ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。こちらは番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加え、’20年からLP聴きも追加してECM本編とJAPOが終了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページとメインブログと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。

2019年10月

2175

Gesualdo/Quinto Libro Di Madrigali/The Hilliard Ensemble(ECM New Series 2175)(輸入盤) - Recorded November 2009. Monika Mauch(Soprano), David James(Coutertenor), David Gould(Countertenor), Rogers Covey-Crump(Tenor), Steven Harrold(Tenor), Gordon Janoes(Baritone) - Delli Madrigali A Clinque Voci Del Prencipe Di Venosa Libro Quinto: 1. Gioite Voi Col Canto 2. S'io Non Miro Non Moro 3. Itene, O Miei Sospiri 4. Dolcissima Mia Vita 5. O Dolorosa Gioia 6. Qual Fora, Donna 7. Felicissimo Sonno 8. Se Vi Duol Il Mio Duolo 9. Occhi Del Mio Cor Vita 10. Languisce Al Fin 11. Merece Grido Piangendo 12. O Voi, Troppo Felici 13. Correte, Amanti, A Prova 14. Asciugate I Begli Occhi 15. Tu M'uccidi, O Crudele 16. Deh, Coprite Il Bel Seno 17. Poiche I'avida Sete 18. Ma Tu, Cagion 19. O Tenebroso Giorno 20. Se Tu Fuggi, Io Non Resto 21. T'amp, Mia Vita

(12/04/29)Carlo Gesualdo di Venosaは16-17世紀のイタリアの作曲家。ここでは1611年に作曲された声楽曲が録音されています。時期的に見て、宗教音楽だと思いますが、ヒリヤード・アンサンブル(ここではひとり女声あり)によって、ゆったりとした、そして響きの多い荘厳な雰囲気で録音されています。シンプルなようでいて少し複雑さを帯びているようなコーラスで、世間に評価されるのは後世(19世紀?)になってからとのことらしいです。

2174

Boris Yoffe/Song Of Songs(ECM New Series 2174)(輸入盤) - Recorded November 2009. Rosamunde Quartett: Andreas Reiner(Vln), Diane Pascal(Vln), Helut Nicolai(Viola), Anja Lschner(Cello),   The Hilliard Ensemble: David James(Countertenor), Rogers Covey-Crump(Tenor), Steven Harrold(Tenor), Gordon James(Baritone) - 1. I Sought Him But I Found Him Not 2. My Own Vineyard I Did Not Keep 3. I Sleep, But My Heart Waketh 4. My Head Is Filled With Dew, My Locks With Drops Of The Night 5. My Soul Went Forth When He Spoke

(11/11/06)Boris Yoffeはロシア生まれの現代音楽家。曲のタイトルは聖書の言葉らしいです。現代音楽によくある一部難解な表現(メロディは時にすんなりいかない)と、安らぎのあるような平穏な表現の間をいくような、ある種ゆったりとしていて癒される、不思議な感触のサウンドになっています。ロザムンデ・クァルテットとヒリヤード・アンサンブルという、ECMの看板の弦楽四重奏団と合唱のグループが参加しているのでも、気になる1枚です。

2173

Bold As Light/Stephan Micus(Voice, All Instruments)(ECM 2173)(輸入盤) - Released 2010. - 1. Rain 2. Spring Dance 3. Flying Swans 4. Wide River 5. Autumn Dance 6. Golden Ginkgo Tree 7. The Shrine 8. Winter Dance 9. The Child 10. Seven Roses

(10/10/20)全曲ステファン・ミクスの一人多重録音。ヴォイスや民族楽器を多重録音している時もあれば、単独で使用している曲もあります。日本的な情緒も含む、無国籍的な民族音楽的な要素はここでも健在です。使用楽器はRaj Nplaim、Zithar、Bass Zithar、Chord Zithar、Nohkan、Sho、Kalimba、Shakuhachi、Sindingといろいろな国の楽器を使用しつつ、日本の楽器が3つあるところも興味深いところ。春秋冬とダンスのタイトルの曲もありますけれど、やはり流れていくような民族的ヒーリング・ミュージックのサウンドで、躍動感とは対極にあります。むしろ日本の静かな踊り(あるいは推測ですが、能など)のイメージに近いのでは。日本的な楽器の奏法については、かなりそれらしくせまっています。ヨーロッパでは人気があるのでは。

2172

Vespers/Iro Haarla(P, Harp) Quintet(ECM 2172)(輸入盤) - Recorded February 2010. Mathias Eick(Tp), Trygve Seim(Sax), Ulf Krokfors(B), Jon Christensen(Ds) - 1. A Port On A Distwant Shore 2. Vesper 3. A Window Facing South 4. The Warm Currents Of The Sea 5. Doxa 6. Satoyama 7. The Shimmer Of Falling Stars 8. Returning Home 9. Adieux

