ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。こちらは番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加え、’20年からLP聴きも追加してECM本編とJAPOが終了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページとメインブログと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。

カテゴリ: ジャズ

2789

Words Unspoken/John Surman(Ss, Bs, Bcl)(ECM 2789)(輸入盤) - Recorded December 2022. Rob Luft(G), Rob Waring(Vib), Thomas Stronen(Ds) - 1. Pebble Dance 2. Words Unspoken 3. Graviola 4. Flower In Aspic 5. Precipice 6. Around The Edges 7. Onichi Ceilidh 8. Belay That 9. Bitter Aloe 10. Hawksmoor


(24/02/18)全曲ジョン・サーマンの作曲で、収録時間は61分。ソロないし小編成が多いサーマンですが、ここではギター、ヴァイブラフォン、ドラムスの参加で、いくらか賑やかなサウンドになっています。それでもホーンのフレーズはやや愁いのあるサーマン節がさく裂していますが。1曲目でソプラノ・サックスをけっこう吹いていますが、やや短調気味の演奏は激しくても彼らしいな、と思います。タイトル曲の2曲目は静かなバックのサウンドにバリトン・サックスの愁いを帯びた音。3曲目はバス・クラリネットと楽器を変えつつ、基調のサウンドが似た雰囲気なのは、やはり彼らしい。ドラムスが少し前面に出てくる5曲目。その後もメランコリックなもの、少し不思議な曲調(8曲目)だったりと、しっかり彼の要点を押さえています。

2812

Strands - Live At The Danish Radio Concert Hall/Palle Mikkelborg(Tp, Flh)/Jakob Bro(G)/Marilyn Mazur(Per)(ECM 2812)(輸入盤) - Recorded February 2023. - 1. Gefion 2. Oktober 3. Returnings 4. Strands 5. Youth 6. Lyskaster


(23/12/04)収録時間は46分。5曲目がPalle Mikkelborg作、1-2、4、6曲目がJakob Bro作、3曲目が2人の共作。ライヴですが、ECMらしく静かであり朗々としたホーンのサウンドが効いている、落ち着いた曲がメインで続きます。1曲目はその静かなサウンドとメロディが印象的な曲。パーカッションも音数少なく、その静かな場に寄り添うような雰囲気で演奏します。2、4曲目はやや淡く、哀愁も伴っていますが、似たようなサウンドで進んでいきます。特に4曲目は12分。ブロの作品は全体的にそのような感じでもあります。それでも3曲目はけっこうな盛り上がりを見せ、ライヴでの華になっています。ホーンの響きがゆったりと他の楽器と絡みながら漂っていく5曲目、そしてそのまま続くように小品の6曲目で幕を閉じます。

2796

Uncle John's Band/John Scofield(G)(ECM 2796/97)(輸入盤) - Recorded August 2022. Vicente Archer(B), Bill Stewart(Ds) - [CD1] 1. Mr. Tambourine Man 2. How Deep 3. TV Band 4. Back In Time 5. Budo 6. Nothing Is Forever 7. Old Man [CD2] 1. The Girlfriend Cord 2. Stairway To The Stars 3. Mo Green 4. Mask 5. Somewhere 6. Ray's Idea 7. Uncle John's Band


(23/11/05)CD2枚組。収録時間は90分。ジョン・スコフィールド作が[CD1]2-4、6曲目、[CD2]1、3-4曲目で、他はボブ・ディラン作、ニール・ヤング作やミュージカル、ジャズメン・オリジナル等、いろいろなところからの演奏。とは言うものの、出てくるフレーズはいつものジョン・スコ節で、全曲彼自身のオリジナルかのように、自由奔放に演奏を繰り広げているところがすっきりとしています。特にギター・トリオなので、ギター好きにはたまらない1枚なのでは。CD1枚ではおさまらなかったですが、これはあえてLP2枚分ということで焦点を定めているのかなと思います。ドラムスも相性のいいビル・スチュワートなので、なおのこと自由に3人の演奏をしているように聴こえます。ラストのタイトル曲はオリジナルではなかったです。

2794

Touch Of Time/Arve Henriksen(Tp, Electronics)/Harmen Fraanje(P)(ECM 2794)(輸入盤) - Recorded January 2023. - 1. Melancholia 2. The Beauty Of Sundays 3. Redream 4. The Dark Light 5. What All It Is 6. Mirror Images 7. Touch Of Time 8. Winter Haze 9. Red And Black 10. Passing On The Past


