ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。こちらは番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加え、’20年からLP聴きも追加してECM本編とJAPOが終了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページとメインブログと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。

2020年01月

2259

Celebration/Arild Andersen(B)/Scottish National Jazz Orchestra/Tommy Smith(Fl, Ts, Direct)(ECM 2259)(輸入盤) - Recorded Ontober 2010. Scottish National Jazz Orchestra: Martin Kershaw(Cl, Ss, As), Paul Towndrow(As), Tommy Smith(Fl, Ts), Konrad Wiszniewski(Ts), Bill Fleming(Bcl, Bs), Ryan Quigley(Tp, Flh), Cameron Jay(Tp, Flh), Richard Iles(Tp, Flh), Tom MacNiven(Tp, Flh), Chris Greive(Tb), Phil O'Malley(Tb), Michael Owers(Tb), Lorna McDonald(Btb, Tuba), Steve Hamilton(P), Calum Gourlay(B), Alyn Coster(Ds) - 1. May Dance 2. Molde Canticle, Part 1   3. Crystal Silence 4. Ulrikas Dans 5. Independency, Part 4   6. My Song

(12/06/16)ライヴで、しかもビッグバンド。ECMでの有名曲の作曲者とアレンジャーは1曲目から以下の通り。デイヴ・ホランド(Christian Jacob)、ヤン・ガルバレク(Tommy Smith)、チック・コリア(小曽根真)、Trygve Seim(Oyvind Braekke)、アリルド・アンデルセン(Mike Gibbs)、キース・ジャレット(Geoffrey Keezer)。ECMのトリビュート・アルバムの位置付けのようだけれど、おなじみのメロディで耳になじんだ曲も多く、アンデルセンのソロがなかなか(もう一人のベースはバックのようです)。ビッグバンドのアレンジもなかなか素晴らしいし、ちょっと活発かな、という感じでせまって来る場面もありますが、ECMらしく静かに進むところも。極めつけはラストの「マイ・ソング」か。何といってもメロディの強度があります。特別なアルバムかも。

2258

The Sirens/Chris Potter(Ss, Ts, Bcl)(ECM 2258)(輸入盤) - Recorded September 2011. Craig Taborn(P), David Virelles(Prepared P, Celeste, Harmonium), Lary Grenadier(B), Eric Harland(Ds) - 1. Wine Dark Sea 2. Wayfinder 3. Dawn (With Her Rosy Fingers) 4. The Sirens 5. Penelope 6. Kalypso 7. Nausikaa 8. Stranger At The Gate 9. The Shades

(13/01/29)9曲目がCraig TabornとDavid Virellesの他はクリス・ポッターの作曲。ややおとなしめかなと思うけど、ECMでも彼らしい演奏とサウンドが前面に出ているところも。静かにはじまったと思ったらいつもの調子でバリバリと盛り上がっていく1曲目、複雑な拍子と進行で幻惑されつつも渋く盛り上がって進む2曲目、しっとりとした温度感の低いバラードから情感豊かになる3曲目、哀愁のあるバスクラリネット/サックスのバラードのタイトル曲の4曲目、朗々とサックスの音が響き渡る浮遊感のあるバラードの5曲目、音が飛び飛びになる跳ねるフリー調の6曲目、やはり温度感の低いミステリアスなバラードの7曲目、浮遊感のある音のつながりで、これまたジワジワ盛り上がるボッサ的な8曲目、鍵盤楽器のデュオの小品の9曲目。

2257

Wisteria/Steve Kuhn(P) Trio(ECM 2257)(輸入盤) - Recorded September 2011. Steve Swallow(B), Joey Baron(Ds) - 1. Chalet 2. Adagio 3. Morning Dew 4. Romance 5. Permanent Wave 6. A Likely Story 7. Pastorale 8. Wisteria 9. Dark Glasses 10. Promises Kept 11. Good Lookin' Rookie

(12/06/04)タイトル曲の8曲目はアート・ファーマー作。スティーヴ・キューン作は6曲(1-3、6-7、10曲目)、スティーヴ・スワロウ作が2曲(9、11曲目)、カーラ・ブレイ作が5曲目。2-3、7、10曲目が「Promises Kept」の再演曲だけど、そのアルバムも再演曲が多いので、元がどうなっているか。スワロウはエレキ・ベースだけども、1曲目から4ビートのジャズでのバップっぽい演奏なので、レーベル的に意外な感じ。3曲目も4ビート。というより、多くの曲が4ビートです。ボッサ的なリズムで味わいのある2、4曲目をはじめ、ECMとしては、かなりやりたい放題の演奏をマンフレート・アイヒャーが、彼のプロデュースなのに許してくれています。それでも7-8曲目のようなしっとり感も。キューンのピアノは文句なしで、けっこういい雰囲気。

