ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。こちらは番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加え、’20年からLP聴きも追加してECM本編とJAPOが終了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページとメインブログと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。

カテゴリ: ECM1051-1100番

1100


Sun Bear Concerts/Keith Jarrett(P)(ECM 1100) - Disc1 Kyoto November 5, 1976. 1. Part 1 2. Part 2 Disc2 Osaka November 8, 1976. 1. Part 1 2. Part 2 Disc3 Nagoya November 12, 1976. 1. Part 2 2. Part 2 Disc4 Tokyo November 14, 1976. 1. Part 1 2. Part 2 Disc5 Sapporo November 18, 1976. 1. Part 1 2. Part 2 Disc6 1. Encore From Sapporo 2. Encore From Tokyo 3. Encore From Nagoya


キース・ジャレットの日本公演でのライヴ。LP時代は10枚組、CDでも6枚組、しかもソロピアノによる完全即興演奏という前代未聞のアルバム。ここでは5会場での演奏が収録されていますが、好不調の波があるライヴという状況で、会場ごとに全然違う内容の演奏が残されていて、そのどれもが一定水準以上の素晴らしい演奏というのが驚きです。場面によって、静寂、優しさ、きらめき、哀しみ、情熱などが、次から次へと彼の手からメロディに変換されて紡ぎ出されていきます。それにしても表情が豊か。1-5枚目までは各会場での演奏で、それぞれ70分台の長尺もの。6枚目はアンコールをまとめたもので4-10分台の短めの曲。1枚だけ取り出して聴いても良いですが、1回は全部通して聴きたいアルバム。

1099

Azimuth/John Taylor(P, Synth)/Norma Winstone(Voice)/Kenny Wheeler(Tp, Flh)(ECM 1099)(この番号では未CD化、別番号でCDBOX発売) - Recorded March 1977. - 1. Siren's Song 2. O 3. Azimuth 4. The Tunnel 5. Greek Triangle 6. Jakob

(19/09/25)グループの1枚目。全曲ジョン・テイラー作曲、歌詞入りはノーマ・ウィンストン作詞。変わった3人編成が、研ぎ澄まされたメロディアスなサウンドを生み出して、浮遊感を伴った清涼感とでもいうような雰囲気。3拍子の中をたゆたうように流れていく1曲目、消え入りそうな静かなピアノではじまヴォイス、そしてトランペットで中盤盛り上がるドラマチックな2曲目。アルバムそしてグループ名のタイトル曲の3曲目が、反復するシンセサイザーのバッキングの中をフレーズが舞う内省的な12分台の曲。ピアノと主にシンセサイザーをバックにヴォイス、トランペットが絡むバラードの4曲目、トランペットのみの多重録音の小品の5曲目、ピアノが語りかけるようにドラマチックにせまり、他の2人も徐々に盛り上がっていく6曲目。

(注)CDではECM 1546-48で再発
(注’24年2月25日)このアルバム単独でストリーミングにあるのを発見。

1098

Polarization/Julian Priester(Tb, String Ensemble) And Marine Intrusion(ECM 1098)(ストリーミング配信) - Recorded January 1977. Ron Stallings(Ts, Ss), Ray Obiedo(G), Curtis Clark(P), Heshima Mark Williams(B), Augusta Lee Collins(Ds) - 1. Polarization 2. Rhythm Magnet 3. Wind Dolphin 4. Coincidence 5. Scorpio Blue 6. Anatomy Of Longing

(19/09/25)1-2曲目がJulian Priesterの作曲で、Ray Obiedo作が4曲目、Curtis Clark作が5-6曲目、3曲目がBruce Horiuchiという人の作曲。複数のホーンで静かにはじまる、少し短めのタイトル曲の1曲目、続くように徐々に他の楽器も入りつつ、ベースはエレクトリックで、静かなファンクとでもいうのか、少し不思議なサウンドでベースが細かいビートを刻みながらホーンを含めて進み、ドラム・ソロで終わる2曲目、ホーンのハーモニーがゆったりと入り込み、割とのんびりと立ち止まったりしながら中盤フリー・ジャズに曲が進む3曲目、ECMらしいしっとりと静かなバラードの4曲目、ブルースというよりノリの良いファンクで後半一部フリーになる5曲目、トロンボーンのソロからピアノ他が加わる味わいのあるバラードの6曲目。