(24/02/06)3、5、7曲目がHarmen Fraanjeの作曲で、残りは全曲2人の共作。収録時間は38分。とは言うものの、ゆったりしつつもふくよかな音色を持つ、和楽器(尺八)のようなサウンドのトランペットも、それに合わせて弾くピアノも愁いを持ちながらメロディを奏でているので、あまりフリー・インプロヴィゼーションだという感じはないです。ちゃんとしたメロディなので、ジャズかというと少々違う感じではありますが、そのメロディが心地よい比較的時間の短い曲が続いていきます。それがドラマになっているような感じで、それぞれの持ち味を活かした演奏で、たゆたうように進んでいきます。それにしても、トランペットは非常に独特の音色で、欧米ではどのようにとらえられているのだろうか。難しい要素がないのもメリットか。

2788

Zartir/The Gurdjieff Ensemble/Levon Eskenian(Artistic Director)(ECM 2788)(輸入盤) - Recorded December 2021. Vladimir Papikyan(Voice, Santur, Burvar, Tmbuk. Singing Bowls), Emmanuel Hovhannisyan(Dukduk, Pku), Meri Vardanyan(Kanon), Armen Ayvazyan(Kamancha, Cymbal), Gagik Hakobyan(Duduk), Norayr Gapoyan(Duduk, Bass Duduk, Pku), Avag Margaryan(Blul), Aram Nikoghosyan(Oud), Astgnik Snetsunts(Kanon), Davit Avagyan(Tar), Mesrop Khalatyan(Dap, Tmbuk, Bells, Triangle), Orestis Moustidis(Tombak), National Chamber Choir Of Armenia, Robert Mlkeyan(Director) - Georges I. Gurdjieff: 1. Pythia 2. No.10   3. Sayyid Chant And Dance No.41   4. Introduction And FUneral Ceremony 5. Oriental Dance   Ashugh Jivami: 6. Kankaravor Enker   Sayat-Nova 7. Dard Mi Ani   Georges I. Gurdjieff: 8.Thirty Gestures 9. Prayer And Despair 10. Sayyid Chant And Dance No.42   Sayat-Nova 11. Ashkharhes Me Panjara e (The World Is A Windos)   Georges I. Gurdjieff: 12. Trembling Dervish   Baghdasar Dbir: 13. ZArtir   Georges I. Gurdjieff: 14. The Great Prayer


(23/12/04)グルジェフ・アンサンブルの3枚目。収録時間は55分。グルジェフは19-20世紀のアルメニアの作曲家。ここでは民族楽器を用いて、クラシック的なサウンドも1曲目で少し意識していたと思ったら、その後は民族的なサウンドが前面に出てきます。グルジェフ以外にも、作曲家(吟遊詩人?)の名前が出ていて、歌唱もあってジャズではないんだけどECMでは割とある民族音楽の世界です。ECMではよくある折衷音楽ではなくて、いわゆる純粋種の民族音楽ととらえられますが、New Seriesにしていないのは、その民族的側面が強く出ているからかもしれません。Levon Eskenianのアレンジも3枚目。アレンジも、アラビア音楽にどちらかというと近い、というのはなじみが薄いだけに病みつきになりそうなサウンド。

2783

The Blue Land/Matthieu Bordenave(Ts, Ss)/Florian Weber(P)/Patrice Moret(B)/James Maddren(Ds)(ECM 2783)(輸入盤) - Recorded October 2022. - 1. La Porte Entrouverte 2. The Blue Land 3. Compassion 4. Cyrus 5. Refraction 6. Distance 7. Three Four 8. Timbre 9. Three Peaks


(24/02/05)ECM2作目で、今回は前作と同じメンバーにドラマーが入っています。収録時間は44分。3曲目がジョン・コルトレーン作で、他は全曲Matthieu Bordenave作。1曲目はピアノで現代音楽的な感じもする出だしから、しっとりとしたバラードに移っていきます。それでも甘さをあまり感じさせません。割と静けさが基調にあるんだけど、ソフトなサックスの音色と、他の楽器の硬派な感じとが混ざり合って不思議な効果が出てます。3曲目もコルトレーンの曲と分かるよりも、その独自な世界に引き込まれる。ECMらしい曲が続くけど、ゆったりとしながらも硬派な世界に入り込むのは、傾向としてあります。その魅力が十分に出ている感じ。その中でも6曲目はけっこうハードなフリーか。曲調を変えながらもやはり渋い世界。

2781

A Time To Remember/Elina Duni(Voice)(ECM 2781)(輸入盤) - Recorded July 2022. Rob Luft(G), Matthieu Michel(Flh), Fred Thomas(P, Ds) - 1. Evasion 2. Hape Deren 3. A Time To Remember 4. Whispers Of Water 5. E Vogel 6. Dawn 7. First Song 8. Mora Testine 9. Send In The Clowns 10. Mallengjimi 11. Sunderland 12. I'll Be Seeing You