2256

Sofia Gubaidulina/Canticle Of The Sun(ECM New Series 2256)(輸入盤) - Recorded July 2006 and July 2010. The Lyre Of Orpheus: Gidon Kremer(Vln), Marta Sudraba(Cello), Kremerata Baltica, Canticle Of The Sun: Nicolas Altstaedt(Cello), Andrei Pushkarev(Per), Rihards Zalupe(Per), Rostislav Krimer(Celesta), Riga Chamber Choir "Kamer...", Maris Sirmais(Cond) - 1. The Lyre Of Orpheus 2-5. The Canticle Of The Sun

(12/03/04)Sofia Gubaidulinaは20-21世紀のロシア連邦タタールスタン共和国出身の女性現代音楽家。ECMに似合う静かな場面の多い、温度感の低い現代音楽が特徴。ただ、やはり少々難解なサウンドではあります、ここでは’06年作曲の「The Lyre Of Orpheus」(’06年録音)と’97年作曲の「The Canticle Of The Sun」(’10年録音)をカップリング。演奏者も異なります。2曲目以降はコーラスも入りますが、あまり雰囲気は違いません。

2255

Canto Oscuro/Anna Gourari(P)(ECM New Series 2255)(輸入盤) - Recorded May 2011. - Johann Sebastian Bach, Ferruccio Busoni: 1. Choralvorspiel Ich Ruf' Zu Dir, Herr Jesu Christ   Sofia Gubaidulina: 2. Chaconne   Paul Hindemith: 3-7. "1922" - Suite Fur Klavier   Johann Sebastian Bach, Ferruccio Busoni: 8. Choralvorspiel Nun Komm' Der Heiden Heiland 9. Chaconne   Johann Sebastian Bach, Alexander Siloti: 10. Prelude In B Minor

(12/11/10)バッハの曲をブゾーニが編曲したものをはじめ、18世紀から現代音楽の時代にまたがり、何人かの作曲家の曲を演奏しています。ソフィア・グバイドゥリーナやポール・ヒンデミスの曲もあって、表現の幅も幅広いです。バッハの編曲ものはバロックより後の時代だけあって、編曲時の19-20世紀のサウンドに聴こえます。ただ、こういう組み合わせはECMではお得意のこと。時に安心感を、時に緊張感をもって聴くことができます。

2254

Within A Song/John Abercrombie(G) Quartet(ECM 2254)(輸入盤) - Recorded September 2011. Joe Lovano(Ts), Drew Gress(B), Joey Baron(Ds) - 1. Where Are You 2. Easy Reader 3. Within A Song/Without A Song 4. Flamenco Sketches 5. Nick Of Time 6. Blues Connotation 7. Wise One 8. Interplay 9. Sometime Ago

(12/06/03)ジョン・アバークロンビー作が2、3曲目前半、5曲目だけで、他はスタンダードや、特に有名な人のジャズメン・オリジナル(4、6-8曲目)で、オリジナル割合が少ないです。4ビートでブンブンとドライヴするのは3曲目、6曲目の後半、8曲目の一部にあったり、静かな味のある温度感低めなサウンドだけでないので、ちょっといつものECMとは違うかな、という感じも。3曲目のようにややアップテンポの4ビートでこられると、このレーベルも自由になったなあ、という気も。6曲目前半はフリーに近い緊張感があって、やはりオーネット・コールマンを意識か。ジョー・ロヴァーノのふわふわ気味のサックスが心地良くハマりますが、今回は割と吹きまくっている場面もあります。9曲目は少し温かめなサウンドで、彼ららしい締めくくり。

2253

Harrison Birtwistle/Chamber Music(ECM New Series 2253)(輸入盤) - Recorded August 2011. Lisa Batiashvili(Vln), Adrian Brebdel(Cello), Till Fellner(P), Amy Freston(Soprano), Roderick Williams(Baritone) - 1-3. Three Setting Of Lorine Niedecker 4. Trio 5-9. Bogenstrich - Meditations On A Poem Of Rilke 10-18. Nine Settings Of Lorine Niedecker

(14/05/09)Harrison Birtwistleは20-21世紀のイギリスの現代音楽家。無調だそうですが、音楽的に聴きやすい点も持っていて、カテゴライズが難しい音楽家だそうです。確かにハードな面が強いけど、何となく、こちらの方へも接近しているような気も。時代により作風が変わるので聴いていて判断が難しいです。1-3、10-18曲目はソプラノとチェロの、3曲目はヴァイオリン、チェロとピアノの、5-9曲目はバリトンとチェロとピアノの曲。

2252

Trio Libeto/Andy Sheppard(Ts, Ss)/Michel Benita(B)/Sebastian Rochford(Ds)(ECM 2252)(輸入盤) - Recorded July, 2011. - 1. Libertino 2. Slip Duty 3. I'm Always Chasing Rainbows 4. Spacewalk, Part 1   5. Dia Da Liberdade 6. Land Of Nod 7. The Unconditional Secret 8. Ishidatami 9. Skin/Kaa 10. Spacewalk, Part 2   11. Whereveryougoigotoo 12. Lots Of Stairs 13. When We Live On The Stars...

