ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。こちらは番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加え、’20年からLP聴きも追加してECM本編とJAPOが終了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページとメインブログと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。

カテゴリ: ECM1401-1450番

1426


Alpstein/Paul Giger(Vln)(ECM 1426)(輸入盤) - Recorded 1990-91. Jan Garbarek(Ts), Pierre Favre(Per) - 1. Zauerli 2. Karma Shadub 3. Alpsegen 4. Zauerli 5. Zauerli 6. Chuereihe 7. Chlauseschuppel 8. Trogener Chilbilabe


(03/08/14)全曲Paul Gigerの作曲。楽器編成からも、ゆったりとした、しかも位置特定が難しい民族的な少々マニアックな音の流れになっています。1、4-5曲目は、同じ曲名のヴァージョン違いの小品で、静かな明るめの風景がそこに佇んでいるような雰囲気。2曲目はヴァイオリンで織り成していく心のひだの陰りを表すかのようなサウンドに、エキゾチックな哀愁を帯びたテナー・サックスが寄り添っていく13分台の曲。3曲目は前半は静かな中から浮かび上がってくる音が発せられては消えていき、やがては民族的な雰囲気の盛り上がりを見せる12分台の曲。6曲目はトリオで不思議な国籍、かつしっとり哀愁高めの17分台の曲。パーカッションのみの7曲目、激しいヴァイオリンの旋律もありながら醒めた感じもある8曲目。

1425


Dmitri Shostakovich/Paul Chihara/Linda Bouchard/Kim Kashkashian(Viola)/Robert Levin(P)/Robyn Schulkowsky(Per)(ECM New Series 1425)(輸入盤) - Recorded 1990. - 1. Linda Bouchard: Pourtinade 2. Paul Chihara: Redwood 3-5. Dmitri Shostakovich: Sonata Op. 147


(04/01/02)3曲共に3人の20世紀の作曲家の作品で、1、2曲目がヴィオラとパーカッションの曲、3曲目がヴィオラとピアノの曲。1曲目は静かで観念的なコラボレーションが続き、内省的でやや即興的(現代音楽として)に響きます。2曲目は、パーカッションの連打が1曲目よりは目立ってくるけれど、やはり静かな世界が支配しています。3曲目以降も現代の香りが強いながらも、その哀愁とドラマ性で引き込まれるような感じが。

1424


After the Requiem/Gavin Bryers(B, Comp)(ECM New Series 1424) - Recorded September 1990. Bill Frisell(G), Alexander Balanescu(Vln, Viola), Kate Musker(Viola), Tony Hinnigan(Cello), Roger Heaton(Cl, Bcl), Dave Smith(Tenor Horn, P), Martin Allen(Per), Simon Limbrick(Per), Evan Parker(Ss), Stan Sulzmann(Ts), Ray Warleigh(As), Julian Arguelles(Bs) - 1. After The Requiem 2. The Old Tower Of Lobenicht 3. Alaric 1st Or 2nd 4. Allegrasco


Gavin Bryersは20世紀イギリスの現代音楽家ですが、ジャズ・ミュージシャンとしても活動歴あり。1-2、4曲目にビル・フリゼールが参加。ジャンルとしては現代音楽になると思うのですが、彼の参加 が現代音楽では異色。といっても伸びるトーンで延々とストリングスのようなサウンドの演奏なので、オーケストラに同化しています。あくまでもサウンド全体で鑑賞?する音楽。それにしても表現の幅が広い。 3曲目はサックス4本での演奏。

1422


Gesualdo: Tenebrae/The Hilliard Ensemble(ECM New Series 1422/23)(輸入盤) - Recorded March 1990. David James(Coutertenor), Ashley Stafford(Countertenor), John Potter(Tenor), Rogers Covey-Crump(Tenor), Mark Redmore(Tenor), Paul Hillier(Baritone), David Beavan(Bass) - 1-9. Feria 5 - In Coena Domini Responsorium 1-9 10-18. Feria 4 - In Parasceve Responsorium 1-9 19-27. Sabato Sancto Responsorium 1-9 28. Benedictus 29. Miserere


(03/07/26)作曲者のCarlo Gesualdoは16-17世紀の作曲家(宗教音楽家)。ヒリヤード・アンサンプルの男声が7人で、荘厳なポリフォニーの歌を響きの良い録音で聴く事ができます。どの曲も、ゆったりと厳かに、しかも淡色系の中で温度感が多少上下するかな、といった感覚でゆっくりと時が流れていきます。9曲ずつひとかたまりで全3シリーズあり、そして、ラスト2曲はあまり長くない曲。 ゆったりと身をゆだねたいアルバム。

