ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。ECM本編とJAPOはほぼコンプリート。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。ストリーミングと親和性が高いため、2600番より前は一部を残し処分しました。探し物は検索窓を使うと便利です。

2784

Erkki-Sven Tuur/Aeris(ECM New Series 2784)(輸入盤) - Recorded September 2022. Estonian National Symphony Orchestra, Olari Elts(Cond), German Hornsound: Christiph Ess, Marc Gruber, Stephan Schottstadt, Timo Steininger - 1. Phantasma 2. Symphony No.10 "Aries" 3. De Profundis (Dedicated to Olari Elts)

(25/06/11)Erkki-Sven Tuurはエストニアの現代音楽家。収録時間は61分。’13年から’21年にかけての新しめの作曲の演奏。そして2曲目はオーケストラだけではなくGerman Hornsound(ホルン)との共演。静かな場面とダイナミックな音が出てくる場面のコントラストがあり、ドラマチックに進んでいくさまが興味深い。指揮者のOlari Eltsもエストニア人で、Tuurの演奏を推し進めてきたそうで、彼に捧げる3曲目もあります。印象的。

2850

New Vienna/Keith Jarrett(P)(ECM 2850)(輸入盤) - Recorded July 9, 2016. - 1-9. New Vienna Part I - IX 10. Somewhere Over The Rainbow

(25/06/04)「ブダペスト・コンサート」(2016年7月3日、ライヴ録音) 、「ボルドー・コンサート」(2016年7月6日、ライヴ録音)、「New Vienna」(2016年7月9日、ライヴ録音)(当作品)、「ミュンヘン 2016」(2016年7月16日、ライヴ録音)という、一連のライヴで今回4作目として出たライヴ。収録時間は69分。アンコールの曲のみスタンダード。1曲目は難解な現代音楽的な曲で始まるのはこのツアー共通で、ブルースの曲も他のアルバムで取り上げているものもありますが、曲数、構成、アンコール共にコンサートごとに違い、彼が稀代のインプロヴァイザーであることを証明しています。新しい音源が聴けないのが残念。ただ、このアルバムは少々短めなので、曲のカットがあったのか、どうか。このツアーの4枚をまとめて聴きたい。

2795


Arcanum/Arve Henriksen(Tp, Electronics)/Trygve Seim(Ss, Ts)/Anders Jormin(B)/Markku Ounaskari(Ds, Per)(ECM 2795)(輸入盤) - Recorded March 2023. - 1. Nokitpyrt 2. Blib A 3. Armon Lapset 4. Folkesong 5. Trofast 6. Lost In Vanlese 7. Old Dreams 8. Koto 9. Polvere Uno 10. Pharao 11. Morning Meditation 12. Elegy 13. What Reason Cold I Give 14. La Fontaine 15. Shadow Trail 16. Fata Morgana

(25/06/04)3曲目がトラディショナル、13曲目がオーネット・コールマン作、1、5曲目がTrygve Seim作、8、12曲目がAnders Jormin作で、他は全曲4人のフリー・インプロヴィゼーション。なかなかの北欧メンバーが集まったものです。収録時間は54分。曲数が多いため、1分から5分台の曲で、ジャズとしては短めか。フリー・インプロヴィゼーション然としている曲もありますが、曲としてある程度まとまっているような印象を持ちます。間をとっている感じが、なかなかいいと思われます。インプロヴィゼーション多めになったのはマンフレート・アイヒャーのプロデュースによるものか。なぜか、北欧のはずなのに、日本的情緒のあるようなメロディが8曲目に、間の取り方など何曲かにあります。少々聴く人を選ぶアルバムか。

2773

Watersong/Savina Yannatou(Voice), Primavera En Salonico and Lamia Bedioui(Voice)(ECM 2773)(輸入盤) - Recorded March 2022. Primavera En Salonico: Kostas Vomvolos(Ganun, Accordion), Harris Lambrakis(Nay), Kyriakos Gouventas(Vln), Yannis Alexandris(Oud), Michalis Siganidis(B), Dine Doneff(Per) - 1. 1. The Song Of Klidonas 2. Naanaa Algenina(Garden Mint) - Ivana 3. Ai Giokris(Saint George) 4. A Los Banos Del Amour(At The Baths Of Love) 5. Perperouna 6. Con Que La Lavare?(With What Shall I Wash It?) 7. Sia Maledetta I'acqua(Cuesed Be The Water) 8. Mawal(To The Mourning Dove, I Said) 9. Kalanta Of The Theophany 10. The Immortal Water 11. Full Fathom Five 12. An Ron(The Seal) 13. O Onda(O Wave) 14. Wade In The Water - Allah Musau(God Of Moses)

