ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。こちらは番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加え、’20年からLP聴きも追加してECM本編とJAPOが終了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページとメインブログと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。

カテゴリ: ECM1351-1400番

1389


Undisonus Ineo/Terje Rypdal(ECM 1389)(輸入盤) - Recorded September 1986 and November 1987. Terje Tonnesen(Vln), Royal Philharmonic Orchestra, London, Christian Eggen(Cond), Glex Vocalis, The Rainbow Orchestra - 1. Undisonus Op.23 For Violin And orchestra 2. Ineo Op.29 For Choir And Chamber Orchestra


(03/12/24)テリエ・リピダルの本格的クラシック・オーケストラ作品。作曲者に徹しているようで、ギターの演奏はここでは出てきません。ジャケット写真に表されるように、ほの暗い北欧の雰囲気が漂いつつも、決してジャズ・ギタリストの余技ではない、素晴らしい作曲技術が出ていると思います。1曲目はヴァイオリンとオーケストラの曲。時おり地の底から湧いてくるようなサウンドと、やはり寒色系のオーケストラで、後半にやや盛り上がりをみせる部分があります。2曲目は合唱団が前面に出ています。こちらも地を這うようなサウンドから浮かび上がる合唱のほのかな光、という構図で、荘厳な教会音楽のように響いてくる部分もあります。ゆったりと、ゆったりと。ジャズ度はないので、聴く人を選ぶアルバムか。

1388


City Of Eyes/Ralph Towner(G, P, Synth)(ECM 1388) - Recorded November 1988. Markus Stockhousen(Tp, Piccolo Tp, Flh), Paul MacCandless(Oboe, English Horn), Gary Peacock(B), Jerry Granelli(Ds, Electric Ds) - 1. Jamaica Stopover 2. Cascades 3. Les Douzilles 4. City Of Eyes 5. Sipping The Past 6. Far Cry 7. Janet 8. Sustained Release 9. Tundra 10. Blue Gown


ソロ(4曲)、デュオ(1曲)、トリオ(2曲)、クインテット(3曲)と様々な編成の演奏。全曲ラルフ・タウナーの作曲。曲によって現代音楽的だったり、いつものようなソロギターだったり、様々な表情。ソロのスマートなレゲエ風の1曲目、異国風かつ今風のサウンドがたたみかけてくるような2曲目、ベースとのデュオで少し躍動感のある綾織系統の中間色サウンドの3曲目、自由かつスペイシーでサウンドの感触だけで勝負しているようなタイトル曲の4曲目、ソロで明るい感触のメロディの5曲目、ピアノがしっとりした色をもたらす6曲目、ソロで明るいクラシックのような7曲目、ちょっとマイナー系でエスニックな香りも出てくる8曲目、陰影のあるやや硬派なサウンドが取り巻いている9曲目、ギターの多重録音でメロディアスな10曲目。

1387


Danca Dos Escravos/Egberto Gismonti(G)(ECM 1387) - Recorded November 1988. - 1. 2 Violoes(Vermelho) 2. Lundu(Azul) 3. Trenzinho Do Caipira(Verde) 4. Alegrinho(Amarelo) 5. Danca Dos Escravos(Preto) 6. Salvador(Branco) 7. Memoria E Fado(Marrom)


全7曲中、6曲はエグベルト・ジスモンチの作曲。彼は全編ギターで通しています(多重録音もあり)。6弦だけでなく、10弦、12弦、14弦と、 多弦ギターも使用しているそう。曲ごとに色も表記。フレーズが速めの割には淡さ加減が多い気がする、アルペジオが続くフレーズに浮かび上がるメロディが印象的な1曲目(朱色)、速いアルペジオの積み上げでサウンドが組み立てられていく2曲目(青)、エイトル・ヴィラ=ロボス作だけれども彼の作品のような哀愁と浮遊感のある3曲目(緑)、躍動感のあるアルペジオ兼メロディが印象に残る4曲目(黄)、15分もの大作でドラマチックな進行を持つ、タイトル曲でもある5曲目(黒)、エネルギッシュなコードを多用される盛り上がる6曲目(白)、メロディとしっとりとした表情がいい7曲目(茶色)。

