ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。こちらは番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加え、’20年からLP聴きも追加してECM本編とJAPOが終了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページとメインブログと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。

カテゴリ: ECM1001-1050番

1050


Belonging/Keith Jarrett(P)(ECM 1050) - Recorded April 24 and 25, 1974. Jan Garbarek(Ts, Ss), Palle Danielsson(B), Jon Christensen(Ds) - 1. Spiral Dance 2. Blossom 3. 'Long As You Know You're Living Yours 4. Belonging 5. The Windup 6. Solstice


キース・ジャレットのヨーロピアン・クァルテット第一弾。オーソドックスな編成でも、フォーク調か流れていくような感じの曲が多いです。ただし、アメリカン・クァルテットと違って重さはあまりない感じ。全曲キース・ジャレットのオリジナルで柔軟な展開。8ビート調でビートが効いていてテーマもカッコ良い1曲目、叙情的で優しく、そしてじっくりと聴かせてくれる12分台の2曲目、フォーク調でネアカな8ビート、中途はサックスでちょっとエキゾチックに攻めてくる3曲目、しっとりとした、印象的なメロディのタイトル曲で小品の4曲目、ゴキゲンで柔軟なテーマやアドリブ部を持っていて、フリーとまではいかないけれど軽妙な5曲目、やや寒色系で耽美的な世界が広がっていく、ゆったりとして後半でやや盛り上がる13分台の6曲目。(02年9月19日発売)

1049


Luminessence/Keith Jarrett(Comp)(ECM 1049)(輸入盤) - Recorded April 29 and 20, 1974. Jan Garbarek(Sax), Mladen Gutesha(Cond), Strings Of Sudfunk Symphony Orchestra, Stuttgart - 1. Numinor 2. Windsong 3. Luminessence


(01/08/14)オーケストラとサックスの演奏。ECM New Seriesができる前の、クラシック/現代音楽的アルバム。比較的厳かな曲の中を、寄り添うようにヤン・ガルバレクのサックスがメロディを奏でていきます。決められたメロディもあるのでしょうが、主にインプロヴィゼーションで吹いているように思えます。落ち着いていながらも、今に比べてサックスの音色はシャープな感じ。当時のキース・ジャレットの曲も陰影があるようですが、素直といえば素直かも。1、2曲目が時間軸方向に広がる陰影型なのに対して、3曲目はオーケストラのメロディがはっきりしていてある程度ドラマチックなタイプの曲。それでもやっぱりメインはヤン・ガルバレク。部分的に、オーケストラをバックに吹きまくる場面もあります。

1048


Tribute/Paul Motian(Ds)(ECM 1048)(輸入盤) - Recorded May 1974. Carlos Ward(As), Sam Brown(G), Paul Metzke(G), Charlie Haden(B) - 1. Victoria 2. Tuesday Ends Saturday 3. War Orphans 4. Sod House 5. Song For Che


(99/02/10)全5曲中3曲がポール・モチアンのオリジナル。1曲目は彼の作曲ながら、やや静かでかなり哀愁を帯びた世界が展開しています。チャーリー・ヘイデンとサム・ブラウンの個性に引きずられているのかも。当然ベースはぴったりのサウンド。他の曲でも、2人のギタリストがけっこう個性的でおもしろいかも。あおりたてるベースとドラムスの上を漂いながら徐々にフレーズを構築していくギターの2曲目、オーネット・コールマン作の、やや混沌としたまとまりをみせながら進んでいく3曲目、テーマで泣きのサックスが入っている比較的静かな、途中やや盛り上がる4曲目、哀愁たっぷり路線の、チャーリー・ヘイデン作の有名な5曲目。やはりギターとベースがカギになっていて、しっとり感が漂います。

(注)Paul Motian(Ds, Per)(ECM2260-65)で6枚組BOXとして、’13年に再発。

1047


Timeless/John Abercrombie(G)(ECM 1047) - Recorded June 21 and 22, 1974. Jan Hammer(Org, Synth, P), Jack DeJohnette(Ds) - 1. Lungs 2. Love Song 3. Ralph's Piano Waltz 4. Red And Orange 5. Remembering 6. Timeless


