ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。こちらは番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加え、’20年からLP聴きも追加してECM本編とJAPOが終了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページとメインブログと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。

2019年11月

2215

Franz Schubert/Moments Musicaux/Valery Afanassiev(P)(ECM New Series 2215)(輸入盤) - Recorded September 2010. - 1-6. Moments Musicaux D780 7-10. Sonata In D Major D850

(12/11/09)フランツ・シューベルトは19世紀オーストリアの作曲家。「楽興の時」「ピアノソナタ第17番」という作品の演奏です。これらは有名な曲だと思うのですが、ヴァレリー・アファナシエフのピアノで、安定したクラシックの演奏を聴かせてくれます。アファナシエフはシューベルトをよく演奏する人らしく、演奏の安定感だけではなくて、その愛情もにじみ出てくる雰囲気。また、個性的な演奏をする人でもあるようですが、それは聴く人のご判断で。

2213

George Friedrich Handel/Dei Acht Grossen Suiten/Lisa Smirnova(P)(ECM New Series 2213/14)(輸入盤) - Recorded 2007-2009. - 1-4. Suite No.2 F Major HWV427   5-9. Suite No.8 F Minor HWV433   10-14. Suite No.4 E Minor HWV429   15-18. Suite No.5 E Major HWV430   19-24. Suite No.3 D Minor HWV428   25-28. Suite No.6 F-sharp Minor HWV431   29-32. Suite No.1 A Major HWV426   33-38. Suite No.7 G Minor HWV432

(11/12/03)CD2枚組。ヘンデルはドイツ生まれでイギリスに帰化した18世紀の作曲家。これらの曲は1720年に作曲され、「クラヴィーア組曲第1巻」という位置付けのようです。バロック音楽で、何となく曲調からバッハにも似ているけれども、彼らは同時期に活躍した作曲家。もう少し変化にも富んでいて、それがリサ・スミルノワの演奏するピアノで、ヘンデルの世界にどんどん引きこまれていくような感じです。正統派のバロック音楽の世界です。

2211

Re: ECM/Ricardo Villalobos(Electronics)/Max Loderbauer(Electronics)(ECM 2211/12)(輸入盤) - Released 2011.(Soundstructures: Autumn 2009) - 1. Reblop 2. Recat 3. Resvete 4. Retimeless 5. Reemergence 6. Reblazhenstva 7. Reannounce 8. Recurrence 9. Requote 10. Replob 11. Reshadub 12. Rebird 13. Retinkhiy 14. Rekondakion 15. Rensenda 16. Resole 17. Redetach

(11/06/03)最近流行りのリミックス盤。元ネタは、The Jewel In The Lotus/Bennie Maupin(ECM 1043), Timeless/John Abercrombie(ECM 1047), Emergence/Miroslav Vitous(ECM 1312), Kanon Pokayanen/Arvo Part(ECM 1655), Ignis/Paul Giger(ECM 1681), Amicta Svete/Alexander Knaifel(ECM 1731), Tinkhiy/Alexander Knaifel(ECM 1763), Tati/Enrivo Rava/Stefano Bollani/Paul Motian(ECM 1921), L'imparfait Des Langues/Louis Sclavis(ECM 1954), Blazhenstva/Alexander Knaifel(ECM 1957), Currents/Wolfert Brederode Quartet(ECM 2004), The Zoo Is Far/Christian Wallumrod Ensemble(ECM 2005), Fabula Suite Lugano/Christian Wallumrod Ensemble(ECM 2118)(番号順に記載)。ネタ元の重複あり。環境系もあって、ECMらしいことは、らしい。

2210

The Land That Is Not/Sinikka Langeland(Vo, Kantele)(ECM 2210)(輸入盤) - Recorded September 2010. Arve Henriksen(Tp), Trygve Seim(Sax), Aners Jormin(B), Markku Ounaskari(Ds) - 1. The Land That Is Not 2. What Is Tomorrow? 3. A Strip Of Sea 4. Triumph Of Being 5. The River Murmurs 6. Lucky Cat 7. It's The Dream 8. The Day Colls 9. The Rose 10. Spring In The Mountains 11. Slowly The Truth Dawns