1420


Tribute/Keith Jarrett Trio(P)(ECM 1420/21) - Recorded October 15, 1989. Gary Peacock(B), Jack DeJohnette(Ds) - 1. Lover Man 2. I Hear A Phapsody 3. Little Girl Blue 4. Solar 5. Sun Prayer 6. Just In Time 7. Smoke Gets In Your Eyes 8. All Of You 9. Ballad Of The Sad Young Men 10. All The Things You Are 11. It's Easy To Remember 12. U Dance


邦題「オール・オブ・ユー」。いろいろなミュージシャンへのトリビュート・アルバム。リー・コニッツ、ジム・ホール、ナンシー・ ウィルソン、ビル・エヴァンス、チャーリー・パーカー、コールマン・ホーキンス、マイルス・デイヴィス、アニタ・オデイ、ソニー・ロリンズ、ジョン・コルトレーン、と名前が続きますが、ペースはいつものキース・ジャレット・トリオのスタンダードの演奏。いつもに増して、流麗なフレーズと美しいメロディ。1曲ずつの時間も比較的長めのものが多い。CD2枚組なのですが、一気に通して聴かせてくれます。6曲目、10曲目あたりはけっこうパワーがあって圧巻。5曲目(14分台)と12曲目のみオリジナル。これらはそれぞれ短調と長調ですが、 時おりはさみこまれるこういう路線もなかなか捨てがたいかも。(01年3月28日発売)

1419


I Took Up The Runes/Jan Garbarek(Ss, Ts)(ECM 1419) - Recorded August 1990. Rainer Bruninghaus(P), Eberhard Weber(B), Nana Vasconcelos(Per), Manu Katche(Ds), Bugge Wesseltoft(Synth), Ingor Antte Ailu Gaup(Voice) - 1. Gula Gula Mole Canticle 2. Part 1 3. Part 2 4. Part 3 5. Part 4 6. Part 5 7. His Eyes Were Suns 8. I Took Up The Runes 9. Bueno Hora, Buenos Vientos 10. Rankki Sruvvis


邦題「黙示録」。トラディショナルや他の人の曲にアレンジをした曲もありますが、2-6、8-9曲目がヤン・ガルバレクの曲。北欧のミュージシャンに、ブラジル人のナナ・ヴァスコンセロス、パリ在住のアフリカ人マヌ・カッツェの組み合わせで、北欧とワールド色との融合。叙情的な曲もビートの効いた曲もありますが、日本人好みのメロディーかも。北欧の原初的なサウンドが見え隠れする懐かしい1曲目、素朴なメロディが強く印象に残る、カラフルである意味壮大な感じもする組曲仕立ての2-6曲目、トラディショナルのヴォーカルが印象的な7曲目、リズミカルな上に北欧的なサックスが響くタイトル曲の8曲目、渋めのメロディとリズム、物語的な展開の9曲目、やはりヴォーカル入りの懐かしい民族的な香りのしている10曲目

1418


Road To Saint Ives/John Surman(Bcl, Ss, Bs, Key, Per)(ECM 1418)(輸入盤) - Recorded April, 1990. - 1. Polperro 2. Tintagel 3. Trethevy Quoit 4. Rame Head 5. Mevagissey 6. Lostwithiel 7. Perranporth 8. Bodmin Moor 9. Kelly Bray 10. Piperspool 11. Marazion 12. Bedruthan Steps


(03/09/15)全曲ジョン・サーマンの作曲で、多重録音のソロによる彼独自の世界を展開。色々な楽器を駆使して、明るめのサウンド、暗めのサウンドと多彩ですが、短調の曲が多いです。どの曲も聴きやすいメロディで、彼ならではのノスタルジーを感じさせるような演奏になっています。短めの曲と5-12分ほどの曲がほぼ交互に配されていて、1、6、9、11曲目のように楽器もホーン1本だけだったり、重々しい多重録音だったりと、さまざま。いかにもイギリス人らしいノスタルジックな哀愁を感じさせる12分台の2曲目などは、やはり彼らしい魅力にあふれている大作。3曲目のようにアグレッシヴなものもあります。ただ、たいていの曲は切なげなメロディの哀愁路線。8、10曲目は不思議な浮遊感も漂います。

1417


The Widow In The Window/Kenny Wheeler Quintet(Tp, Flh)(ECM 1417) - Recorded February 1990. John Abercrombie(G), John Taylor(P), Dave Holland(B), Peter Erskine(Ds) - 1. Aspire 2. Ma Balle Helene 3. The Widow In The Window 4. Ana 5. Hotel Le Hot 6. Now, And Now Again