(12/03/21)3人でのフリー・インプロヴィゼーションが7曲(2、4、7、9-11、13曲目)あります。Andy Sheppard作が1、5-6曲目で、ゆったりメロディアスな曲が多め。他のメンバーの作曲が8、12曲目、スタンダードが3曲目。フリー・インプロヴィゼーションとは言いつつも、構成が決められていたのか、その場で合わせたのか、構築されていた感じが強い気がします。割とメロディアスな曲が多い印象で、ジャズ的な部分がインプロヴィゼーションに目立っても、それは4ビートではないので、ヨーロッパ的なジャズという感じ。サックス・トリオなのでスペースが大きく取られていて、特に4、10曲目あたり空間的表現を感じますが、レーベルならではの残響音とうまくマッチして、スカスカな感じはなくて、ECM的な音世界を繰り広げています。

2251

Equilibrium/Benedikt Jahnel(P) Trio(ECM 2251)(輸入盤) - Recorded July 2011. Antonio Miguel(B), Owen Howard(Ds) - 1. Gently Understood 2. Sacred Silence 3. Moorland & Hill Land 4. Wrangel 5. Augmented 6. Hidden Beauty 7. Equilibrium

(12/09/27)全曲Benedikt Jahnelの作曲。ドイツ人ピアニスト、スペイン人ベーシスト、カナダ人ドラマーの組み合わせ。彼はECMではCyminologyとして2枚の参加作があります。クリアで情念的なフレーズも弾く、ECMに親和性のあるサウンドの曲であり、ピアニスト。ある意味、キース・ジャレットの情念的な部分が移ったかのような、マイナーの連続するフレーズから明るくなって終わる1曲目、静かに淡々と語りかけるような、メロディアスな2曲目、空間的な音の連なりから徐々にメロディがドラマチックに続いていく13分台の3曲目、澄んだメロディが心地良い変拍子の4曲目、しっとりとした流れるようなバラードの5曲目、ゆったりとしていて緊張感が少しあるサウンドの6曲目、静かな情念が生み出している味わい深いタイトル曲の7曲目。

2250

Music For The Film/Sounds And Silence(ECM 2250)(輸入盤) - Released 2011. 8 and 9 recorded 2008. (8 and 9) Jan Garbarek(Ts), Kim Kashkashian(Viola), Eleni Karaindrou(P), Camerata Orchestra, Antens, Alexandros Myrat(Cond) - 1. Georges I. Gurdjeff: Reading Of Sacred Books 2. Arvo Part: Fur Lennart In Memoriam 3. Giovanni G. Kapsberger: Arpeggiata Addio 4. Nik Bartsch: Module 42 5. Anour Brahem: Sur Le Fleuve 6. Marilyn Mazur: Creature Walk 7. Dino Saluzzi: Tango A Mi Padre 8. Eleni Karaindrou: Farewell Theme 9. Eleni Karaindrou: To Vals Tou Gamou 10. Vincente Greco: Ojos Negros 11. Giamono Puccini: Cosi, Tosca 12. Georges I. Gurdjeff: Reading Of Sacred Books 13. Arvo Part: Da Pacam Domine

(11/08/11)ECM発売のドキュメンタリー映画『Sounds and Silence』DVD(BDもあり)のサウンドトラック。ECMとECM New Seriesからバランス良く取り上げて、曲のみで構成。出所はECM 1174のキース・ジャレットのグルジェフ集、ECM 1429のエレニ・カラインドルー作(これはオリジナルではなく、’08年にライヴ録音された音源を使用)している他は、1900-2000番台のアルバムからの曲です(ECM 1915, 1922, 1962, 1991, 2049, 2050, 2068)。ある意味ECMのボーダーレスなコンピレーションCDとしても独立して聴けるアルバム。それだけに落ちついた温度感の低い曲があって、ECM側とNew Series側との垣根が見当たらないくらいなだらかなサウンド。これがヨーロッパ的に求められている音なのかなと思います。今のECMを凝縮。

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