ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。こちらは番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加え、’20年からLP聴きも追加してECM本編とJAPOが終了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページとメインブログと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。

2019年06月

2025


Alfred Schnittke/Symphony No.9/Alexander Raskatov/Nunc Dimittis(ECM New Series 2025)(輸入盤) - Recorded January 2008. Dresdner Philharmonie, Dennis Russell Davies(Cond), Elena Vassilieva(Mezzo-Sporano), The Hilliard Ensemble: David James(Countertenor), Steven Harrold(Tenor), Rogers Covey-Crump(Tenor), Gordon Jones(Baritone) - Alfred Schnittke: 1-3. Synphony No.9 Alexander Raskatov: 4. Nunc Dimittis


(09/02/22)シュニトケとラスカトフは20世紀ロシアの現代音楽家。1-3曲目がシュニトケの遺稿をラスカトフが’06年に完成させたもの。そして4曲目はメゾ・ソプラノとヒリヤード・アンサンブルを加えたラスカトフ作の、より抽象性高く哀愁度のある歌曲です。少し抽象的で荘厳な感じのする静かな部分がウエイトを占めるロシア現代音楽で、温度感は低く、サウンドカラーはやはり寒色系。時に大きい音になりダイナミックレンジは大きめ。

2024


Gustav Mahler/Dmitri Shostakovich/Gidon Kremer(Cond)/Kremerata Baltica(ECM New Series 2024)(輸入盤) - Recorded October 2001 and November 2004. Yulia Korpacheva(Soprano), Fedor Kuznetsov(Bass) - Gustav Mahler: 1. Symphony No.10 - Adagio Dmitri Shostakovich: 2-12. Symphony No.14 Op.135


(07/09/27)グスタフ・マーラーは19世紀から20世紀にかけてウィーンで活躍した作曲家(曲は1910年作曲)、ドミートリィ・ショスタコーヴィチは20世紀ロシアの作曲家(曲は1969年作曲)。マーラー作品はやや大人チックで、クラシックの王道を行くような、穏やかな部分の多い演奏、ショスタコーヴィチ作は、荘厳なイメージのある現代的なオペラ作品。現代音楽としては分かりやすい方。「死と別離」がテーマの、異質な2つの世界の合併作。(07年10月3日発売)

2023


Cantando/Bobo Stenson(P) Trio(ECM 2023)(輸入盤) - Recorded December 2007. Anders Jormin(B), Jon Falt(Ds) - 1. Olivia 2. Song Of Ruth 3. Wooden Church 4. M 5. Chiquilin De Bachin 6. Pages 7. Don's Kora Song 8. A Fixed Goal 9. Love, I've Found You 10. Liebesode 11. Song Of Ruth, Var.


(08/08/31)ちょっと温かめの中南米の作曲家の曲(1、5曲目)、ドン・チェリー作(7曲目)、雰囲気出てるオーネット・コールマン作(8曲目)、13分ものモロにそういう感じのフリー・インプロヴィゼーション(6曲目)、アンダース・ヨーミン作(3-4曲目)などさまざまですが、ボボ・ステンソン作はなし。ただ、非4ビート系でヨーロッパ系の温度感の低い、彼らならではの演奏が続きます。タイトル曲の2曲目とその変奏曲の11曲目はPetr Eben作で、20世紀チェコの現代音楽家とのこと。それらしい雰囲気で硬質にせまってきますが、中途部分は彼らのペースのゆったりとしたジャズにアレンジされています。静かと思えば緊張感と温度感の低い盛り上がりのあるやり取りの場面もあったりと、78分をECM流にけっこう聴かせてくれます。

2021


My Foolish Heart/Keith Jarrett(P), Gary Peacock(B), Jack DeJohnette(Ds)(ECM2021/22) - Recorded July 22, 2001. - 1. Four 2. My Foolish Heart 3. Oleo 4. What's New 5. The Song Is You 6. Ain't Misbehavin' 7. Honey Suckle Rose 8. You Took Advantage Of Me 9. Straight, No Chaser 10. Five Brothers 11. Guess I'll Hang My Tears Out To Dry 12. On Green Dolphin Street 13. Only The Lonely