オルガン・トリオ(ここではピアノもあります)のアルバム。1、4曲目がヤン・ハマーの曲で、他はジョン・アバークロンビーのオリジナル。1曲目は12分台の曲。出だしがスピーディでオルガンやギターを弾きまくり、そして中間部には静かな場面もあるドラマチックでロック的な展開。アグレッシブなサウンドの部分もあり、ドラムスも元気です。ピアノとアコースティック・ギターで美しいメロディが漂うバラードの2、5曲目、これぞオルガン・トリオの曲とでもいうような4ビートノリでギターが縦横無尽に走る3曲目、急速調のジャズ・ロックといった雰囲気で、これでもかとフレーズがたたみかけてくるようなパワーのある4曲目 。ゆったりと入って、そしてゆったりと盛り上がっていく11分台のタイトル曲の6曲目で幕を閉じます。

1046


Drum Ode/Dave Liebman(Ss, Ts, Afl)(ECM 1046) - Recorded May 1974. Richard Beirach(P), Gene Perla(B), John Abercrombie(G), Jeff Williams(Ds), Bob Moses(Ds), Patato Valdez(Per), Steve Satten(Per), Barry Altschul(Per), Badal Roy(Per), Collin Walcott(Per), Ray Armando(Per), Eleana Steinberg(Vo) - 1. Goli Dance 2. Loft Dance 3. Oasis 4. The Call 5. Your Lady 6. The Iguana's Ritual 7. Satya Dhwani (True Sound)


参加メンバーで分かる通り、パーカッションが前面に出たアルバム。ECMとは思えないほどに元気あふれるパーカッシヴなサウンド。1曲目は派手なパーカッションをバックにデイヴ・リーブマンのナレーションが入る短い30秒ほどの曲。1曲目はやはり全開のパーカッションの上を走るテナー・サックスとエレキ・ピアノとエレキ・ベース。3曲目で女性ヴォーカルが聴けるややリラックスした曲に。4曲目もドラム(パーカッション)のみをバックにしたエコーを効かしたサックス。5曲目はジョン・コルトレーンの曲で、比較的静かながらエレクトリックで、アフリカの香りがするパーカッション。6曲目は10分台の曲で、当時のエレクトリックなジャズの影響も。7曲目はギターやタブラの響きもエキゾチックな渋い曲。(99年10月1日発売)

1045


Whenever I Seem To Be Far Away/Terje Rypdal(G)(ECM 1045)(輸入盤) - Recorded 1974. Sveinung Hovensjo(B), Pete Knutsen(P, Key), Odd Ulleberg(French Horn), Jon Christensen(Per), Sudfunk Symphony Orchestra, Christian Hedrich(Solo Viola), Helmut Geiger(Solo Vln) - 1. Silver Bird Is heading For The Sun 2. The Hunt 3. Whenever I Seem To Be Far Away


(99/04/08)全曲テリエ・リピダルの作曲。曲によって多彩なアプローチを見せています。当時のジャズロック(ファンク?)を思わせるような13分台の1曲目は、ギターが気合いが入っていて、ロックっぽく鋭いフレーズの連発。フレンチ・ホルンもソロに迎えて、不思議な雰囲気を醸し出しています。ちょっと渋めな2曲目は、フレンチホルンがテーマを吹くプログレの影響も感じられる曲。リズムも重々しいです。3曲目のサブ・タイトルは「Image For Electric Guitar, Strings, Oboe And Clarinet」とあり、オーケストラとの競演をしている雄大な17分台もの曲です。あたりまえですが、エレキ・ギターを除けば、クラシック作品のような雰囲気。ただ、ギターも曲の雰囲気にマッチしているのが面白いところです。

1044


Love, Love/Julian Priester(Btb, Ttb, Atb, Baritone Horn, Post Horn, Whistle Fl, Per, Synth) Pepo Mtoto(ECM 1044)(輸入盤) - Recorded June 28 and September 13, 1973. Pat Glesson(Synth, Sequencer), Hadley Caliman(Fl, Ss, Ts, Bcl), Bayete Umbra Zindiko(Key, P, Clavinet), Nyimbo Henry Franklin(B), Ndugu Leon Chancler(Ds), Mguanda David Johnson(Fl, Ss), Kamau Eric Gravatt(Ds, Congas), Ron McClure(B), Bill Connors(G) - 1. Prologue Love, Love 2. Images Eternal Worlds Epilogue


(05/08/30)Julian Priesterの作曲で、1曲目と2曲目は録音日や参加メンバーが違っています。やや静かなフリージャズともとれるプロローグの後に、エレキベースを強調した1発モノの当時流行ったようなファンクビート(7拍子半を含む)が延々と続く曲。ECMらしからぬ感じがやっと初CD化された原因かも。このあたりマイルスのエレクトリック・ファンクの影響が強いのかと思いますが、シンセサイザーを含むソロの楽器がけっこう視覚的に聴かせます。2曲目では出だしは軽めなビートになってクロス・オーヴァーっぽいテーマですが、中間部ではシンセまじりのフリー・ジャズ色もかなり強くなって、自由な世界を展開。その後アップテンポになってラテンのような激しいリズム、ラストでアンサンブルでエピローグの収束に向かいます。