(11/03/06)全曲Iro Haarlaの作曲。ピアノだけではなく、ハープを曲によって使用しています。クインテットですがジャズのそれではなく。ビートが比較的自由に進行していく、バラードの多めな、ゆったりしたヨーロピアンの香りがするECMジャズですが、しっとりしていて、温度感もやや温かめのところがあります。そして、ジャズ色は薄いながらも、やはりこのメンバーなのでECM的には満足感は高いです。ゆるいアレンジながらも、コンビネーションが良く、しかも、彼女のメロディが前面に出てきている感じがあって、草原の陽射しと雲の陰りと、サウンドの陰影感覚がなかなか素晴らしいものがあります。そんな中で4、9曲目は温度感が低くてゆったりシリアスだし、5曲目は8分の6拍子でモーダルな雰囲気のジャズ。6曲目は、まあ日本風。

2170

Vinding's Music - Songs From The Alder Thicket/Ketil Bjornstad(P on CD1)(ECM 2170/71)(輸入盤) - CD1: Recorded December 2009. CD2: Recorded March 2009. CD2: Christian Eggen(P on 1, 7, Cond on 7), Gunilla Sussmann(P on 2-3, 6), Hie Zhang(P on 4-5), Norwegian Radio Orchestra(on 7) - CD1: 1. So Far, So Hidden 2. If Only 3. Outside Skoog 4. The Stones, The River 5. Promise 6. She Didn't Say 7. Evening Voices 8. Remembrance 1   9. New Morning   CD2: Wolfgang Amadeus Morzart: 1. Adagio From Piano Concerto No.23 In A Major KV488   2. Claude Debussy: Clair De Lune From Suite Bergamasque 3. Sergey Rachmaninov: Adagio Sostenuto From Piano Concerto No.2 In C Minor Op.18   4. Frederic Chopin: Ballade No.1 In G Minor Op.23   5. Maurice Ravel: Adagio Assai From Piano Concerto In G Minor 6. Ludwig Van Beethoven Gesangvoll, Mit Innigster Empfindung. Andante Molto Cantabile Ed Espressivo From Sonata No.30 In E Major Op.109   7. Samuel Barber: Adagio For Strings

(12/06/03)CD1枚目がケティル・ビヨルンスタの作曲、ソロ演奏で、CD2枚目がクラシックの曲を、クラシックのピアニストやオーケストラの演奏で、という、クロスオーバーした、いかにもECMらしい2枚組。1枚目のビヨルンスタ作も、穏やかな感じでクラシック的な曲と言えなくもないし、CD2枚目も「アダージョ」の曲が多くて、やはり基調は穏やかな感じ。それでも、テンポ的にいい場面も混ざっていて、いかにもクラシック。内容的には異質な2枚が合わさっていても、自然な流れになっています。2枚目はそのままNew Seriesかも。1枚目のオリジナルはやはり彼らしいな、と思うのですが、即興的な内容かどうかはともかくアクが全然なくてストレートさが彼らしいし、癒しのピアノなどのジャンル分けをされそうな、クセのない演奏ではあります。

2169

Witold Lutoslawski/Bela Bartok/Musique Funebre/Stuttgarter Kammerorchester(ECM New Series 2169)(輸入盤) - Recorded May 2004 and February 2010. Hungarian Radio Children's Choir, Stuttgarter Kammerorchester, Dennis Russell Davies(Cond) - Witold Lutoslawski: 1. Musique Funebre   Bela Bartok: 2. Romanian Folk Dances BB 76   3-5. Divertimento BB 118   6-12. From: 27 Two- And Three- Part Choruses BB 111

(12/05/25)1曲目のWitold Lutoslawskiは20世紀ポーランドの現代音楽家で「葬送音楽」はバルトークの追悼のために作曲。これは完全に現代音楽の世界。バルトークは20世紀前半のハンガリー出身、ニューヨークで没した現代音楽家、民俗音楽研究家。割とはっきりした旋律が入っている民俗音楽の方が強い場面(2曲目)もありますが、完全に現代音楽(特に3-5曲目)もあり、6曲目以降の子供の合唱団が聴きやすい曲もあります。

2168

Swept Away/Marc Johnson(B)/Eliane Elias(P)(ECM 2168)(輸入盤) - Recorded February 2010. Joey Baron(Ds), Joe Lovano(Ts) - 1. Awept Away 2. It's Time 3. One Thousand And One Nights 4. When The Sun Comes Up 5. B Is For Butterfly 6. Midnight Blue 7. Moments 8. Sirens Of Titan 9. Foujita 10. Inside Her Old Music Box 11. Shenandoah

