ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。こちらは番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加え、’20年からLP聴きも追加してECM本編とJAPOが終了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページとメインブログと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。

2020年05月

2420

Break Stuff/Vijay Iyer(P) Trio(ECM 2420)(輸入盤) - Recorded June 2014. Stephan Crump(B), Marcus Gilmore(Ds) - 1. Starlings 2. Chorale 3. Diptych 4. Hood 5. Work 7. Blood Count 8. Break Stuff 9. Mystery Woman 10. Geese 11. Countdown 12. Wrens

(15/01/20)5曲目がセロニアス・モンク作、7曲目がビリー・ストレイホーン作、11曲目がジョン・コルトレーン作で、他はヴィジェイ・アイヤーの作曲。バリバリの変拍子のトリオを聴かせてくれるのを期待してましたが、ECM寄りのところはあるにしても、その落ち着き加減もまたいい塩梅で、十分魅力的。幾何学模様のようなトリオ・サウンドの曲もあるし(例えば4曲目、8、9曲目の出だし、11曲目など)。ミキシングやマスタリング次第で印象も変わっているかも。でも、例えば2、3曲目の中途から盛り上がっていて、11曲目も、そのあたり彼自身の自由な演奏を感じます。フェードアウトの曲がいくつか。既成曲も雰囲気もあるけれど、よりオリジナルっぽく聴こえます。7曲目はソロ・ピアノ。アルバムを頭と体をフル動員して聴く感じ。

2419

Touchstone For Manu/Manu Katche(Ds)(ECM 2419)(輸入盤) - Released 2014. - 1. Song For Her 2. Number One 3. Take Off And Land 4. So Groovy 5. Morning Joy 6. Keep On Trippin' 7. Senses 8. Swing Piece 9. Running After Years 10. Slowing The Tides 11. Bliss

(14/10/13)限定盤のコンピレーションで、デジパック仕様。「Neighbourhood(ECM 1896)」(2-3曲目)、「Playground(ECM 2016)」(1、4-5曲目)、「Third Round(ECM 2156)」(6-8曲目)、「Manu Katche(ECM 2284)」(9-11曲目)の4枚のリーダー作からのセレクト。録音も’04、’07、’09、’12年の録音。ドラマーのリーダー作とはいえ、ECMからの発売なので、テンポも普通かややゆったりとして、サウンド的にもソフトな曲が多いです。ECMとしてはドラムスが前面に出ているかもしれないけれども、ハードな面が出てこないので、ドラマーとしてのテクニックを求めているとちょっと違うかも。ただ全曲マヌ・カッチェの作曲だし、曲とかサウンドに興味があれば聴いてみてもいい。ECMの彼を1枚で聴いてみたい人に。BGM的にも聴けます。

2418

A Clear Midnight/Julia Hulsmann(P) Quartet w/Theo Bleckmann(Vo)(ECM 2418)(輸入盤) - Recorded June 2014. Tom Arthurs(Tp, Flh), Marc Muellbauer(B), Heinrich Kobberling(Ds) - 1. Mack The Knife 2. Alabama Song 3. Your Technique 4. September Song 5. This Is New 6. River Chanty 7. A Clear Midnight 8. A Noisless Patient Spider 9. Beat! Beat! Drums! 10. Little Tin God 11. Speak Low 12. Great Big Sky

(15/03/12)サブタイトル「Kurt Weill And America」。7-9曲目の3曲がジュリア・ハルスマンの作曲でヴォーカル曲(詞はWalt Whitman)、他は全曲クルト・ワイルの曲です。そのうち2、6曲目がインストルメンタル。実はTheo BleckmannはWinter&Winterレーベルで何枚かスタンダードを歌っていて、ECMへの登場は意外ですが、スタンダードのアレンジは他よりは温かみはあるにしても、バラードが多くてECMならではのサウンド。静かな方面から攻めています。ヴォーカルは普通のジャズの男性ヴォーカリストという気が。でもECM対応は万全か。オリジナルも静かで浮遊感漂うメロディでエキゾチックな雰囲気もある7曲目、やはりエキゾチックな雰囲気が漂うサウンドの8曲目、ビートは入って活発だけどやっぱりECM的な9曲目。

2417

This Is Not A Miracle/Food(ECM 2417)(輸入盤) - Recorded June 2013. Thomas Stronen(Ds, Electronics, Per, Synth, Key), Iain Ballamy(Sax, Electronics) with Christian Fennesz(G, Electronics) - 1. First Sorrow 2. Where Dry Desert Ends 3. This Is Not A Miracle 4. The COncept Of Density 5. Sinking Gardens Of Babylon 6. Death Of Niger 7. Exposed To Frost 8. Earthly Carriage 9. Age Of Innocence 10. The Grain Mill 11. Without The Laws