(23/07/07)ECMでこのメンバーでは2作目。Elina Duni、Rob Luftの作詞作曲が3-4、6、11曲目、この2人での作曲にEsther Granek作詞が1曲目、トラディショナルが2、5曲目、チャーリー・ヘイデン作の7曲目に、他はいろいろな曲を歌っています。収録時間は53分。英語の曲と彼女の母国語?(彼女はアルバニア出身)の歌とあります。ジャズ度はなくて(8曲目の間奏などに少し感じますが)、やはりある種エキゾチックさと哀愁を帯びたSSWの曲の雰囲気で、民族音楽的要素も割と強め。シンプルな中にも、ECMらしいヴォーカルアルバム。4曲目のように浮遊感漂うようなコード進行の曲もあり。7曲目はモロにチャーリー・ヘイデンの有名曲なので、避けた方が良かったかも。メロディも印象に残り、インパクトは強め。

2779

Call On The Old Wise/Nitai Hershkovits(P)(ECM 2779)(輸入盤) - Recorded June 2022. - 1. The Old Wise 2. Enough To Say I Will 3. Mode Antigona 4. Of Trust And Remorse 5. Intermezzo No.3   6. Majestic Steps Glow Far 7. Dream Your Dreams 8. Placid In Africansque 9. Mode Brilliante 10. Single Petal Of A Rose 11. A Rooftop Minuet 12. Late Blossom 13. Intermezzo No.4   14. In Satin 15. This You Mean To Me 16. Of Mentorship 17. For Suzan 18. River Wash Me


(23/11/21)7、10曲目以外はNitai Hershkovitsの作曲。ECMでは初リーダー作で、収録時間は50分。1分から4分ほどの短い曲が続きます。短い断片を膨らませて、あるいはインプロヴィゼーションを演奏しているようでいて、けっこうメロディアスで哀愁を保ちつつ、まるでクラシックや現代音楽のようなピアノに聴こえることもあり、その構築力は素晴らしいと思います。曲にもいろいろタイトルがついていて、その表情を変えつつ、物語が進んでいくような叙情的なピアノ。全体的には抑え気味ではあるけれども、ある程度音数もあって、ジャケット写真のように自然の風景を眺めているような印象の曲が多いです。イスラエル色は、聴いた限りではほとんどなくて、西欧的な要素が強め。それにしても引き出しの多さに感動します。

2778

Frozen Silence/Maciej Obara(As) Quartet(ECM 2778)(輸入盤) - Recorded June 2022. Dominik Wania(P), Ole Morten Vagan(B), Gard Nilssen(Ds) - 1. Dry Mountain 2. Black Cauldron 3. Frozen Silence 4. High Stone 5. Rainbow Leaves 6. Twilght 7. Waves Of Glyma 8. Flying Pixies


(23/09/18)5曲目のみ共作で、他は全てMaciej Obara作。収録時間は47分。メロディアスな面と、バックとの絡みで3、5、7曲目の元気な曲と他のゆったりしたフリー的な進行になっているのが特色。少しつかみどころもない点もありますが、その中でグループならではのある程度まとまったとっ散らかり方が印象深い。どの曲も、色合いやフリーの加減(多い、少ない)は少し違うけど、フリーへの寄りかかり方など、共通点はあります。同じメンバーでECM3枚目が出るということはマンフレート・アイヒャーのお気に入りのグループなのかと。その中でも3曲目のタイトル曲のように、哀愁と元気さがあって、よりメロディとバックがはっきりしていて分かりやすい曲も。タイトルにSilenceとあるけど、沈黙のことではないと思います。

2777

Our Daily Bread/Trio Tapestry/Joe Lovano(Ts, Tarogato, Gongs)(ECM 2777)(輸入盤) - Recorded May 2022. Marilyn Crispell(P), Carmen Castaldi(Ds) - 1. All Twelve 2. Grace Notes 3. Le Petit Opportun 4. Our Daily Bread 5. One For Charlie 6. The Power Of Three 7. Rhythm Spirit 8. Crystal Ball


(23/05/16)グループ3作目。収録時間は40分で、ここでも全曲ジョー・ロヴァーノの作曲。サックスが何となくフワフワとしっつも、3人の音の組み合わせで、割と静かではあるけれども、硬派なサウンドに聴こえるのは気のせいか。ゴングの使用も比較的あり、曲によってはフリーの向こうを行く静けさとでも言うのか、独特な3人でのアプローチが聴けます。おそらくテーマの部分だけ打ち合わせがあって、あとは自由に演奏しているのではないかと思います。5曲目はおそらくチャーリー・ヘイデンに捧げられた曲で、サックス・ソロでの演奏になっています。比較的静かではあるけれども、彼岸の方に行ってしまっているようなサウンドなので、聴く人を選ぶかも。それでも、こういうサウンドに引き寄せられる人は多いかもしれない。

このページのトップヘ