ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。こちらは番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加え、’20年からLP聴きも追加してECM本編とJAPOが終了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページとメインブログと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。

カテゴリ: ジャズ

2776

Wind And Sun/Sinikka Langeland(Vo, Kantele, Jew's Harp)(ECM 2776)(輸入盤) - Recorded June 2022. Mathias Eick(Tp), Trygve Seim(Ts, Ss), Mats Eilertsen(B), Thomas Stronen(Ds) - 1. Row My Ocean 2. Wind And Sun (Instrumental) 3. It Walks And Walks 4. When The Heart Is A Moon 5. Hands That Held 6. A Child Who Exists 7. A Window Tells 8. The Love 9. Wind Song 10. A Child Who Exists (Var.) 11. Wind And Sun 12. You Hear My Heart Come


(23/09/17)6、10曲目のみ共作で、他は全曲Sinikka Langelandの作曲。詞はJon Fosseのもの。収録時間は65分。サイドを固めるミュージシャンはECMの最近の北欧系ジャズ・ミュージシャンですが、ジャズ色は薄く、ヴォーカルに合わせたノルウェー地方の民族的な味のある曲が多くなってます。プロデューサーにGuido Gornaと名前がありますが、初めて見る名前。マンフレート・アイヒャーの後を継ぐのかどうかは、これから見てみないと。ただ、ある意味、インストルメンタルな部分で北欧ジャズを聴かせているともとらえることができ、何とも不思議な味のあるアルバムです。ジャズ的な演奏でもあり、そうでもなしと微妙。ちょっと暗めな味わいのある曲が多く、その中に明るめの曲が入っていて、少しカラフルに感じます。

2775

Sphere/Bobo Stenson(P) Trio(ECM 2775)(輸入盤) - Recorded April 2022. Anders Jormin(B), Jon Falt(Ds) - 1. You Shall Plant A Tree 2. Unquestioned Answer - Charles Lves In Memoriam 3. Spring 4. Kingdom Of Coldness 5. Communion Psalm 6. The Red Flower 7. Ky And Beautiful Madame Ky 8. Valsette Op.40/1   9. You Shall Plant A Tree (Var.)


(23/03/21)収録時間は48分。Anders Jorminの作または編曲が2、4-6曲目と、他の人の作曲が残り。スカンジナヴィアの作曲家の曲が多いらしいですけど、静かな雰囲気で、そのゆったり感はおそらくオリジナルとさほど変わらない、向こうの雰囲気が出ているなあ、とも。このメンバーでは4作目になります。その静かな中でも、やや緊張感のある部分もあって、ただ甘いだけのピアニストではないなあ、ということが分かります。彼もECM初期からのミュージシャンで、やはり50周年というくくりで語れるのではないでしょうか。激しい曲がなく、聴きやすいのも特徴で、ただそれゆえに、ジャズとしてはどうかな、という人が出ると思うけど、分かっている人が聴いてくれれば、その夢見心地な世界観を感じてくれる、と思います。

2772

Dance Of The Elders/Wolfgang Muthspiel(G)/Scott Colley(B)/Brian Blade(Ds)(ECM 2772)(輸入盤) - Recorded February 2022. - 1. Invocation 2. Prelude To Bach 3. Dance Of The Elders 4. Liebeslied 5. Folksong 6. Cantus Bradus 7. Amelia


(23/10/06)4曲目がクルト・ワイルらの作曲、7曲目がジョニ・ミッチェルの作曲の他は全曲Wolfgang Muthspielの作曲。収録時間は45分。このメンバーではECM2作目だけど、1曲目は静かに始まります。テクニックよりも場の雰囲気を重視する感じも。このメンバーでは文句なしなんだけど、もう少し冒険したところも聴いてみたいような気もします。それでもそれなりに盛り上がるところもあり、10分台の1曲目も途中からブルース的な盛り上がりを見せます。ギターはエレクトリックもアコースティックも使い、2-3、5-6曲目はアコで演奏。フォークっぽい曲も。3曲目のタイトル曲は変拍子で少し目立つ演奏になってます。4曲目もオリジナルのサウンドに感じます。6曲目は割と元気な部分も。7曲目はそのままジョニを連想。

2766

Drifting/Mette Henriette(Ts)(ECM 2766)(輸入盤) - Recorded 2020-2022. - 1. Johan Lindvall(P), Judith Hamann(Cello) - 1. The 7th 2. Across The Floor 3. I Villind 4. Cadat 5. Chasse 6. Drifting 7. Oversoar 8. Rue Du Renard 9. Indrifting You 10. A Choo 11. Ciedda, Fas 12. 0゜ 13. Solsnu 14. Crescent 15. Divining