1097


Water Colors/Pat Metheny(G)(ECM 1097) - Recorded February 1977. Lyle Mays(P), Eberhard Weber(B), Dan Gottlieb(Ds) - 1. Watercolors 2. Icefire 3. Oasis 4. Lakes 5. River Quay 6. Suite: 1 Florida Greeing Song 2 Legend Of The Fountain 7. Sea Song


全曲パット・メセニーのオリジナルで、様々なサウンドが混在するアルバム。1曲目はノリが良く、初期のパット・メセニー・グループのようなサウンドでせまってきます。サウンドの色彩も豊かで、まさに水彩画的。ギター1本(15弦ハープギター?)でその冷めた幻想的な世界を表現している2曲目、しっとりと視覚的にせまってきて不思議な静寂を示すサウンドの3曲目、リズミカルでテンポ良く陽気に聴かせてくれる4曲目、やはりメロディアスにポップな雰囲気が伝わってくる5曲目、ドラムスとのダイナミックかつ繊細なデュオを展開する6曲目のパート1、ソロギターで美しく表現している同パート2、静かで表情の豊かな海をサウンドで視覚的に表現している、叙情的で時間が過ぎ去っていくような10分台の7曲目。(02年9月19日発売)

1096


Grazing Dreams/Collin Walcott(Sitar, Tabla)(ECM 1096)(輸入盤) - Recorded February 1977. John Abercrombie(G), Don Cherry(Tp, Wood Fl, etc), Palle Danielsson(B), Dom Um Romao(Per) - 1. Changeless Faith - 1-1. Song Of The Morrow 1-2. Gold Sun 1-3. The Swarm 1-4. Mountain Morning 2. Jewel Ornament 3. Grazing Dreams 4. Samba Tala 5. Moon Lake


(02/05/25)コリン・ウォルコットの作曲か、曲によっては参加メンバーとの共作。1曲目は組曲形式になっていて、「不変の信仰」とでも訳すのでしょうか。トランペットの抑制されたメロディが続くパート1、パーカッションサウンドをベースにエキゾチックな味わいのメロディで進行していくパート2、静寂の中から効果音的なフレーズが浮かんでは消え、後半フレーズの繰り返しで盛り上がるパート3、インプロヴィゼーションでの小品のパート4。民族音楽のような素朴さのあるメロディの2曲目、印象的なメロディで洗練された感じのタイトル曲の3曲目、パーカッションのデュオでノリも良い小品の4曲目、メンバーでのフリー・インプロヴィゼーションにしてはドラマチックでメロディアスな5曲目。民族音楽色は意外に低めかも。

1095


Sound And Shadows/Ralph Towner(G, P, French Horn) Solstice(ECM 1095)(輸入盤) - Recorded February 1977. Jan Garbarek(Ss, Ts, Fl), Eberhard Weber(B, Cello), Jon Christensen(Ds) - 1. Distant Hills 2. Balance Beam 3. Along The Way 4. Arion 5. Song Of The Shadows


(02/05/25)全曲ラルフ・タウナーのオリジナル。それにしてもスゴいメンバーです。発せられる音がそれぞれ個性のかたまり で心に届いてくるような感じ。浮遊感覚を伴いながら哀愁を感じさせるメロディと各楽器のソロで聴かせてくる10分台の1曲目、サックスやギターなどが盛り上がりをみせてECM風なジャズらしい展開になる、緩急自在でやはり10分台の2曲目、サックスがメロディアスにせまり、ギターが繊細な表情を見せる3曲目、陰影を感じさせながらの複雑なマイナーのテーマが印象的で、繊細な音を綴っていく4曲目、影のダークなイメージピッタリのテーマやアドリブ(?)の部分を持つ、抑制された緊張感のあるフレーズが印象的な5曲目。情景が浮かんでくるようなサウンド になっています。

1094

Motility/Steve Kuhn(P) And Ecstasy(ECM 1094)(この番号では未CD化、別番号でCDBOX発売) - Recorded January 1977. Steve Slagle(Ss, As, Fl), Hervie Swartz(B), Michael Smith(Ds) - 1. The Rain Forest 2. Oceans In The Sky 3. Catherine 4. Bittersweet Passages 5. Deep Tango 6. Motility/The Child Is Gone 7. A Dance For One 8. Places I've Never Been

