ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。こちらは番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加え、’20年からLP聴きも追加してECM本編とJAPOが終了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページとメインブログと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。

カテゴリ: ECM1852-1900番

1868


Suspended Night/Tomasz Stanko(Tp)(ECM 1868) - Recorded July 2003. Marcin Wasilewski(P), Slawomir Kurkiewicz(B), Michal Miskiewicz(Ds) - 1. Song For Sarah 2-11. Suspended Variations 1-10


(04/03/10)このメンバーでは2作目。Variations8と10(9、11曲目)が4人でのフリー・インプロヴィゼーションで、他はトーマス・スタンコのオリジナル。1曲目だけ連作とは違いますが、美しいメロディをもった静かなバラード。2曲目以降の連作は静かな曲、元気のある曲が適度に入り混じっています。連作にするよりはタイトルをつけた方が良いと思いましたが。2曲目以降を聴いてみても、ちょっと異色ながらちゃんと彼ら独特のジャズ。もちろん、静かな曲での哀愁を帯びた美しいメロディを奏でるトランペットやピアノも印象的。3曲目はテンポが良いラテン風の曲で、意外といえば意外。6曲目も硬派なラテンビートに近いノリ。9曲目もノリが良く、フリー・インプロヴィゼーションとはクレジットを見なければ分からないかも。 (04年10月21日発売)

1866


In Winds, In Light/Anders Jormin(B)(ECM 1866) - Recorded May 2003. Lena Willemark(Voice), Marilyn Crispell(P), Karin Nelson(Church Org), Raymond Strid(Per) - 1. Varstav (Spring Saying) 2. Introitus 3. Sang 80 (Song 80) 4. Choral 5. In Winds 6.Sandstone 7. Allt 8. Soapstone 9. Gryning 10. Each Man 11. Transition 12. Flying 13. Sommarorgel (Summer Organ) 14. Love Song 15. Limestone 16. En Gang (Some Day)


(04/10/12)全曲Anders Jorminの作曲。既成の詞もありますが、彼が詞をつけている曲も。教会のオルガンの参加が個性的だけれども、いわゆる温度感の低い内省的なECMミュージックの世界。たいていの曲は全員が同時に参加しているわけでなくて、交互に出てくる感じ。オルガンのみの曲は2、11曲目。ベースのみが6、8、15曲目。ヴォイスが入ることによって北欧の香りが強くわき立ちます。3曲目のように、時おり見せるゆったりとしたピアノのソロも美しいが、同時に後半ヴォーカルのつんざきも。5、7曲目のオルガンとピアノのバランスもいい。4曲目では静かな中にベースのアルコの出だしと、中間部からオルガンとヴォイスが大きいサウンドで迫力。16曲目も中間部でオルガンと強い叫び、そして唯一激しいピアノ。 (04年10月21日発売)

1864


Extended Play - Live At Birdland/Dave Holland(B) Quintet(ECM 1864/65) - Recorded November 21-24, 2001.Chris Potter(Ss, Ts), Robin Eubanks(Tb, Per), Steve Nelson(Vib. Marimba), Billy Kilson(Ds) - 1. The Balance 2. High Wire 3. Jugglers Parade 4. Make Believe 5. Free For All 6. Claressence 7. Prime Derective 8. Bedouin Trail 9. Metamorphos


ライヴの2枚組。2、9曲目を除けばデイヴ・ホランドのオリジナル。以前のアルバムで既出の曲が7曲ありますが、曲の長さが10-20分と、スタジオ録音のものよりだいぶ演奏時間が長く、ライヴならではの展開やそれぞれのソロを楽しめます。時にスゴい場面あり。楽器の編成から、ややまろやかなサウンドを想像しますが、そのエッセンスはけっこうトンガっていて、ジャズという土俵の中で現代的な音を発しています。変拍子やキメが随所にちりばめられているはずなのだけども、そういう分析的な聴き方をしなくても、非常に長時間の演奏にもかかわらず、飽きさせず聴かせてくれます。初出の5曲目はテーマが絡みつつ中間色的に盛り上がる曲、6曲目は渋めの滑らかなテーマを持ちこれまた盛り上がる17分台の曲。(03年11月5日発売)

1863


Universal Syncopations/Miroslav Vitous(B)(ECM 1863) - Recorded March 2000 - March 2003. Jan Garbarek(Ss, Ts), Chick Corea(P), John McLaughlin(G), Jack DeJohnette(Ds), Wayne Bergeron(Tp), Valerie Ponomarev(Tp, Flh), Isaac Smith(Tb) - 1. Bamboo Forest 2. Univoyage 3. Tramp Blues 4. Faith Run 5. Sun Flower 6. Miro Bop 7. Beethoven 8. Medium 9. Brazil Waves