(23/02/01)8曲目のみJohan Lindvallとの共作で、他はMette Henrietteの作曲。43分で15曲と、長い曲でも6分台で、断片のような短い曲がその間にけっこうあります。独特なサウンドの音の少なめなサックスは相変わらずで、以前デビュー作が2枚組で出たときは少し戸惑いました。ある意味メロディを奏でながら抽象的でもあり、ECMならではの録音とサウンドは、これを受け入れてはじめてECMのファンたらしめるのかな、と思います。クラシックとジャズの融合のようなサウンドで、反復もあったり、それでいてゆったりとしつつ自由であるという雰囲気。その抽象的な感じもあり、聴く人を選ぶのかなという気もしますけど、若干麻薬性のようなものを持っているような。以前のアルバムもそうでしたけど、新しい何かはある。

2764

Eventually/Jacob Young(G)/Mats Eilertsen(B)/Audun Kleive(Ds)(ECM 2764)(輸入盤) - Recorded May 2021. - 1. Eventually 2. I Told You In October 3. Moon Over Meno 4. One For Louis 5. Schonstedstrasse 6. Northbound 7. The Dog Ate My Homework 8. The Meaning Of Joy 9. Inside


(23/05/19)全曲ヤコブ・ヤング作曲で、彼のECM4作目。収録時間は42分のギター・トリオ作。1曲目のタイトル曲は、ECMにしては少し外向的なサウンドで、彼はメロディアスにギターを弾いていきます。それを、ベースとドラムスが有機的に絡んでいく感じ。2曲目以降も、彼のメロディがよく歌っていて分かりやすいところが多く、トリオがECMにしてはやや元気かなというところは同じ。このようなギター・トリオの方が通常のジャズファンにはウケるのではないかなあ、と思うし、そのメロディ構築力はなかなか。それでも、このギターなら4ビートにいきそうなんだけど、そうはならないのもECM。心なしか温かみを感じる演奏が続きます。おそらく持ち込み音源だと思うけど、こういうアルバムはふだん聴きにはいいかもしれない。

2763

Affirmation/Arild Andersen(B) Group(ECM 2763)(輸入盤) - Recorded November 2021. Marius Neset(Ts), Helge Lien(P), Hakon Mjaset Johansen(Ds) - 1-4. Affirmation Part I 5-7. Affirmation Part II 8. Short Story


(22/11/17)8曲目のみアリルド・アンデルセンの作曲で、他の組曲は全曲フリー・インプロヴィゼーションのようです。収録時間は45分。新しいクァルテットとのことで、エルゲ・リエンの参加にも注目。それにしても、フリー・インプロヴィゼーションとは思えないくらい曲が整っていて、美しい演奏が連なります。マンフレート・アイヒャーのプロデュースではないですが、そのような演奏が未編集でCD化されたということで、何か奇跡が起こっているような感覚にとらわれます。ゆったりとした場面が続きながら、それでいて美しいドラマ性を持っているということで、まさに北欧のフリーですね。実際先入観なしに聴いていると前もって組み立てられた音楽の連なりのように聴こえます。ジャズというよりECMのファンに最適ではないかと。

2762

Glimmer/Nils Okland(Harganger Fidddle, Vln)/Sigbjorn Apeland(Harmonium)(ECM 2762)(輸入盤) - Recorded January and March 2021. - 1. Skynd Deg, Skynd Deg 2. Grat Ikke Sote Pike 3. Valevag 4. O Du Min Immanuel 5. Glimmer 6. Hvor Er Get Godt A Lande 7. O, Venner 8. Se Solens Skjonne Lys Og Prakt 9. Reven Sete Pa Setet 10. Myr 11. Malurt 12. Dempar 13. Rullestadjuvet 14. O Du Min Immanuel(Var.) 15. Nu Solen Gar Ned


(23/07/06)Nils Okland作が5、11-12曲目、Sigbjorn Apeland作が3、10曲目、2人のインプロヴィゼーション(共作)が13曲目、他の曲はおそらくは北欧のトラディショナル。収録時間は47分。ECMでデュオの演奏は、’11年に続き2枚目です。メロディや民族度、ある程度の哀愁はありますが、持続音の楽器の演奏がずっと続くので、少々聴く人を選ぶかも。ジャズ度はなく、完全に民族音楽的なサウンドになっています。こういうアルバムも出るのがECMで、おそらくは持ち込み音源だと思われます。それでもこの哀愁のメロディがたまらん、という人もいるかと思いますし、北欧の(ジャズではなくて)雰囲気を感じるには、これ、という気もします。シンプルな演奏が逆に心の奥まで届くのでは。小品も含めて曲が多く、短かめ。