全曲ケニー・ホイーラーの作曲。なかなかスゴいメンバー。研ぎ澄まされたサウンドで、緊張感が漂います。また 、かなりECM的ながらもいわゆるジャズ的な演奏もあります。出だしは静かにはじまり、各メンバーがその冷たさを保ったまま盛り上がる場面もある12分台の1曲目、ボッサというか流れるようなベースラインの上を、これまたフレーズはある程度速いけれども涼風が吹いてくるようなサウンドの2曲目、影のあるしっとりとしたメロディでゆったりと漂っていくタイトル曲の3曲目、スローに入ってくる出だしにはじまって、6分頃に管によるはっきりしたメロディが出てくる、14分ものドラマを繰り広げる4曲目、冷えたラテン的兼4ビートなノリでややアップテンポで進む5曲目、しっとりとしつつゆっくりメロディを奏でていく6曲目。

1415


Music For Large & Small Ensembles/Kenny Wheeler(Flh, Tp)(ECM 1415/16) - Recorded January 1990. - John Abercrombie(G), John Taylor(P), Dave Holland(B), Peter Erskine(Ds), Norma Winstone(vo), Darek Watkins(Tp), Henry Lowther(Tp), Alan Downey(Tp), Ian Hamer(Tp), Dave Watkins(Tb), Chtis Pyne(Tb), Paul Rutherford(Tb), Hugh Fraser(Tb), Ray Warleigh(Sax), Duncan Lamont(Sax), Evan Parker(Sax), Julian Arguelles(Sax), Stan Sulzman(Ts, Fl) - The Sweet Time Suite: 1. Part 1 Opening 2. Part 2 For H., Part 3 For Jan 3. Part 4 For P.A. 4. Part 5 Know Where You Are 5. Part 6 Consolation 6. Part 7 Freddy C, Part 8 Closing 7. Sophie 8. Sea Lady 9. Gentle Piece 10. Trio 11. Duet 1 12. Duet 2 13. Duet 3 14. Trio 15. By Myself


CD2枚組。1枚目はビッグバンドによる組曲、2枚目の半分もビッグバンドで、2枚目の残り(10-15曲目)はトリオやデュオ、クインテットによるスモールコンボの演奏。なかなか聴けないECMのビッグバンドですが、やはりケニー・ホイーラーらしい冷めた感じがします。1枚目は全曲彼の作曲、2枚目は7-9曲目が彼の作曲で、これらもなかなかの演奏。最後にスタンダードがあって、あとは参加者のインプロヴィゼーション。1枚目は1曲目の牧歌的なテーマの提示がありますが、その後は盛り上がったり静かになったり、けっこうドラマチックな展開。1枚分でひとつの組曲になっているため、通して聴くべき音楽だと思います。ヴォーカルの部分や4ビートもあり。11-13曲目はジョン・テイラーとピーター・アースキンでのデュオ。

1413


Ode To The Death Of Jazz/Edward Vesala(Ds) Sound And Fury(ECM 1413)(輸入盤) - Recorded April and May, 1989. Matti Riikonen(Tp), Jorma Tapio(As, Bcl, Fl), Jouni Kannisto(Ts. Fl), Pepa Paivinen(Ss, Ts, Bs, Fl, Cl, Bcl), Tim Ferchen(Marimba, Tubular Bells), Taito Haarla(P, Harp, Key), Jimi Sumen(G), Uffe Krokfors(B) - 1. Sylvan Swizzle 2. Infinite Express 3. Time To Think 4. Winds Of Sahara 5. Watching For The Signal 6. A Glimmer Of Sepal 7. Mop Mop 8. What? Where? Hum Hum


(03/09/23)全曲Edward Vesalaのオリジナル。比較的大編成で、カラフルなサウンドを聴かせてくれます。「ジャズの死」がタイトルでのテーマです。綾織り模様の複雑精緻な現代音楽的なアプローチで、やや難解にせまってくる1曲目、リズミカルなドラムスの上をホーンアンサンプルやギターその他の楽器が切り込んでくる2曲目、ゆったりとしたバラードなのだけれども、妖しげなメロディやハーモニーには神経質さを感じる3曲目、アフリカンのビートの上をアンサンブルが盛り上がる4曲目、日本的情緒と間を感じながらゆっくりと進んでいく5曲目、タンゴの形式での曲になっている6曲目、一部アンサンブルを保ちつつも極めて自由に展開する7曲目。かなりクセがありつつもジャジーな8曲目で最後ですが、これが答えか。

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