CD2枚組で109分の演奏。スタンダードやジャズメン・オリジナルばかりで、中間部にストライド奏法の入る懐かしい演奏(ファッツ・ウォーラー作で6-7曲目と、8曲目)。6年前の演奏を今になってリリースしただけあって、さすがにいい選曲と演奏です。ストライド奏法をトリオでゴキゲンに演奏するなんて、このトリオでは非常に珍しいことかもしれません。しかもボトムがただのサポートに終わっていないところもスゴいです。オリジナルがない分、いつもよりは親しみが増したかな、という感じ。確かに大いなるマンネリという言葉が頭をよぎりますけど、彼らの右に出るトリオが現在いない(と思う)ことも事実ですね。アップテンポの曲はスリリングだし、スローな曲は味わいがあるし。9曲目はうまくフリーの要素も取り入れています。(07年10月3日発売)

2020


The Third Man/Enrico Rava(Tp)/Stefano Bollani(P)(ECM 2020)(輸入盤) - Recorded November 2006. - 1. Estate 2. The Third Man 3. Sun Bay 4. Rotrato Em Branco Y Preto 5. Birth Of A Butterfly 6. Cumpari 7. Sweet Light 8. Santa Teresa 9. Felipe 10. In Search Of Titina 11. Retrato Em Branco Y Preto, Var. 12. Birth Of A Butterfly, Var.


(07/10/25)1、4、7、11曲目にアントニオ・カルロス・ジョビン作他のボッサがありますが、静寂性と温度感の低さで見事ECMの世界にハマッています。でも内省的だけれど聴きやすいほう。2曲目のタイトル曲は2人のフリー・インプロヴィゼーション。落ち着いたところから、アヴァンギャルドなフリー・タッチまで幅広い表現。Enrico Ravaの作曲が6曲、Stefano Bollani作が1曲と、主役はやはりラヴァの方でしょう。淡々と、そして静けさを基調にしながらクリアで豊穣、ところどころでドラマチックに盛り上がっていき、さすがECMと思わせるサウンド。それだけに聴く人を選ぶかもしれません。演奏にクラシック的な要素も見出せるし。2人のけっこう激しい面も見せている6、10曲目、ほんのり紅をさしたようなジャズの味付けのある7曲目。

2019


January/Marcin Wasilewski(P) Trio(ECM 2019)(輸入盤) - Recorded February 2007. Slawomir Kurkiewicz(B), Michal Miskiewicz(Ds) - 1. 1. The First Touch 2. Vignette 3. Cinema Paradiso 4. Diamonds And Pearls 5. Balladyna 6. King Korn 7. The Cat 8. January 9. The Young And Cinema 10. New York 2007


(08/02/11)Marcin Wasilewski作が4曲(1、7-9曲目)、3人のインプロヴィゼーションが10曲目で、他にゲイリー・ピーコック作(2曲目)、エンリオ・モリコーネ作(3曲目)、トーマス・スタンコ作(5曲目)、カーラ・ブレイ作(6曲目)など。出だしの3曲とタイトル曲の8曲目は、どの曲もオリジナルのようなある種の静けさ、クリアーさ、ヨーロッパ的なビート感のない流れていくようなサウンドで、美しいメロディが漂うようにせまります。そこから傾向は異なっていき、4曲目は何とプリンスの曲で、ビート感を付け足した明るいポップな味付けがある、彼らの音楽。5曲目はミステリアスなエキゾチックさがあり、6曲目は部分的にオーネット的な変幻自在なサウンド。7、9曲目のあたりもややピリッとしていい感じ。10曲目は作曲と同等の小品。

2018


Night Sessions/The Dowland Project/John Potter(Tenor)(ECM New Series 2018)(輸入盤) - Recorded September 2001 and January 2006. Stephen Stubbs(Lute, Chitarrone, Baroque G, Vihuela), John Surman(Ss, Bcl, Per), Maya Homburger(Baloque Vln), Milos Valent(Vln, Viola), Barry Guy(B) - 1. First Descent 2. Menino Jesus A Lapa 3. Recercar 4. Can Vei La Lauzeta Mover (De Ventadorn) 5. First Triage 6. Man In The Moon 7. Corpus Christi 8. Whistling In The Dark 9. Swart Mekerd Smethes 10. Fumeux Fume (Solage) 11. Hortus Ignotus 12. Mystery Play 13. I Sing Of A Maiden 14. Theoleputus 22 15. Second Descent 16. Second Triage 17 Prelude (Attaignant)