全曲ミロスラフ・ヴィトウスの作曲か共作(7-9曲目)。とにかくスゴいメンバーです。2-4曲目にはブラスセクションが入りますが、他の曲もコアのメンバーがクインテット編成とは限らなくて、あまりテクニックにこだわるわけ(時折り見せますが)でもなく、それでいて印象を残してくれる演奏。10分を超える2曲目は全員が揃っていますが、ECMにしては元気な、余裕のあるECM流のジャズ(4ビートではない)を見せつけています。やはり温度感は低め。3曲目はサックスとのトリオ+ブラスで珍しくブルース。ペースが速くスリリングにせまる4曲目、自由な展開ながらもECM流ジャズスピリットあふれる5-6曲目。サックスとベースの掛け合いが印象的なトリオでの7、9曲目。ドラムスとのデュオでのインプロヴィゼーションの8曲目。(03年10月1日発売)

1862


Angles Of Repose/Joe Maneri(As, Ts, Cl), Barre Phillips(B), Mat Maneri(Viola)(ECM 1862)(輸入盤) - Recorded May 2002. - 1. Number One 2. Number Two 3. Number Three 4. Number Four 5. Number Five 6. Number Six 7. Number Seven 8. Number Eight 9. Number Nine 10. Number Ten


(04/07/10)このメンバーでは2作目。全曲フリー・インプロヴィゼーションで、主にトリオの演奏。3曲目がJoe Maneriのみ、5曲目がBarre PhillipsとMat Maneriのデュオ。とは言いつつも、微分音といって12音階をさらに細分化した音階を使っているため、通常のメロディ感というものがなく、不安定な音階を聴く人にジワジワと突きつけてきます。フリージャズと現代音楽の要素を持っているような、不思議な失調感を伴うサウンド。それでも1曲目から10曲目まで、それぞれに個性があるのが分かります。静かな場面と盛り上がる場面など、いろいろ出てきますが、やっぱり音階と咆哮と、楽器から出るさまざまな音と、安易に聴こうとする人をある意味で拒否するかのようなアルバムです。ここまでくると、それはそれで深遠かも。

1861


Tituli/Cathedral In The Thrashing Rain/Stephen Hartke(ECM New Series 1861)(輸入盤) - Recorded February 2003. The Hilliard Ensemble: David James(Countertenor), Rogers Covey-Crump(Tenor), Steven Harrold(Tenor), Andreas Hirtreiter(Tenor), Gordon Jones(Baritone), Michelle Makarski(Vln), Lynn Vartan(Marimba, Cynbals, Shakers, Cup Bells, Wood Block), Javier Diaz(Marimba, Cynbals, Shakers, Cup Bells, Wood Block), Donald Crockett(Cond) - 1-7. Tutuli 8. Cathedral In The Thrashing Rain


(03/11/19)ECM初のSACD/CDハイブリッドディスク。Stephen Hartkeは’52年生まれの現代音楽家で、上記の曲は’99年から’00年にかけて作曲されたもの。前者は5声、ヴァイオリン、2人のパーカッションのための曲で、古いラテン語の詩。宗教音楽(かどうか分かりませんが)的な荘厳な部分もありますが、現代的な音使いも。2曲目は4声の曲で、日本語の詞(高村光太郎)からの翻訳との事。とはいうものの旋律は西洋的。

1860


Up For It/Keith Jarrett(P), Gary Peacock(B), Jack DeJohnette(Ds)(ECM 1860) - Recorded July 16, 2002. - 1. If I Were Bell 2. Butch & Butch 3. My Funny Valentine 4. Scrapple From The Apple 5. Someday My Prince Will Come 6. Two Degrees East, Three Degrees West 7. Autumn Leaves - Up For It


久しぶりにラスト(メドレー後半)の曲のみ突き進んでいくオリジナルで、あとはスタンダードの構成。彼らとしてはオリジナルだろうとスタンダードだろうとマイ・ペースで演奏しているだけなのだと思いますが、また再び分かりやすいメロディの世界に戻ってきてくれたのがうれしい。映像作品まで含めると、今回の初出のスタンダードは4、6曲目のみ。ただ、今回のヴァージョンの再演曲も決して飽きさせることなく聴かせてくれます。1-2曲目で明るめな面でせまってきたと思ったら、3曲目のしっとり感の高い面でも見事に心に入り込んできて、盛り上がっていきます。4曲目もピアノもスゴいですが、キース・トリオ独自のサウンドが出来上がっています。6曲目はブルース。そしておなじみ7曲目前半「枯葉」も心地良く聴く事ができます。(03年5月21日発売)