2761

Pasado En Claro/Anders Jormin(B)/Lena Willemark(Vo, Vln, Viola)/Karin Nakagawa(25-string Koto)/Jon Falt(Ds, Per)(ECM 2761)(輸入盤) - Recorded December 2021. - 1. Mist Of The River 2. Blue Lamp 3. Ramona Elena 4. The Woman Of The Long Ice 5. Wedding Polska 6. Kingdom Of Coldness 7. Angels 8. Petricia 9. Pasado En Claro 10. Glowworm 11. Returning Wave


(23/02/21)1-2、6、8-11曲目がAnders Jormin作曲で、3-5、7曲目はLena Willemark作詞作曲。他の曲の詞に関しては、曲によっていろいろ。収録時間は57分。Lenaの歌もエキゾチックだし、琴もあるので、無国籍的な民族音楽に近いものを感じます。元の詞も中国、スウェーデン、日本、イタリア、メキシコと国際的。持ち込み音源らしく、ちょっとECMにしては、メリハリがややあるなあ、とも思いますが、こういう国際的なサウンド、好きな人が多いのでは。ヴォーカル(しかも英語ではない)の曲がかなり多いので、ちょっと聴く人を選ぶかなあとも。4曲目には一部フリーのアプローチもありますし。琴は日本人。実はこのメンバーでドラムス抜きのアルバムが’15年に出ていて、実質2枚目のアルバムになっています。

2760

Compassion/Vijay Iyer(P)/Linda May Han Oh(B)/Tyshawn Sorey(Ds)(ECM 2760)(輸入盤) - Recorded May 2022. - 1. Compassion 2. Arch 3. Overjoyed 4. Maelstrom 5. Prelude: Orison 6. Tempest 7. Panegyric 8. Nonaah 9. Where I Am 10. Ghostrumental 11. It Goes 12. Free Spirits/Drummer's Song


(24/02/04)3曲目がスティーヴィー・ワンダー作、8曲目がロスコ―・ミッチェル作、12曲目前半がジョン・スタブルフィールド作、後半がジェリ・アレン作の他は全曲Vijay Iyer作。収録時間は65分。このトリオでは2作目で、息の合ったところを見せてくれます。1曲目のようにゆったりと波打つような曲があるかと思えば、2曲目のようにけっこうスピリチュアル的に盛り上がるような曲もあって、変化に富んでいます。変拍子の曲もあるようですけど、分析するのは難しい。曲によってけっこう盛り上がるのですが、ミキシングのせいかスマートに聴こえます。ECMとしてはけっこう自由にさせてもらっているようで、1曲1曲がドラマチックで、あまり平易ではない語り口にしても、引きこまれるものを持っています。なかなか気になる1枚。

2759

The Next Door/Julia Hulsmann(P) Quartet(ECM 2759)(輸入盤) - Recorded March 2022. Uli Kempendorff(Ts), Marc Muellbauer(B), Heinrich Kobberling(Ds) - 1. Empty Hands 2. Made Of Wood 3. Polychrome 4. Wasp At The Window 5. Jetzt Noch Nicht 6. Lightcap 7. Sometimes It Snows In April 8. Open Up 8. Jetzt Noch Nicht (Var.) 9. Post Post Post 10. Fluid 12. Valdemossa


(22/09/04)このメンバーで2枚目の録音。収録時間は60分。Julia Hulsmann作が1-2、5、9、11曲目、Marc Muellbauer作が3-4、12曲目、Heinrich Kobberling作が6、10曲目、Uli Kempendorff作が8曲目、7曲目のみ他人の曲。相変わらずコンビネーションは抜群で、サックスが柔らかめの音色で演奏しているので、クァルテットとして融合している感じが強い。それでも静謐な方向にあまり振れないのは、Thomas Herrプロデュースによる持ち込み音源だからか。このバンドの色合いとしてはこのくらいの方がいい感じ。全体的に各楽器の自由なスペースが基本で、綾織系だったり硬派な演奏の曲も多めです。どの人の作曲かにこだわらず、アルバムとして1枚割と自由に展開していく雰囲気も、聴き通しやすくていい。

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