(19/09/24)3、8曲目がハーヴィー・シュワルツの作曲で、他は全曲スティーヴ・キューンの作曲。ドラマチックで美しいピアノではじまる叙情的で風景的なバラードの1曲目、その叙情的でうねるピアノの出だしで、ロック基調にもなって盛り上がる耽美的な2曲目、サックスのメロディが印象的な、やや明るめのバラードの3曲目、ピアノの出だしから、ドラマチックな展開で盛り上がっていく、フリーっぽくもなるスリリングな4曲目、タイトル通り、今っぽいタンゴでゆったりと流れていく5曲目、フリーっぽい出だしとテーマのユニゾンからアップテンポの4ビート、そのままフリーとガンガン攻めて、急にゆったりしたジャズロックに転換する6曲目、明るいジャズロック的なソロ・ピアノの7曲目、ラテンのリズムで明るく勢いのある8曲目。

(Life's Backward Glances - Solo And Quartet/Steve Kuhn(ECM 2090-92)で再発 ’08年) 初CD化

1093


Dis/Jan Garbarek(Ts, Ss, Wood Fl)(ECM 1093)(輸入盤) - Recorded December 1976. Ralph Towner(G), Den Norske Messingsekstett(Brass), etc. - 1. Vandrere 2. Krusning 3. Viddene 4. Skygger 5. Yr 6. Dis


全曲ヤン・ガルバレクのオリジナル。曲によってはウインドハープ(1、3、6曲目)やブラスセクション(4曲目)も入りますが、ヤン・ガルバレクの乾いた(特にテナー)サックスと、ラルフ・タウナーの深いガットギターのサウンドとフレーズの妙味があります。曲の出だしではウインドハープをバックに淡々と、そしてメロディアスにインプロヴィゼーションを展開していく13分台の1曲目、朗々と歌うサックスに寄り添っていくギターの構図の2曲目、淡々と、中間部ではよりはっきりとした演奏が繰り広げられるエキゾチックな3曲目、これもややエキゾチックな感じで、ドラマチックな展開の10分台の4曲目、無国籍的な不思議な雰囲気を醸し出している5曲目、スペイシーな感じで邦楽にも通じていそうな、タイトル曲の6曲目。

1092


Passengers/Gary Burton Quartet(Vib) with Eberhard Weber(B)(ECM 1092) - Recorded November 1976. Pat Metheny(G), Steve Swallow(B), Dan Gottlieb(Ds) - 1. Sea Journey 2. Nacada 3. The Whopper 4. B & G (Midwestern Nights Dream) 5. Yellow Fields 6. Claude And Betty


だんだんパット・メセニーがクローズアップされてきて、6曲のうち3曲はパットの曲が取り上げられています。ただしギター度はあまり高くない感じがします。また、スティーヴ・スワロウのベースがルートを弾きながら、エバーハルト・ウェーバーのベースがメロディを弾くという場面も出て くるので、少々変わったサウンドになっています。1曲目はチック・コリア作で、哀愁を感じながらも快調に飛ばして曲が進んでいきます。スローでメロディアスなしっとりしたナンバーの2曲目、浮遊感のあるテーマを奏でてテンポも良い感じの3曲目、パットの曲で有名な、やはり哀愁路線の4曲目、ウェーバー作のドラマチックな盛り上がりのある5曲目 。そしてスワロー作のスローで不思議な雰囲気のあるワルツの6曲目で幕を閉じます。

1090


Staircase/Keith Jarrett(P)(ECM 1090/91) - Recorded May 1976. - Disc1 Staircase 1. Part1 2. Part2 3. Part3 Hourglass 4. Part1 5. Part2 Disc2 Sundial 1. Part1 2. Part2 3. Part3 Sand 4. Part1 5. Part2 6. Part3


フランスで突如インスピレーションが生じてそのまま一気にスタジオで録音された作品との事。曲のタイトルが4つあって、それぞれパート2-3ほどの即興演奏による組曲。タイトルと内容の関連性は不明ですが、一応はあるような感じ。「ステアケイス(階段)」はジャケット写真のような、欧州にあるような屋外の階段のイメージで、そこで移り変わっていく季節を連想させます。「砂どけい」はリズミカルに迫ってくるパート1ときれいなメロディのパート2の対比が面白い。さらさらと流れ落ちる砂。「日どけい」はゆっくりと時を刻みつづけている部分と、嵐が来襲してくる中ほどの部分と。「砂」は天候によって表情を変えていく砂漠の風景、といったところでしょうか。心に訴えかけてくる色彩感覚の豊かなアルバム。(01年8月22日発売)

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