1858


Das Madchen Mit Den Schwefelhozern/Helmut Lachenmann(Voice)(ECM New Series 1858/59) - Recorded July 2002. Eiko Morikawa(Soprano), Nicole Tibbels(Soprano), Yokiko Sugawara(P), Tomoko Hemmi(P), Mayumi Miyata(Sho), SWR Vokalensemble Stuttgart, SWR Sinfonieorchester Baden-Baden Und Freiburg, Sylvian Lachenmann(Cond) - CD1. Teil: 1 Auf Der Strasse 1. Choralvorspiel "Oh Du Frohliche" 2. "In Dieser Kalte" 3. "Frier-Aire"(1. Tell) 4. Trio Und Reprise("Frier-Aire" 2. Tell) 5. Scherzo 1("Konigin Der Nacht) 6. Schelzo 2("Schnalz-Aire" - "Stille Nacht") 7. "Zwei Wagen" 8. "Die Jagd" 9. "Schneeflocken" 10. "Aus Aleen Fenstern" Teil 2: An Der Hauswand 11. Hauswand 1("In Einem Winkel") 12. Ritsch 1("Ofen") 13. Hauswand 2("Da Erlosch") 14. Hauswand 3("Litanei") 15. "Schreibt Auf Unsere Haut" 16. Ritsch 3 CD2. 1. Ritsch 3 2. Kaufladen 3. "Die Weihnachtslieder Stiegen Hoher" 4. Abendsegen("Wenn Ein Stern Fallt") 5. "...Zwei Gefuhle...", Musik Mit Leonardo 6. Hauswand 4 7. Ritsch 4 8. Die Grossmutter 9. "Nimm Mich Mit" 10. Himmelfahrt("In Glanz Und Freude") 11. Sho("Sie Waren Bei Gott") 12. Epilog("Aber In Der Kalten Morgenstunde")


(04/08/08)邦題「歌劇<マッチ売りの少女>」。Helmut Lachenmannは20世紀ドイツの現代音楽家。主なメンバーに日本人が参加していたり笙を演奏する場面があったりと、個性的。しかし、最も個性的なのは、2時間弱(CD2枚組)の歌劇でありながらやはり非常に現代音楽的な歌唱、演奏であることで、聴く人を簡単には寄せ付けないアヴァンギャルドさがあります。 これが歌劇なのか?というあまりにも抽象的なサウンドの展開です。(04年7月7日発売)

1857


Napoli's Walls/Louis Sclavis(Cl, Bcl, Ss, Bs)(ECM 1857)(輸入盤) - Recorded December 2002. Vincent Courtois(Cello, Electronics), Mederic Collingnon(Pocket Tp, Voices, Horn, Per, Electronics), Hasse Poulsen(G) - 1. Colleur De Niut 2. Napoli's Walls 3. Merce 4. Kennedy In Napoli 5. Divinazione Moderna 1 6. Divinazione Moderna 2 7. Guetteur D'inapercu 8. Les Apparences 9. Porta Segreta 10. 2 Disegno Smangiato D'un Uomo


(03/11/29)変則的な編成。ほとんどLouis Sclavisの作曲。現代音楽のような曲やエレクトロニクスの使用もあり、ボーダーレスな仕上がり。ギターとチェロ、木管の絡み合いからエレクトロニクスが加わり盛り上がっていく10分台の1曲目、エキゾチックに香りつつ各メンバーが自由に同時にフレーズを奏でていき、物語性のあるタイトル曲の2曲目、静かでやや浮遊感のある3曲目、ちょっとアヴァンギャルドで茶目っ気のある4曲目、哀愁とフレンチ風情緒を感じる組曲の5-6曲目、各楽器やエレクトロニクスのスリルがある変化に富んだ7曲目、静かに語りかけてくる8曲目、チェロとホーンのラインが対照的なVincent Courtois作の9曲目、構築された部分もあってスクラヴィスのソロが渋い、ドラマチックに展開する10曲目。

1856


Terra Nostra/Savina Yannatou(Voice)(ECM 1856)(輸入盤) - Recorded November 2001. Lamia Bedioui(Voice), Primavera En Salonico - Lefteries Ahgouridakis(Per), Yannis Alexandris(Oud, G, Tamboura), Kostas Vomvolos(Kanoun, Accordion, Caliba, Tamboura), Kyriakos Gouventas(Vln), Haris Lambrakis(Nay), Michalis Siganidis(B), Antonis Maratos(Per), Tassos Misyrlis(Cello) - 1. With The Moon I'm Walking 2. Ivan Nadonka Dumashe 3. A Fairy's Love Song 4. Ballo Sardo 5. Yiallah Them Rima 6. El Barquero 7. No Seas Capritchioza 8. Cgant Des Belles Meres 9. Schubho Lhaw Qolo 10. I've Told You And I Say Again 11. Tres Hermanicas Eran 12. Los Bilbilicos 13. Hey Het 14. Ah Mon Die 15. Close Your Eyelids And See 16. Adieu Paure Carnavas 17. Wa Habibi 18. Madonna De La Grazia 19. Kadife 20. Jaco


(03/03/10)アテネでのライヴで、ワールド路線のヴォーカルアルバム。ギリシャ、ブルガリア、サルディニア、レバノン、スペインはじめ、各地の民謡を中心に歌っています。その範囲はヨーロッパ、中東、アジアまで及んでいて、そのヴォーカルや伴奏のサウンドは 、西欧、非西欧に関わらずけっこうエキゾチックな感じ。そしてその声やサウンドは心の奥深くまで届くような印象。静かな曲ばかりではなく、4、20曲目のようなかなりにぎやかな曲もあるのがECMらしからぬところかも。ジャズの要素はありませんが、楽器 、ヴォーカルのコラボレーションなどにインプロヴィゼーションを感じる部分も。15曲目は歌ではなくて2人で詞の掛け合いをしています。Lamia Bediouiは5、8、13、15、17曲目に参加。

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