1043


The Jewel In The Lotus/Bennie Maupin(Reeds, Voice, Glockenspiel)(ECM 1043)(輸入盤) - Recorded March 1974. Herbie Hancock(P, Key), Buester Williams(B), Frederick Waits(Ds, Marimba), Billy Hart(Ds), Bill Summers(Per), Charles Sullivan(Tp) -1. Ensenada 2. Mappo 3. Excursion 4. Past + Present = Future 5. The Jewel In The Lotus 6. Winds Of Change 7. Song For Tracie Dixon Summers 8. Past Is Past


(07/09/29)全曲Bennie Maupinの作曲。ここにはオーソドックスな4ビートは出てこず、あくまでもECM流。ハービー・ハンコックの存在感がある曲も。流れていくリズムの上を、漂っていくメロディがもっとゆったりと流れていく1曲目、濃いアフリカン・ビートで自由なスペースの中をソロ楽器が自由に泳いでいく2曲目、ドローンのようなサウンドの中を呪文のようなものが漂っていき後半やや盛り上がる神秘的な3曲目、静かに寒色系で流れていくテンポのない4曲目、静かな場面から朗々としたサックスやエレキピアノなどを通して、あくまでもゆったりと進んでいく5曲目、ホーンを中心とした静かな小品の6曲目、ベース・ソロから、極めてスペイシーでゆったりした動きの7曲目、ホーンとピアノを中心に語り合うバラードでの8曲目。

1042


The Colors Of Chloe/Eberhard Weber(B, Cello, Ocarina)(ECM 1042) - Recorded December 1973. Rainer Bruninghaus(P, Synth), Peter Giger(Ds, Per), Ralf Hubner(Ds), Ack Van Rooyen(Flh), Cellos Of The Sudfunk Orchestra, Stuttgart - 1. More Colours 2. The Colours Of Chloe 3. An Evening With Vincent Van Ritz 4. No Motion Picture


エバーハルト・ウェーバーの初リーダー作とのこと。この頃から すでにベースの音色は個性的。例のエレクトリック・アップライトベースでしょうか。曲名も色にちなんだものが多く、聴いていて想像をかきたてられるような雰囲気も あります。1曲目は、バックのストリングスの流れの上をゆったり歩き回るベースときれいなフレーズを紡ぎ出すピアノ。2曲目のタイトル曲もゆったりした出だしで、何となく牧歌的なテーマ。ベースソロからピアノソロに至る流れがメロディアスで印象的で、だんだん盛り上がっていきます。3曲目はビートこそ違え、ジャズ的な雰囲気も。4曲目は19分台の大作で、ビート、変拍子、ドラマチックな進行やサウンドからは、どちらかと言うとプログレッシヴ・ロック(ジャズ・ロック)がイメージされるような曲。(99年10月1日発売)

1041


Witchi-Tai-To/Jan Garbarek(Ts, Ss)/Bobo Stenson(P) Quartet(ECM 1041) - Recorded November 27 and 28, 1973. Palle Danielsson(B), Jon Christensen(Ds) - 1. A.I.R. 2. Kukka 3. Hasta Siempre 4. Witchi-Tai-To 5. Desireless


他人の曲ばかりの構成。このアルバムからは、今のヤン・ガルバレクと似たような音色が感じられますが、全体的なサウンドに当時のジャズ的な色彩も。カーラ・ブレイ作の1曲目はいかにも当時のガルバレク節という感じで盛り上がっていき、再び元に戻っていきます。美しいテーマを持つ2曲目は聴きやすいながらもヨーロッパ的なテンポの揺らぎを感じます。3曲目の「アスタ・シエンプレ」はタンゴの曲で、かなり哀愁を帯びたサックスやピアノが何とも言えず良い感じ。タイトル曲の4曲目はメロディアスなピアノが紡ぎ出されていき、サックスで歌いまくっています。ドン・チェリー作の5曲目は何と20分台の曲で、流れるバックにテーマのサックスのメロディが浮かびますが、中間部は60年代ジャズという趣きで盛り上がります。

(注)Dansere/Jan Garbarek(Ss, Ts, Bass-s, Fl)(ECM 2146-48)の3枚組BOXとして’12年に再発。

このページのトップヘ