(25/06/03)トラディショナルが多く、ギリシャ、アスワン・エジプト、北マケドニア、キプロス、スペイン、イタリア、イラクなど。その他作曲者が分かるもの、不詳なものを含めて10世紀から17世紀の古い歌が多い。編曲にはKostas Vomvolosが関わっている曲が多く、Savina Yannatouなど、他のメンバーが関係している曲もあります。収録時間は56分。伝統音楽の懐かしさや荘厳さを味わいつつ、主にギリシャで使われる楽器とヴォーカルによる演奏で、聴きやすく、味わいのある曲を堪能することができます。便宜上ジャズのジャンルにしてありますが、ジャズ度はなく、民族音楽的なサウンドが全体を支配しています。西欧の曲もありますけど、みな統一されたかのような曲。その中で14曲目前半は4ビートジャズを意識。

2846

Renaissance/Nicolas Masson(Ss, Ts)(ECM 2846)(輸入盤) - Recorded November 2023. Colin Vallon(P), Patrice Moret(B), Lionel Friedli(Ds) - 1. Tremolo 2. Renaissance 3. Anemona 4. Tumbleweeds 5. Subversive Dreamers 6. Forever Gone 7. Practicing The Unknown 8. Spirits 9. Moving On 10. Basel 11. Langsam

(25/04/12)4曲目が4人の即興演奏の他は、全曲Nicolas Massonの作曲。収録時間は54分。このメンバーでは2枚目のECM。Colin Vallonのトリオからドラムスを入れ替えた編成。11曲もあるので、短めの曲の割合が多いですが、ゆったりとして、時に揺れるような速い指使いのフレーズのメロディがはっきりとした、哀愁のあるサックスが特徴。ジャズというよりは哀愁のある音楽という趣き。2曲目は独特のリズムで、少し弾むように進んでいきます。そして、少しフリーの方向にも足を踏み込んだようなサウンド。曲によってリズムに特徴のあるのが興味深い。8ビートや時に16ビートに聴こえる曲も。時々浮遊感も漂っています。4曲目もあまりフリーという感じはない。一番長い9分台の6曲目は自由な美しいバラード。

2845

Homage/Joe Lovano(Ts, Tarotago, Gongs)(ECM 2845)(輸入盤) - Recorded November 2023. Marcin Wasilewski(P), Slawomir Kurkiewicz(B), Michal Miskiewicz(Ds) - 1. Love In The Garden 2. Golden Horn 3. Homage 4. Giving Thanks 5. This Side - Catwille 6. Projection

(25/05/17)1曲目がZbigniew Seifert作で、他は全曲ジョー・ロヴァーノ作。収録時間は39分。彼とシンプル・アコースティック・トリオの2作目の競演。ロヴァーノらしいサックスなどの音が連なりますが、それを支えるピアノ・トリオも、エコーの多い幻想的なサウンドの中を泳ぐように、演奏しています。かと言って甘口でもなく、それなりに速いパッセージも織り交ぜて、硬派な演奏をする一面も。2曲目は10分台の曲で、その調子でドラマチックな進行で盛り上がります。タイトル曲の3曲目は、ミステリアスでスピリチュアルなメロディとサックスの硬派なフレーズで、緩急取り混ぜ進んでいきます。1、4、6曲目は2-4分台。他の3曲がメインの感じ。5曲目も流れていくようなリズムの中、有機的に自由なメロディが出てきます。

2840

Defiant Life/Vijay Iyer(P, Key, Electronics)/Wadada Leo Smith(Tp)(ECM 2840)(輸入盤) - Recorded July 2024. - 1. Prelude: Suvival 2. Sumud 3. Floating River Requiem 4. Elegy: The Pilgrimage 5. Kite 6. Procession: Difiant Life


(25/04/02)2人のECM2作目。3曲目がWadada Leo Smith作曲、5曲目がVijay Iyer作曲、他の曲はインプロヴィゼーションか。収録時間は53分。テーマは世界情勢にも言及しているようで重いけど、インストで、それを情感やサウンドで表しているようです。ジャケ写の譜面も、彼らならではの複雑で読みこなすのが大変そうなものだけど、かなりフリー寄りのサウンドがそれを表しています。ピアノだけではなくて、フェンダー・ローズやエレクトロニクスも使っていて、幅広いサウンドにはなっていますが、かなり硬派なサウンド。今までVijayを聴いてきた人を含めて、聴く人を選ぶかも。とはいうものの、ECMなので抑制の効いたフリーという感じになっています。でも4曲目など、美しい叙情的なサウンドを奏でているところも。

2839

Skrifum/Jon Balke(P, Spektrafon)(ECM 2839)(輸入盤) - Recorded November 2023. - 1. Sparks 2. Traces 3. Lines 4. Streaks 5. Lanes 6. Strand 7. Stripes 8. Ducus 9. Rifts 10. Calligraphic 11. Syllables 12. Kitabat 13. Skrifum 14. Tegaki


