ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。こちらは番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加え、’20年からLP聴きも追加してECM本編とJAPOが終了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページとメインブログと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。

2020年06月

2453

Danish String Quartet/Thomas Ades/Per Norgard/Hans Abrahamsen(ECM New Series 2453)(輸入盤) - Recorded May 2015. Rune Tonsgaard Sorensen(Vln), Frederik Pland(Vln), Asbjorn Norgaard(Viola), Fredrik Schoyen Sjolin(Cello) - Thomas Ades: 1-7. Arcadiana For String Quartet, Op.12   Per Norgard: 8-9. Quartetto Breve - String Quartet No.1   Hans Abrahamsen: 10-19. 10 Preludes - String Quartet No.1

16/06/08)デンマークの現代音楽家たち。作曲時期は違うけど(Thomas Adesは’90年代、Per Norgardは’50年代、Hans Abrahamsenは’70年代)、それぞれの作曲家が20代の時に書いた曲とのことです。それぞれストリング・クァルテットの演奏が続きますが、新しいものほど革新的になってきているような気も。Hans Abrahamsenの曲は現代音楽的でもあるけど、ミニマル的な部分や叙情的な部分も持っている曲で印象に残ります。

2452

Erkki-Sven Tuur/Brett Dean/Gesualdo(ECM New Series 2452)(輸入盤) - Recorded February 2014. Estonian Philharmonic CHamber Choir, Tallinn Chamber Orchestra, Tonu Kaljuste(Cond) - Carlo Gesualdo De Venosa: 1. Moro Lasso Brett Dean: 2. Carlo   Carlo Gesualdo De Venosa: 3. O Crux Benedicta   4. Erkki-Sven Tuur: 4. L'ombra Della Crose 5. Psalmody

(15/10/24)Carlo Gesualdo De Venosaは16-17世紀イタリアの貴族・作曲家、Brett Deanはオーストラリアの現代音楽家、Erkki-Sven Tuurはエストニアの現代音楽家。Carlo Gesualdo De Venosaの半音階の技法は19世紀まで現れなかったらしいです。2曲目はCarloに捧げる意味での現代音楽か。4曲目はマンフレート・アイヒャーに捧げています。やはり現代音楽家の作曲したものは、現代音楽の音になっていて、対比が興味深い。

2451

Komitas/The Gurdjieff Ensemble/Levon Eskenian(Director)(ECM 2451)(輸入盤) - Recorded February 2015. Emmanuel Hovhannisyan(Duduk, Pku, Zurna), Armen Ayvazyan(Kamancha), Avag Margaryan(Pogh, Zurna), Aram Nikoghosyan(Oud), Davit Avagyan(Tar), Mesrop Khalatyan(Dap, Dhol), Vladimir Papikyan(Santur, Voice), Meri Bardanyan(Kanon), Norayr Gapoyan(Duduk, Bass Duduk), Eduard Harutyunyan'Tmbuk, Cymbal, L|Kshots, Burvar, Bell) - 1. Zulo 2. Mani Asem, Tsaghik Asem 3. Msho Shoror 4. Havun 5. Mankakan Nvag XII 6. Lorva Gutanerg   Yot Par: 7. Manushaki 8. Shushiki 9. Unabi 10. Marali 11. Yerangui 12. Het U Araj 13. Karno Shoror   14. Hov Arek 15. Gutane Hats Em Berum 16. Hoy, Nazan 17. Havik 18. Akna Oror

(15/10/11)コミタスは19-20世紀アルメニアの作曲家。ここではアレンジをLevon Eskenianが受け持ち、民族音楽の楽器で演奏しています。演奏しているのはThe Gurdjieff Ensemble。作曲家の曲の演奏なのでNew Seriesの範疇ではないかと思うのですが、ここでは見事に民族音楽としての演奏になっているので、ジャズではないけれどECMにしたのかな、と思われます。ヨーロッパと中東のはざまで、どちらかというと中東に近いような楽器構成で、そのエキゾチックさが伝わってきます。楽器に西洋楽器を使っていないところが見事かも。7-13曲目は組曲。他でもこのレーベルでコミタスの曲を聴いた記憶がありますが、その時は西洋楽器でした。そこに民族楽器で新しい息吹を与えたのかな、と思います。何となく懐かしい。

2450

Creation/Keith Jarrett(P)(ECM 2450)(輸入盤) - Recorded April - July, 2014. - 1. Part I 2. Part II 3. Part III 4. Part IV 5. Part V 6. Part VI 7. Part VII 8. Part VIII 9. Part IX