(11/10/09)Sinikka Langelandはノルウェーのフォーク歌手。歌詞はEdith SodergramとOlav. H. Haugeのものらしく、作曲は主に彼女、3、5曲目はアンダース・ヨーミンとの共作になっています。似たような編成ではECM2枚目のアルバムですが、彼女の歌のフォーク的なところと、バックは2ホーンクァルテットなので、間奏などでのなだらかな北欧ジャズ的な対比が面白い。哀愁がかなりある歌で、ノルウェー色はかなり強いです。それは歌だけではなくて、彼女の使っているカンテレという弦楽器もサウンドに作用しています。まさに北欧フォークと北欧ジャズとの融合という感じ。温度感はあくまでも低く、それでいながら、歌で主張するところはしている感じ。フワフワ感のある独特なサウンドの2管も、異国情緒たっぷりだし、面白い効果です。

2209

Counterchant - Music For Clarinet Solo/Reto Bieri(Cl)(ECM New Series 2209)(輸入盤) - Recorded September 2010. - Luciano Berio: 1 Lied   Heinz Holliger: 2-7. Contrechant   Salvatore Sciarrino: 8. Let Me Die Before I Wake   Eliott Carter: 9. Gra   Heinz Holliger: 10 Rechant   Peter Eotvos: 11. Derwischtanz   Gergely Vajda: 12. Lightshadow-trembling

(11/11/06)Reto Bieriは’70年代生まれのスイスのクラリネット奏者。ここではクラリネットのソロで、’20-21世紀の現代音楽家たちの、’80年代から’00年代にかけての曲を演奏しています。ソロなので、空間的な間のある演奏が多いですが、難解ながらも、さまざまな奏法や音の出し方でクラリネットの表現力の限界に挑戦しているような吹き方をしています。現代音楽家も、そうそうたる6人。深遠な中に神秘を見るような不思議な音。

2208

Faithful/Marcin Wasilewski(P) Trio(ECM 2208)(輸入盤) - Recorded August 2010. Slawomir Kurkiewicz(B), Michal Miskiewicz(Ds) - 1. An Den Kleinen Radioapparat 2. Night Train To You 3. Faithful 4. Mosaic 5. Ballad Of The Sad Young Men 6. Oz Guizos 7. Song For Swirek 8. Woke Up In The Desert 9. Big Foot 10. Lugano Lake

(11/05/01)このメンバーではECM3作目。Marcin Wasilewskiの作曲は5曲(2、4、7-8、10曲目)で、他はスタンダードやジャズメン・オリジナルその他が並んでいます。タイトル曲の3曲目はオーネット・コールマン作で、ゆったり美しく仕上がっているし、9曲目にポール・ブレイ作もあってこれがいちばんジャズ的で過激。盛り上がるところは盛り上がり、レーベルでは自由にやらせてくれる方です。4ビートはないけど、ある種ジャズ的な満足のある曲(2曲目など)も。耽美的な曲も多く、流れていくような美しい旋律が印象的だし、トリオとしてのまとまりもかなりのもの。8分の6拍子+8分の5拍子の哀愁漂う2曲目は、中盤部は盛り上がりで攻めてきます。スタンダードの5曲目はしっとりとしたバラード。パスコアール作の6曲目は淡白か。

2207

Avenging Angel/Craig Taborn(P)(ECM 2207)(輸入盤) - Recorded July 2010. - 1. The Broad Day King 2. Glossolalia 3. Diamond Turning Dream 4. Avenging Angel 5. This Voice Says So 6. Neverland 7. True Life Near 8. Gift Horse/Over The Water 9. A Difficult Thing Said Simply 10. Spirit Hard Knock 11. Neither-Nor 12. Forgetful 13. This Is How You Dissapear

(11/05/17)全曲Craig Tabornの作曲。ソロなので、もしかするとフリー・インプロヴィゼーションの要素も強いかも。マンフレート・アイヒャーのプロデュースでもあり、出だしはECM的な、静かで耽美的ではあるも、2曲目は速いパッセージのフリー・インプロヴィゼーションで、やはりひとクセもふたクセもありそうなピアノです。それでいて、美しかったり静かだったりする要素もあって、レーベルのこうあらねばならぬ、というような部分を押さえつつも、彼なりに飛翔している感じ。変拍子もあり、多少現代音楽的な難解なフレーズも垣間見えるのも、彼の多面性を表しています。音的に出るべきところは出ているも、やはりジャズ的というよりは現代音楽的な力強さ。でも温度感は低いままの硬質さは保っています。彼の一面ですが、なかなか。