(13/08/03)プロジェクト4作目の今作は、中世、ビザンティンからルネッサンスまでのさまざまな曲を取り上げているとのこと。どの曲も参加したメンバーのクレジットがあり、曲ごとにメンバーが違います。ジョン・ポッター参加のヴォーカル曲は17曲中11曲あり。。表現はインプロヴィゼーション的なのもあり、参加した人で打ち合わせたものか。そこにジャズの人も関わって、6、8-9、11曲目のように現代フリー的な独特な世界も。問題作か。

2017


Being There/Tord Gustavsen(P) Trio(ECM 2017)(輸入盤) - Recorded December 2006. Harold Johnsen(B), Jarle Vespestad(Ds) - 1. At Home 2. Vicar Street 3. Draw Near 4. Blessed Feet 5. Sani 6. Interlude 7. Karmosin 8. Still There 9. Where We Went 10. Cocoon 11. Around You 12. Vesper 13. Wide Open


(07/06/03)7曲目以外はTord Gustavsenの作曲。このメンバーではこれが3作目。特筆すべきではない表現かもしれないけど、相変わらず、ゆったりと、ゆっくりと奏でていく哀愁の美旋律は健在です。寄り添うように音が集まっては、聴く人の心に発せられる、ある種沈んでいて、内向的なピアノ・トリオは、聴く人によっては退屈かもしれないし、ある人には心にせまってきます。60分弱で13曲なので、エッセンスを凝縮した曲が集まっています。曲ごとにこうだ、と言うよりは、最初から最後までの流れで聴くアルバムかも。4曲目はゆったりファンクという感じの、そして9曲目はエキゾチックな旋律でやや速い、流れからはちょっと異色な曲。7曲目だけはベーシストの曲ですが、訥々と入るドラムスと優しい旋律が面白い感じです。

2015


Frank Martin/Triptychon(ECM New Series 2015)(輸入盤) - Recorded February and June 2006. Muriel Cantoreggi(Vln), Juliane Banse(Soprano), German Radio Philharmonic Orchestra, CHristoph Poppen(Cond) - 1-6. Polyptyque - Six Images De La Passion Du Christ 7-9. Maria - Triptychon 10. Passacaille


(08/07/02)フランク・マルタンは20世紀スイス出身の現代音楽家。’60-70年代の曲が中心ですけれど、まさに現代音楽の手法で作曲がなされており、無調や十二音階技法なども使用しているのではと思われます。静かな場面と盛り上がる場面と、割とダイナミックな感じもしますが、その色調はやはり寒色系かなと思わせます。1-6曲目はヴァイオリンが、7-9曲目はソプラノ(歌)がフィーチャーされる曲です。けっこう硬派かも。

2016


Playground/Manu Katche(Ds)(ECM 2016)(輸入盤) - Recorded January 2007. Mathias Eick(Tp), Trygve Seim(Ts, Ss), Marcin Wasilewski(P), Slawomir Kurkiewicz(B), David Torn(G on 1, 12) - 1. Lo 2. Pieces Of Emotion 3. Song For Her 4. So Groovy 5. Morning Joy 6. Motion 7. Project 58 8. Snapshot 9. Possible Thought 10. Inside Game 11. Clubbing 12. Song For Her (Var.)


(07/09/30)全曲マヌ・カッチェの作曲。オーソドックスなクインテット中心ですが、4ビートにはなりません。北欧や東欧のミュージシャンを使って、淡々とした進行で哀愁のあるメロディがゆったりと繰り広げられるパターンの曲が多め。メロディアスで哀愁度が高く、印象的です。ただ中盤に行くにつれて独自のポップ的色彩はやや強くなる感じで、変化が出てきます。控えめながらそのドラムスはロックやポップス系の叩き方で、曲の進行に安定感があります。インスト・ポップスを聴いているような部分も。色調はあまり変わらないながら、4-5曲目のようにドラムスが割と前面に出てくる曲も時々あって、メリハリはあります。8曲目はボッサが入って曲の中ほどでそれなりに盛り上がりも。11曲目はアップテンポの16ビートで爆発。

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