の連続。パーカッションも、マリンバ、ヴァイブラホンのメロディ楽器をはじめ打楽器もいろいろ使っています。そこに広がるサウンドは、ジャケットのように蒼く薄暗い世界の中での静かな語り合い、といった曲も多いようです。現像的なパーカッションの中を、たゆたうように漂っていくサックスのメロディ。そんな中でもパーカッションとかスチールドラムのような、パルスとノリの良いメロディでのサックスでの3-4、16曲目。またパーカッションのみの曲(タイトル曲の6曲目や、5、8-9、11、14-15、17、19曲目)もあります。基本は静かながらエキゾチックな雰囲気。

1960


Radiance/Keith Jarrett(P)(ECM 1960/61) - Recorded October 27 and 30, 2002. - 1-13. Part 1 - 13 Osaka, October 27, 2002 14-17. Part 14-17 Tokyo, October 30, 2002


CD2枚組のソロ・ピアノでのライヴ。大阪公演全部(CD1枚目のパート1-9と2枚目のパート10-13)と、東京公演の一部(CD2枚目のパート14-17)を収録。各パートを短めにしているのは近年の傾向かもしれませんが、一連の長いドラマとして聴くことも可能。ますます内省的に抽象的になってきた部分もありますし、3、6、13、15-16曲目のようなゆったりとしたクラシック的な、あるいは8曲目など牧歌的な明るい曲も含まれています。1曲目から自己の内面との対峙がはっきりとしているように感じ、その静かな緊張感に心が締め付けられるような気分も少々。時に移ろいゆくメロディと伴奏のバランスの良さで、重く、そして時に軽く、心にせまってきます。非ジャズ的な局面で、これだけ聴かせるのも珍しい。(05年4月27日発売)

1959


Silvestrov/Part/Ustvolskaya Misterioso/Alexei Lubimov(P)/Alexander Trostiansky(Vln)/Kyrill Rybakov(Cl, P)(ECM New Series 1959)(輸入盤) - Recorded May 2005. - Valentin Silvestrov: 1-3. Post Scriptum 4. Misterioso Arvo Part: 5. Spiegel Im Spiegel Galina Ustvolskaya 6-8. Trio 9. Sonata


(06/10/07)ウクライナ、エストニアはじめ旧ソ連の曲も集めたアルバム。曲はGalina Ustvolskayaのものが’50年前後で、他は新しい作曲です。トリオのものは6-8曲目のみで、デュオの組み合わせのものが多い。シルヴェストロフの1-3曲目はあまり難解ではないですが、4曲目は空間的な現代音楽。ペルトはスペイシーで明るく、素朴な色合いを生み出しています。Ustvolskayaはやや難解さはありながらも、浮遊感のあるメロディ。

1958

Luys De Narvaez/Musica Del Delphin/Pablo Marquez(G)(ECM New Series 1958)(輸入盤) - Recorded April 2006. - 1. Ptimer Tono Por Ge Sol Re Ut 2. Cancion Del Emperador (Mille Regretz De Josquin) 3. Fantasia Del Quinto Tono 4. Segundo Tono 5. Diferencias Sobre Conde Claros 6. Tercero Tono 7. Fantasia Del Primer Tono 8. Baxa De Contrapunto 9. Quarto Tono 10. Diferencias Sobre El Himno O Gloriosa Domina 11. Quinto Tono De Consonancia 12. Je Veulx Laysser Melancolie De Richafort 13. Sesto Tono Sobre Fa Ut Mi Re 14. Sanctus Y Hosanna (Missa Faisant Regretz De Josquin) 15. Septimo Tono Sobre Ut Re Mi Fa Mi 16. Fantasia Del Quarto Tono 17. Octavo Tono

(06/07/01)Luys De Narvaezは16世紀スペインの作曲家。この時代特有の哀愁の漂う、そして時にスペインの青空のようなカラッとしたギターを聴くことができますが、元楽器はギターより古いものであったことが予想されます。1-3分ほどの曲が多く、10曲目が7分弱あって、全17曲を45分ほどで演奏していますが、この時代の音世界にひたるには、いい長さではないかな、と思わせます。特に、哀愁系の曲は深い味わいがあります。

1957


Alexander Knaifel/Blazhenstva(ECM New Series 1957)(輸入盤) - Recorded March 2006. Ivan Monighetti(Cello, P, Cond), Tatiana Melentieva(Soprano), Piotr Migunov(B), State Hermitage Orchestra, Saulius Sondeckis(Cond), Lege Artis Choir


(08/10/12)Alexander Knaifelは20世紀生まれのロシアの現代音楽家。1曲目は’67年作曲’87年改定、2曲目は’96年作曲です。1曲目はチェロの曲。これぞ現代音楽というような無調、非メロディ系の演奏を連発したと思ったら、無音、小音の時間も中途に続き、実験音楽的要素が強いです。2曲目はオーケストラとコーラスもついての36分もの演奏。静寂な音世界から温度感が低いままに静かにゆったりと演奏が続いてゆきます。


1956


The Spaces In Between/John Surman(Ss, Bs, Bcl)(ECM 1956)(輸入盤) - Recorded February 2006. Chris Lawrence(B), Trans4mation: Rita Manning(Vln), Patrick Kiernan(Vln), Bill Hawkes(Viola), Nick Cooper(Cello) - 1. Moonlighter 2. You Never Know 3. Wayfarers All 4. Now And Again 5. Winter Wish 6. The Spaces In Between 7. Now See! 8. Mimosa 9. Hubbub 10. Where Fortune Smiles 11. Leaving Harrow


(07/06/03)全曲John Surmanの作曲。今回はベースとストリング・クァルテットとの共演。ベースはジャズ畑の人らしく、ピチカートでラインを弾いていきますが、ストリング・クァルテットは室内楽・現代音楽的な味付け。ゆったりとした感じで、温度感も低めの演奏が続いていき、そこにソプラノサックス、バリトン・サックス、バス・クラリネットが状況に応じて加わっていくサウンド。なかなかに個性的で、やはりワンマン的な演奏ですが、味わいとミステリアスな雰囲気が残ります。全体的にはクラシック・現代音楽系のサウンドの方が勝っています。ヨーロッパ特有のやや暗いエキゾチックさが出ているホーンとそれを取り巻くストリングス。タイトル曲の6曲目はなぜかヴァイオリンのソロ。7曲目はリズミカルで明るい感じなので少々異色かも。

1955


Helena Tulve/Lijnen(ECM New Series 1955)(輸入盤) - Recorded November 1997, October 2001, April 2004, March, May and June 2006. NYYD Ensemble, Olari Elts(Cond), Arianna Savall(Voice), Stockholm Saxophone Quartet, Emmanuelle Ophele-Gaubert(Fl), Mihkel Peaske(Fl), Silesian String Quartet - 1. A Travers 2. Lijnen 3. Oo 4. Abysess 5. Cendres 6. Nec Ros, Nec Pluvia...



(08/06/21)’72年生まれでエストニア出身の女流現代音楽家の作品集。録音時期や編成がかなりまちまちなので、集めてマンフレート・アイヒャーがアルバムのプロデュースを行った感じです。温度感が低く、調性が不明瞭で、静かながらも地を這うようなサウンドが、ゆっくりと進んでいくような感じ。サウンドの色合いも濃い寒色系で、北国の暗さをあわせ持つような展開を示します。ゆったりとしつつも現代音楽の複雑さでせまる作品。

このページのトップヘ