(15/05/08)ソロのインプロヴィゼーションのライヴで、東京が4曲(2、5-6、9曲目)、トロントが1曲目、パリが3曲目、ローマが3曲(4、7-8曲目)。複雑なフレーズはあまり前面に出てこないですが、じっくりと音を連ね、美しく荘厳なサウンドを作り上げています。プロデューサーはキース・ジャレット本人。ソロは’05年に出てからは、’08年、’11年とあまり出てこなかっただけに、この’14年の録音は貴重な音源かも。多くの曲は穏やかな世界が広がっていて、これはもはや悟りの境地かも、と思えるような静かながら奥深い雰囲気が漂います。6-9分台と時間的にもだいたい同じ長さぐらいの曲が並びます。明るい曲も哀愁漂う曲も綾織り系の曲もあるけれど、いろいろな道をたどってきて、ここにたどり着いたのでしょうか。

2449

Rumi Songs/Trygve Seim(Ts, Ss)(ECM 2449)(輸入盤) - Recorded February 2015. Tora Augestad(Vo), Frode Haltli(Accordion), Svante Henryson(Cello) - 1. In Your Beauty 2. Seeing Double 3. Across The Doorsill 4. The Guest House 5. Leaving Me Self 6. When I See You Face 7. Like Every Other Day 8. The Drunk And The Madman 9. Whirling Rhythms 10. There Is Some Kiss We Want

(16/08/25)全曲Trygve Seimの作曲ですが、詩は13世紀のペルシャの詩人Jelaluddin Rumiによります。歌詞は英語に翻訳されているのが、ジャケットのライナーで分かりますが、変則的な編成と合わせて、クラシック的な味もあったり、サックス、アコーディオン、チェロというのはなかなか魅力的で面白い。ただし、これがジャズかと言うと、便宜上ジャズの分野に分かれているだけであって、ECM的な ボーダーレスなヴォーカルアルバムだと思います。1曲目あたりの白っぽい乾いたサウンドは、ディノ・サルーシに通じる面もあるかもしれない。そんな中で、サックスはリーダーなだけに、前奏、間奏、歌伴などでなかなかいいフレーズを吹いています。神秘的な雰囲気も曲によって出ていますが、大部分は割と西洋的なサウンド。

2448

The Magical Forest/Sinikka Langeland(Kantele, Vo)(ECM 2448)(輸入盤) - Recorded February 2015. Arve Henriksen(Tp), Trygve Seim(Ts, Ss), Anders Jormin(B), Markku Ounaskari(Per), Trio Mediaeval: Anna Maria Fiman(Vo), Berit Opheim(Vo), Linn Andrea Fuglseth(Vo) - 1. Puun Loitsu 2. Sammas 3. Jacob's Dream 4. The Wolfman 5. The Magical Forest 6. Koyri 7. Kamui 8. Karsikko 9. Pillar To Heaven

(16/07/29)引用とか基づいたものとかはあるにしても基本的にノルウェーのSinikka Langelandの作詞作曲。同じノルウェーのTrio Mediaevalというコーラスも参加して、しかも北欧のバック・ミュージシャンということで、北欧的な神秘的なサウンドの音楽に仕上がってます。バックミュージシャンは彼女のECM1作目「Starflowers(ECM 1996)」、3作目「The Land That Is Not(ECM 2210)」と同じ。Trio Mediaevalの方は以前はNew Seriesでリーダー作を出していましたが、こういう民族音楽的なフォークソングにもマッチするサウンド。ややクラシック的な響きにシフトしている感じもしますが、より神秘的にも感じます。3曲目後半などインストルメンタルの部分はやはり北欧ジャズで、5曲目はカンテレが中心の軽い感じから北欧ジャズに。

2447

Luys I Luso/Yerevan State Chamber Chior/Harutyun Topikyan(Cond)/Tigran Hamasyan(P, Prepared P)(ECM 2447)(輸入盤) - Rcorded October 2014. - 1. Ov Zarmanali(1) 2. Ankanim Araji Qo 3. Ov Zarmanali(2) 4. Hayrapetakan Maghterg(1) 5. Bazum En Qo Gtutyunqd 6. Nor Tsaghik 7. Hayrapetakan Maghterg(2) 8. Hayrapetakan Maghterg(3) 9. Havoun Havoun 10. Voghormea Indz Astvats 11. Sirt Im Sasani(1) 12. SUrb Astvats 13. Sirt Im Sasani(2) 14. Orhnyal E Astvats