(15/11/16)ECMでのグループ3枚目。全曲Thomas Stronenの作曲。トータルで47分台と、11曲あるけど少々短め。ジャズという感じはほとんどしなくて、エレクトロニクスを多用したアンビエント系とでもいうのか、そっち系のサウンドです。もちろん生のドラムスやサックスなどを使う場面があるので、人力とエレクトロニクスの融合という感じ。ジャケットに写真がありますが、3人が3人ともエレクトロニクスを使用。レコーディング・プロデューサーはThomas Stronenですが、マスタリングにはマンフレート・アイヒャーも関わっています。メロディがはっきりしているところもあって、電気っぽい感じなのになぜか郷愁を誘う部分も。ややリズミカルなところはあっても、比較的静かな場面が多い。7曲目はエレクトロニクスが少し激しいか。

2416

Aquilonis/Trio Mediaeval(ECM New Series 2416)(輸入盤) - Recorded June 2014. Anna Maria Friman(Voice, Hardanger Fiddle, Melody Chimes), Linn Andrea Fuglseth(Voice, Portable Organ, Melody Chimes), Berit Opheim(Voice, Melody CHimes) - 1. Vespers Reponsory 2. Ama 3. Ave Rex Angelorum 4. Ecce Quod Natura Mutat Sua Jura 5. Ave Maris Stella 6. Vespers Antiphon And Psalm I, II, III 7. Ioseph Fili David 8. Ave Regina Caelorum 9. Alleluia: A Newe Work 10. Morgonljos 11. Vespers Antiphon And Psalm VI, V 12. Fammi Canter L'amor 13. Gud Unde Oss Her At Leve Sa 14. Benedicti E Llaudati 15. Klokkeljom 16. Special Antiphon 17. Ingen Vinner Frem Til Den Evige Ro 18. Fryd Dig, Du Kristi Brud 19. I Hamrinum 20. Vele, Dulcis Amice

(15/01/19)12、14-15世紀の歌から、トラディショナル、アンダース・ヨーミンの歌、そしてメンバーも含まれる作曲など10、15、19曲目にもあり、他にもメンバーでのアレンジの曲もあって、現代の作曲家の曲も混ざり合っています。時に楽器も使い、魅力的な女声3声によるポリフォニーを聴かせてくれるアルバム。教会での収録で、教会音楽のようにも民族音楽のようにも聴こえるので不思議。癒される美しい音楽がそこにあります。

2414

Atmospheres/Tigran Hamasyan(P)/Arve Henriksen(Tp)/Eivind Aarset(G)/Jan Bang(Live Sampling, Samples)(ECM 2414/15)(輸入盤) - Recorded June 2014. [CD1] 1. Traces I 2. Tsirani Tsar 3. Taces II 4. Traces III 5. Traces IV 6. Traces V/Garun A 7. Traces VI 8. Garun A (Var.) [CD2] 1. Traces VII 2. Traces VIII 3. Shushiki 4. Hoy, Nazan 5. Traces IX 6. Traces X 7. Angel Of Girona/Qeler Tsoler

(16/08/25)[CD1]の2曲目、6の後半、8曲目、[CD2]の3-4曲目、7曲目後半がコミタスの曲で、Tracesとあるのが3人ないし4人でのインプロヴィゼーション。ティグラン・ハマシアン(アルメニア人)以外はノルウェー人で、コミタスの曲とインプロヴィゼーションとの境がないような、ゆったりとした神秘的でやや冷たい感じのサウンドが連なっていきます。派手ではないけれど、サンプリング(北欧ではジャズにけっこう取り入れられている)の効果が大きい感じ。神秘性を伴いながら、フリー・ジャズ的に少しだけ過激さを見せるところもあり。[CD2]1曲目とか。個性的なフレーズで、不思議な空間に連れて行ってくれます。ただ、基本的にこの編成で、多くの場面でこれでもかという感じで抑えつつの演奏。少し聴く人を選ぶかもしれない。

2413

Outland/Jokleba(ECM 2413)(輸入盤) - Recorded May 2014. Per Jorgensen(Tp, Vo, Kalimba, Fl), Jon Balke(Electronics, P), Audun Kleive(Electronics, Ds, Per) - 1. Vridd 1   2. Bell Jar 3. Blind Owl 4. Beyond The Glass 5. The Nightwood 6. Rodion 7. Horla 8. Vridd 2   9. Tremens 10. Brighton 11. One Flew Over 12. Curious Incident 13. Below The Vulvano 14. Vridd 3