(25/03/08)Jon Balkeのソロ演奏で、全曲彼の作曲。収録時間は47分。Spektrafonはシンセサイザーの一種のようなのですが、多重録音なのか、同期させているのか、一人2台弾きなのか。おそらく、ピアノが基本片手弾きなので、同時に2台扱っているのでは。1分から5分台の短い曲が並びます。マンフレート・アイヒャーとの共同プロデュースになっています。北欧を感じさせるような、ゆったりとしつつ、流れる音をバックにピアノがどことなく陰影のある演奏が並んでいますが、少々地味な印象も。集中して聴かないと、ばらばらに散逸してしまいそうな、危ういフレーズが続きます。このレーベルではありがちなんですが、少々判断が難しい。アンビエントの要素も多分にあるこのアルバムは、聴く人を選ぶかもしれない。

2838


After The Last Sky/Anouar Brahem(Oud)(ECM 2838)(輸入盤) - Recorded May 2024. Anja Lechner(Cello), Django Bates(P), Dave Holland(B) - 1. Remembering Hind 2. After The Last Sky 3. Endless Wandering 4. The Eternal Olive Tree 5. Awake 6. In The Shade Of Your Eyes 7. Dancing Under The Meteorites 8. The Sweat Oranges Of Jaffa 9. Never Forget 10. Edward Said's Reverie 11. Vague


(25/04/02)4曲目以外はアヌアル・ブラヒム作曲で、4曲目は彼とデイヴ・ホランドの共作(インプロヴィゼーション)。収録時間は58分。前作からはドラムスからチェロにメンバーが替わり、その分静かで叙情的なサウンドになっています。有名な詩から題材をとったそうですが、それを知らなくても、演奏の哀愁から情感が伝わってきます。ジャズというよりは構築されたのではないかと思われるくらいにまとまっていて、それが中東風のメロディと相まっていっそう曲からの哀愁を引き起こします。チェロはクラシック畑の人なのと、スタジオ内の写真から相当程度記譜はされていると予想してます。ジャズ度は低いですが、そのメロディと全体のサウンドによって引き込まれていきます。情念を抱えつつ、割と淡々と進んでいきます。

ecmaconpen250209ecmacon

ECMでは洋書で「Sleeves Of Desire」「Windfall Light」と過去にレーベルの写真集(?)が出ていて、すでに絶版、中古価格も高め安定ですが、今回はECM New Series40周年ということで、「ECM New Series - A Compendium」(2月7日発売)が出ました。今までの洋書は私も昔他も合わせて持っていて、これらの本を2年前に買取に出してしまいましたけど、国内書籍の「ECM Gatalog」があるからいいや、ということと、自分自身3年前に全部聴き(実際には1曲聴いてない曲はありますが)出来たので、目標を達成した感じもあって、ジャケ写も全部CDなどからスキャンしたし、いいかな、と思っていました。ただ、ECM Catalogの増補改訂版が出たのが’19年だし、その後を見てみたくて今回注文しました。全世界で2千部の出版で、すでに本家ドイツのECMでは1月18日発売で現時点で販売終了になっています。((注)その後再び在庫ありになってます。)デザイン的にも優れていて、ECMのクラシック/現代音楽をあまり聴かない方でも興味がありそうな内容になっています。

内容的には、前半が作曲者別のカタログ、後半は演奏者別のカタログになっているようで、ダブって掲載されているアルバムもありますが、とにかくきれいな写真とデザイン。これは、ひとつ持っていてもいいかなあと。

New Seriesは最初は現代音楽色が強く、そして現代音楽/クラシックがカップリングされたアルバムも多かったことで知られています。また新しい解釈や方法(ヤン・ガルバレクとヒリヤード・アンサンブルの「オフィチウム」や、キース・ジャレットのクラシック作品など)、古楽、辺境音楽など、冒険的な内容が目立ってました。最近は正攻法でクラシックのアルバムも出していて、その地位を確立しつつあります。そしてジャケ写の統一性も、写真集として見る楽しみになっています。

豊富に在庫を取ってあるのかどうかは分かりませんが、日本の大手通販では、タワーレコードとディスクユニオンが扱っています。日本ではECM(ジャズ)に比べてNew Series(クラシック/現代音楽)は人気の点でどうかな、とも思いますけど、なかなかいいカタログ本になっているので、手にされてもいいんじゃないかな。今回は限定2千部販売ということで、そんなに長い期間在庫が続かない気もしているので、気になった方は早めに注文されるのがいいかと思います。ジャケットの写真を追いかけるだけでも楽しい。あとは値段との兼ね合いで。

(追記)出版社名がないので、これ、本当にカタログ本なんですね。あと、ちょっと惜しいのが、1ページで5枚紹介されていても、ジャケ写は4枚だけで、全部のジャケ写が紹介されているわけではない模様。ただ、昨年11月に出た一番新しいCDまで掲載され、New Series前夜のSteve Reichまで掲載されているので、今の時点では完全版かも。

(追記25年3月5日)本を見ていると、見たことのないジャケ写がいくつか。ザクっと番号でいうと、2670、2780、2784、2843、2848。これから出るのだろうか、それとも発売保留になっているのかどうか、気になります。

このページのトップヘ