(15/09/07)アルメニアの5世紀頃作曲された曲からコミタス(19-20世紀)あたりの作曲家までの曲(宗教音楽か)をティグラン・ハマシヤンのアレンジで聴かせる、いわばNew Seriesになってもおかしくないような音楽です。そこにアレンジが介在し、古い歌では当時はないはずのピアノを加えて、時に雰囲気を壊さずに自由に(インプロヴィゼーションか)弾いているところでECMの側の番号がふられているのでは、と思います。いわゆるジャズではないけれど、彼の音楽としてはルーツを探る意味でもこういうのはアリかなと思わせるサウンド。時に盛り上がりのある場面を垣間見せてくれますが、ECMがいかにもそれらしい場所を提供したという雰囲気。合唱団との相性もなかなかいい。心が洗われるようなサウンドでせまります。

2446

Miranda Cuckson(Vln)/Blair McMillen(P)/Bela Bartok/Alfred Schnittke/Witold Lutoslawski(ECM New Series 2446)(輸入盤) - Recorded January 2015. - Bela Bartok: 1-2. Sonata No.2 Sz 76   Alfred Schnittke: 3. Sonata No.2 "Quasi Una Sonata" Witold Lutoslawski: 4-8. Partita For Violin And Piano

(16/06/06)バルトークは20世紀前半のハンガリー生まれの現代音楽家、Alfred Schnittkeは20世紀ソ連の作曲家、Witold Lutoslawskiは20世紀ポーランドの作曲家。バルトークのみ1922年と早い作曲ですが、すでに現代音楽の雰囲気での難しそうな曲調になってます、シュニトケの曲は’60年代、ルトスワフスキの曲は’80年代と割と最近の曲です。現代音楽で攻めていますが、新解釈での演奏という記述もあって、なかなかシリアス。

2445

Barber/Bartok/Jarrett/Keith Jarrett(P)(ECM New Series 2445)(輸入盤) - Recorded June 3, 1984 and January 30, 1985. Rundfunk-Sinfonieorchester Saarbrucken, Dennis Russell Davies(Cond), New Japan Philharmonic Orchestra, Kazuyoshi Akiyama(Cond) - Samuel Barber: 1-3. Piano Concerto Op.38   Bela Bartok: 4-6: Piano Concerto Op.3   7. Tokyo Encore - Nothing But A Dream

(15/05/17)Samuel Barberは20世紀アメリカの現代音楽家で、Bela Bartokはハンガリー出身の20世紀前半の現代音楽家。ラストはアンコールで演奏したキースのソロ。2つの場所を1枚のCDで彼が出したクラシックも、初めてではないか。’80年代半ばの演奏で、こういう難しい現代音楽にもチャレンジしていた時代。今なぜ出すか、ということもありますが、また彼の別な側面が見えてきます。アンコールはNew Seriesでなくてもいい感じ。

2444

Warp/Jon Balke(P, Sound Images)(ECM 2444)(輸入盤) - Piano Recorded September 2014. Mattis Myrland(Vo), Wenche Losnegaard(Vo), Ellinor Myskja Balke(Announcement Reading) - 1. Heliolatry 2. This Is The Movie 3. Bucolic 4. On And On 5. Bolide 6. Amarinthine 7. Shibboleth 8. Mute 9. Slow Spin 10. Boodle 11. Dragoman 12. Kantor 13. Geminate 14. Telethesia 15. Geminate Var. 16. Heliolatry Var.

(16/03/20)全曲ヨン・バルケの作曲。52分台で16曲もあり、短めの曲が多いです。長くても4-5分、短いと1分もないような。ピアノにところどころオーバーダブをしての録音ではないかと思うのですが、ピアノがクラシックのように端正な感じもして、あくまでもソロ・ピアノが主役のところに他のサウンドを添えて彩るというような形。割と穏やかなんですが、時に思索的に内面を吐露しているようなピアノでもあります。メロディで割と流麗に聴かせるところと、無骨にゆったりとコード的に聴かせるところとか、さまざま。フリー的なメカニカルに弾く部分や少しトリッキーな部分も。北欧によくある、エレクトロニクスを地味に加えた静かな音楽的なところもあり。プロデューサーはバルケとアイヒャーなので、持ち込み音源の可能性が高し。

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