1386


Chartres/Paul Giger(Vln)(ECM New Series 1386)(輸入盤) - Recorded At Summer Solstice 1988. - 1. Crypt 1+2 2. Crypt 3 3. Labyrinth 4. Crossing 5. Holy Center


(03/11/19)ヴァイオリン・ソロでの録音。フランスの教会の地下室や大聖堂の高いところ(?)での録音で、音響を確かめるための実験音楽なのか、ジャズに例えればフリー・インプロヴィゼーションのようなものなのか不明です。一部にヴァイオリンの表面を叩く音のようなものや、フレーズに前衛的な表現の部分(5曲目は何と持続音のみ!)もありますが、しっとりとメロディを奏でていく場面、テクニックを駆使していく場面も多いです。

1385


Perotin/The Hilliard Ensemble(ECM New Series 1385)(輸入盤) - Recorded September 1988. David James(Countertenor), John Potter(Tenor), Rogers Covey-Crump(Tenor), Mark Padmore(Tenor), Charles Daniels(Tenor), Gordon Jones(Baritone), Paul Hillier(Baritone) - 1. Viderunt Omnes 2. Veni Creator Spiritus 3. Alleluia Posui Adiutorium 4. O Maria Virginei 5. Dum Sigillum 6. Isaias Cecinit 7. Alleluia Nativitas 8. Beata Viscera 9. Sederunt Principes


(03/11/19)Perotinは13世紀の作曲家で、ポリフォニー(多声音楽)の確立の時期にいた一人だとされています。エコーが深く効いていて教会音楽らしく荘厳な雰囲気があります。やや明るめな曲も神秘性を感じます。アルバムの9曲中3曲は作者不詳(2、4、6曲目)。曲によって2声から7声までさまざまな構成。曲によっては下の方の持続音の上を舞い飛ぶメロディが印象的。当時からサウンド的には豊穣だったことを実感します。

1384


The Music Of Stones/Stephan Micus(Shakuhachi, Tin Wistle, Stone Chimes, Resonating Stones, Voice)(ECM 1384)(輸入盤) - Released 1989. Elmar Daucher(Resonating Stones), Gunther Federer(Voice, Resonating Stones), Nobuko Micus(Resonating Stones) - 1. Part 1 2. Part 2 3. Part 3 4. Part 4 5. Part 5 6. Part 6


(99/04/06)メインに使われているのは「共鳴する石?」大きくて四角く、切りこみのたくさん入っている石をアルバムの写真で見ることができます。エコーがかなりかかっていて何とも言えないスペイシーな間と音ですが、もうジャズのフリー・インプロヴィゼーションという域も大きく飛び越えているかもしれません。その共鳴した石の音の上を、ゆったりとたゆたうように尺八の音が舞っている13分台の1曲目、打楽器系の「石」による演奏の2曲目、音が高めの笛と鉄琴のような軽めの石の音とのコラボレーションの3曲目、石のみで11分間の空間的なドラマを作り上げていく4曲目、尺八のみでの実に日本的な間を感じる5曲目、この曲のみ4人が全員参加して石に加えてヴォイスも加わり、空間的で深みのある6曲目。

1383


The Singles Collection/Terje Rypdal(G)(ECM 1383) - Recorded August 1988. Allan Dangerfield(Key), Bjorn Kjellemyr(B), Audun Kleive(Ds) - 1. There Is A Hot Lady In My Bedroom And I Need A Drink 2. Sprott 3. Mystery Man 4. The Last Hero 5. Strange Behaviour 6. U.'N.I. 7. Coyote 8. Somehow, Somewhere 9. Steady 10. Crooner Song


全10曲中8曲がテリエ・リピダルの作曲。ここでの彼はロック的な路線をとり、そこにECM流のアレンジが加わって、面白いサウンドに仕上げています。ポップな感じのする北欧ロックとでも言えるような世界が広がっている1曲目、小刻みでヘヴィーなロック・リズムの上を縦横無尽にギターを弾きまくる2曲目、しっとりとした感じのバラードでせまる3曲目、陽気でファンクビート的なサウンドで進行する4曲目、ビートの上をアコースティック・ベースのソロも活躍する5曲目、チョッパー・ベースからハードなフリー・ファンクに向かう6曲目、やはり重ためのビートが効く7曲目、ちょっとのんびりした雰囲気のバラードの8曲目、ハード・ファンク的なノリがキマッて心地良い9曲目、ややスペイシーなロックでギターがまとわりつく10曲目。