(14/11/21)全曲グループ名(Jokleba)での作曲というより、フリー・インプロヴィゼーションか。グループ名はJon Balkeを少々字を変えてもじったものかも。ピアノやトランペットなどの楽器もあるけれど、そこにあるのはあまり盛り上がらないけれども半分非イディオム系のフリーと言っていいようなサウンドが展開しています。どちらかと言えばスペースも多めだし、濃い青系統のサウンドが展開しています。そこに場面によってエレクトロニクスも効果的に絡み、北欧系現代フリーの要素を持っていると言っていいかも。打楽器やパルス系の音がアクセントになっていますが、それも無機的に響いてきます。邦楽のようなホーンもあり。ジャケットには「An ECM Production」とだけ書かれていて、彼らのセルフ・プロデュース。聴く人を選びます。

(追記)グループ名は3人のファミリーネームを掛け合わせたものだということの指摘がありました。

2412

In Maggiore/Paolo Fresu(Tp, Flh)/Daniele Di Bonaventura(Bandoneon)(ECM 2412)(輸入盤) - Recorded May 2014. - 1. Da Caopo Cadenza 2. Ton Kozh 3. O Que Sera/El Pueblo Unido Jamas Sera Vencido 4. Non Ti Scordar Di Me 5. Sketches 6. Apnea 7. Te Recuerdo Amanda 8. La Mia Terra 9. Kyrie Eleison 10. Quando Me'n Vo 11. Se Va La Murga 12. Camlo 13. In Maggiore

(15/04/07)Paolo Fresu作が4曲(2、6、12-13曲目)、Daniele Di Bonaventura作ないし共作が4曲(1、5、8-9曲目)。あとはプッチーニの作品その他いろいろな音楽があります。47分で13曲と曲も短めだし、トランペットとバンドネオンとのデュオで、しっとりと静かに進んでいく曲が多め。1曲目は、何と言うか懐かしさのあるメロディが聴こえてきて、安心感があります。やや躍動感のある2、11曲目も哀愁が漂っていて、今の音楽と親しみやすさが同居している感じ。ここでも淡いサウンドだし、イタリアの音楽と中南米色が同居しているというか。ほんのりと温かめの曲もあって、安心して聴けます。ただジャズのメインストリームからは離れた位置かも。少し硬質な曲もありますが。ゆったりとしたデュオの音が郷愁を誘います。

2411

Time Before And Time After/Dominique Pifarely(Vln)(ECM 2411)(輸入盤) - Recorded September 2012 and February 2013. - 1. Sur Terre 2. Meu Ser Elastico 3. L'air Soundain 4. D'une Main Distraite 5. Avant Le Regard 6. Gegenlicht 7. Violin Y Otras Cuestiones 8. L'oubli 9. My Foolosh Heart (15/09/03)9曲目がスタンダードの他は、ドミニク・ピファレリの作曲(というよりはインプロヴィゼーション系のオリジナルか)。フランスでのライヴの模様を収録したようですが、ヴァイオリンのソロでの演奏ということもあり、曲調もクラシックや現代音楽の香りがしていて、ジャズとは別もののようです。ただ難解なインプロヴィゼーションの部分もあり、そういう点ではジャズの範疇かといったところ。時にメロディアスではあるものの、難しそうな演奏も混ざり、客席の拍手などは入っていないけれど、やはりそういう静粛な場所にての演奏が似合っている雰囲気ではあります。ラストの曲は知っている曲だけに少々ホッとします。ただ、ECMでは予想のつく範囲かも知れない。ヴァイオリンのソロなので聴く人を選ぶかな、という気もします。

2410

Midwest/Mathias Eick(Tp)(ECM 2410)(輸入盤) - Recorded May 2014. Gjermund Larsen(Vln), Jon Balke(P), Mats Eilertsen(B), Helge Norbakken(Per) - 1. Midwest 2. Hem 3. March 4. At Sea 5. Dakota 6. Lost 7. Fargo 8. November

(15/03/11)全曲Mathias Eickの作曲。ノルウェーとアメリカのジャズの融合らしいんですが、北欧のジャズしていて、8ビート基調でメロディが強いです。編成もオーソドックスなジャズ編成に近いし。メロディがきれいな哀愁漂う、その温度感のやや低いサウンドが見事で、ヴァイオリンも北欧を表している1曲目、ワルツで淡い感じに、しかもメロディは強い2曲目、トランペットが舞う、ピアノの音も目立ちながら徐々に盛り上がる3曲目、海にてという感じの雄大な風景が思い浮かぶような4曲目、ダコタというアメリカの町の割にはヨーロッパの風景が浮かぶような5曲目、哀愁色が強い夕暮れ時のような、少し賑やかな部分もある6曲目、優しく、温かめのメロディを持つ7曲目、晩秋か冬のような訥々としたサウンドが心地よい8曲目。

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