2205

Athens Concert/Charles Lloyd(Sax, Fl, Tarogato)/Maria Farantouri(Voice)(ECM 2205/06)(輸入盤) - Recorded June 2010. Jason Moran(P), Reuben Rogers(B), Eric Harland(Ds), Scratis Sinopoulos(Lyra), Takis Farazis(P) - 1. Kratissa Ti Zoi Mou 2. Dream Weaver 3. Blow Wind 4. Requiem 5-7. Greek Suite, Part 1   8. Taxidi Sta Kythera 9. Prayer 10-12. Greek Suite, Part 2   13-17. Greek Suite, Part 3   18. Yanni Mou

(11/09/08)CD2枚組。チャールス・ロイドのバンドとギリシャのヴォーカル共演の、アテネでのコンサート。ロイド作は2-4、9曲目のみで、あとはギリシャの作曲家の曲やトラディショナル、あるいはそれを基にした曲で、エレニ・カラインドロウ作(8曲目)も。ほとんどの曲にヴォーカルが入っています。ギリシャのトラディショナル寄りのサウンドの曲もあれば、ロイドのサウンドの曲も2、4曲目などにあり。時にギリシャ流のエキゾチックさ、ギリシャの曲でのバンドサウンド、それらが合わさった場面も。18曲中、特に組曲がパート1から3まで11曲もあるのでこれらが骨組みなのですが、つながってい流れていくようでも、個々の曲の組み合わせ。スピリチュアルな演奏も多めですが、ECMにしては時々賑やかなサウンドで盛り上がります。

2204

Navidad De Los Andes/Dino Saluzzi(Bandoneon)/Anja Lechner(Cello)/Felix Saluzzi(Ts, Cl)(ECM 2204)(輸入盤) - Recorded July 2010. - 1. Flor De Tuna 2. Sucesos 3. Fragments 4. Son Qo'nati 5. Requerdos De Bohemia 6. Gabriel Kondor 7. El Vals De Nostros 8. Candor/Soledad 9. Variacions Sobre Una Melodia Popular De Jose L. Padula 10. Ronda De Ninos En La Montana 11. Otono

(11/09/23)題は「アンデスのクリスマス」。全11曲中、5曲目以外はディノ・サルーシの作曲ないしは共作です。インプロヴィゼーションはあるのだろうけれど、いわゆるジャズ度はなく、乾いた静かな南米のアルゼンチンの音楽とクラシックの融合のサウンドで、こんな落ちついた世界があったのか、と気付かせてくれています。リズム楽器がないので、タンゴ色も希薄だし、やはり内側を向いていて、思索的な雰囲気です。時々彼らならではの盛り上がりはありますが、クラシック的というか現代音楽的というか、そんな感じ。その中では4、8曲目がタンゴ的に割とストレートにサウンドを表出させています。5曲目は他人の曲(’35年作曲のタンゴ)をディノ・サルーシがアレンジしたものだけど、タンゴとクラシックの間のボーダーレスな世界。

2203

Mistico Mediterraneo/Paolo Fresu(Tp, Flh)/A Filetta Corsican Voices/Daniele Di Bonaventura(Bandoneon)(ECM 2203)(輸入盤) - Recorded January 2010. - 1. Rex Tremendae 2. Liberata 3. Da Te A Me 4. Le Lac 5. Dies Irae 6. Gloria 7. Corale 8. La Folie Du Cardinal 9. U Sipolcru 10. Scherzi Veranili 11. Figliolu D'ella 12. Gradualis 13. Sanctus

(11/02/19)男声7人のコーラスとパオロ・フレス、そしてバンドネオンの演奏で、宗教音楽のような敬虔さのあるサウンドで聴かせてくれる荘厳な曲が多い。ただ、A FilettaのメンバーのJean-Claude Aequaviva作が4曲(1-2、9、11曲目)あって、2曲目は現代のポップスのコーラスのエッセンスもあったりと、さまざま。Daniele Di Bonaventuraの曲は7、12-13曲目の3曲。他の作曲者も現在の作曲者で、古楽とは関わりがなさそうですけど、そのようなサウンドとポップス(楽器の伴奏はあるけれどもア・カペラ的な)の要素の混ざった、不思議なサウンドです。パオロ・フレスのトランペット(フリューゲル・ホーン)も、適度に絡んでいて、少しは速いパッセージもあるけれども、ゆったりとした曲に合わせています。不思議な位置のアルバム。

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