1382


Personal Mountains/Keith Jarrett(P)(ECM 1382) - Recorded April 1979. Jan Garbarek(Ts, Ss), Palle Danielsson(B), Jon Christensen(Ds) - 1. Personal Mountains 2. Prism 3. Oasis 4. Innocence 5. Late Night Willie


’89年に10年前の東京公演のライヴが発表されました。全曲キース・ジャレットのオリジナル。1曲目はリズミカルでメロディアスにはじまって盛り上がり、やがて静かな美しいコラボレーションの場面に至るドラマチックな展開の16分台の曲。聴きやすく洗練されたフレーズやサウンドでせまってくる10分台の2曲目、ゆったり、かつしっとりと哀愁を帯びてメロディが舞うようなサウンドの、一部飛翔を試みる場面もある18分台の3曲目。分かりやすいメロディで明るく、そして優しく語りかけてくる4曲目。5曲目はECMでは珍しく、CDのみのボーナストラック。ノリがあって明るい8ビートの曲を、比較的カラッとした感触で演奏してくれます。 録音してかなり経ってからの発売されている理由は、やっぱり内容の良さかと思います。(02年9月19日発売)

1381


Legend Of The Seven Dreams/Jan Garbarek(Ss, Ts, Fl)(ECM1381)(輸入盤) - Recorded July 1988. Reiner Bruninghaus(Key), Nana Vasconceros(Per), Eberhard Weber(B) - 1. He Comes From The North 2. Aichuri, The Song Man 3. Tongue Of Secrets 4. Brother Wind 5. It's Name Is Secret Road 6. Send Word 7. Voy Cantando 8. Mirror Stone 1 9. Mirror Stone 2


(99/08/18)全曲ヤン・ガルバレクのオリジナル。大半の曲で参加するナナ・ヴァスコンセロスのカラーが強く影響しているアルバム。 ソロの曲も半分弱あります。多重録音の部分もあるようです。1曲目は牧歌的なテーマではじまりエキゾチックにパーカッションが絡む13分の曲、2曲目はパーカッションとのデュオの無国籍風。クァルテット編成ながら静かに流れていく3曲目、耳から離れないメロディアスなテーマではじまる幻想的な4曲目、フルートのソロ無国籍風の小品である5曲目、クァルテットで、北欧の重く沈んだ情景が浮かび上がるような6曲目、サックスの咆哮も冷たい感触を与えるやはりエキゾチックな7曲目。8-9曲目はそれぞれ1-2分ほどの作品で、サックスのソロが心の奥に染み込んでいきます。

1380


Big Map Idea/Steve Tibbetts(G, Dobro, Kalimba, Pianolin, Tapes)(ECM 1380)(輸入盤) - Recorded 1987-88. Marc Anderson(Ds, Per, etc), Marcus Wise(Tabla), Michelle Kinney(Cello) - 1. Black Mountain Side 2. Black Year 3. Big Idea 4. Wish 5. Station 6. Start 7. Mile 234 8. 100 Moons 9. Wait 10. 3 Letters


(03/08/15)アコースティック・ギターを中心に、タブラやパーカッションが絡んでくる独特の、しかもある程度安らぎのあるサウンドです。アメリカ田舎発のカントリー&インド風味無国籍サウンド、と言えばいいのかも。1曲目はそんな雰囲気のオリジナルかと思ったら、ロックのジミー・ペイジ作ということでビックリしました。他の曲はほとんどがSteve Tibbetts作かMarc Anderson作または共作。パーカッション(特にタブラ)の絡みの強さによってアメリカに近くなったりエキゾチックになったりします。激しく燃え上がるわけでもなく、ちょっと淡々としていて、どこか懐かしい響き。10曲目は組曲になっていて3部構成ですが、ここだけはシンフォニックでドラマチックな展開かなあと思えます。肩の力を抜いて聴けるアルバム。

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