(12/09/26)マーク・ジョンソン作が3曲(4、6、9曲目)、イリアーニ・エライアス作が5曲(1-3、5、7曲目)、2人の共作が2曲(8、10曲目)、アメリカのフォークソングが11曲目と、どちらかというとイリアーヌの方がメインかも。ここでは2人のプロデュースで、マンフレート・アイヒャーの文字はなし。デュオだったり、サックスが時々入ったりといろいろ。1曲目のタイトル曲のように、いかにもECM的な、静かなサウンドのこともあれば、2曲目のように、ある程度の盛り上がりもある曲もあり、3曲目に至ってはワンコードで16ビート的に突っ走っています。4曲目の途中でミディアムの4ビートでの演奏も入っていて、レーベルを少し意識しつつ割と自由に演奏している感じ。5曲目も8ビート的でメロディアスな曲。ベース・ソロで穏やかな11曲目。

2167

The Rub And Spare Change/Michael Formanek(B)(ECM 2167)(輸入盤) - Recorded June 2009. Tim Berne(As), Craig Taborn(P), Gerald Cleaver(Ds) - 1. Twenty Three Neo 2. The Rub And Spare Change 3. Inside The Box 4. Jack's Last Call 5. Tonal Suite 6. Too Big To Fall

(10/10/14)全曲マイケル・フォーマネクの作曲。フリーの部分も構築された流れも変拍子もあり、複雑。レーベルイメージからすると予想を裏切る曲も。変拍子かつなだらかでエキゾチックな曲調がクラシック的でもあり、ドラマチックにユルく進行していく1曲目、慌ただしい変幻自在のテーマで、複雑に絡み合うビートの効いたよく弾む曲調の、アドリブもスリリングなフリー調にもなるタイトル曲の2曲目、メカニカルなユニゾンのテーマからアドリブに突き進むファンクビートの3曲目、ピアノから徐々に入るもフリーかつスピリチュアルな流れの4曲目、ミステリアスなテーマ、その発展形でアドリブがつながり絡み合って中盤何度か盛り上がる17分台の5曲目、ホーン、ベースのテンポとピアノのコンピングが絡み合いつつ自由に進む6曲目。

2166

A Worcester Ladymass/Trio Mediaeval(ECM New Series 2166)(輸入盤) - Recorded February 2010. Anna Maria Friman(Vo), Linn Andrea Fuglseth(Vo), Torunn Ostrem Ossum(Vo) - 1. Salve Sancta Parens 2. Kyrie 3. Gloria 4. Munda Maria 5. Sponsa Rectoris Omnium 6. O Sponsa Dei Electa 7. O Maria Virgo Pia 8. Benedicta/Virgo Dei Genitrix 9. Credo 10. Felix Namque 11. Salve Rosa Florum 12. Grata Iuvencula 13. Inviolata Integra Mater 14. De Supernis Sedibus 15. Dulciflua Tua Memoria 16. Sanctus 17. Agnus Dei 18. Beata Viscera 19. Alma Dei Genitrix 20. Benedicamus Domino

(11/03/27)9、20曲目のみ現代音楽家のGavin Bryersの’08年作品で、他は13-14世紀の西部イギリスの教会に残っていた楽譜を元に編曲されたものだそうです。素朴な味わいのある宗教音楽ですが、ハーモニーなどは編曲の段階でつけたものかも。それにしても天使の声と言ってもいいくらいの美しい女声3部合唱です。現代音楽の曲も他の昔からの曲と違和感なく溶け込んでいるし、録音場所のサンクト・ジェロルド教会もいい響き。

2165

Jasmine/Keith Jarrett(P)/Charlie Haden(B)(ECM 2165)(輸入盤) - Recorded March 2007. - 1. For All We Know 2. Where Can I Go Without You 3. No Moon At All 4. One Day I'll Fly Away 5. Intro - I'm Gonna Laugh You Right Out Of My Life 6. Body And Soul 7. Goodbye 8. Don't Ever Leave Me

(10/05/09)5曲目のイントロ部分がキース・ジャレットの即興部分(自然なメロディ)の他は、全てスタンダードでバラード中心、ミディアムの4ビート(3曲目、6曲目中盤のみ)。しっとりとピアノが優しく、そしてメロディアスに歌い上げていく曲が多いです。6曲目ではいつもの彼の入り組んだメロディの面も。バップの香りは微かで、自然にメロディが紡ぎだされていきます。そこに寄り添うようにチャーリー・ヘイデンの、ややねばり気のあるベースですが、バラードが多いため、どっしりと支えています。レーベル特有の硬質さは息をひそめて、温かみのあるホンワカとした雰囲気が前面に出ています。ECMでただひとり、スタンダードをこのように演奏していいことを認められているキースならではのアルバム。それでも昔に比べれば、丸いか。

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