ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。こちらは番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加え、’20年からLP聴きも追加してECM本編とJAPOが終了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページとメインブログと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。

1742


Amaryllis/Marilyn Crispell(P), Gary Peacock(B), Paul Motian(Ds)(ECM 1742) - Recorded February 2000. - 1. Voice From The Past 2. Amaryllis 3. Requiem 4. Conception Vessel/Circle Dance 5. Voices 6. December Greenwings 7. Silence 8. M.E. 9. Rounds 10. Avatar 11. Morpion 12. Prayer


5年ぶりのこのトリオでの録音。ほとんどはメンバーが持ち寄った曲で、3-4曲ずつ提供しています。フリー・インプロヴィゼーションに近い形での演奏が繰り広げられるのかと思ったら、前半は意外にまとまりが良くてメロディアス。とは言うものの、全体的にはやっぱりECM流で、淡く静かな演奏ではあります。そんな中で3曲目は曲名に似合わずやや元気か。哀愁漂う1曲目からはじまり、タイトル曲の2曲目は甘く、まさにアマリリス。幻想的な4曲目、静かに語りかけてくる5曲目、不思議なテーマとメロディの6曲目、静かでフリーっぽいマンフレート・アイヒャーに捧げた8曲目、これぞフリーという感じの9-11曲目。後半ややフリーっぽくなっていきますが、静かで美しいメロディを持つ12曲目で幕を閉じます。(01年4月21日発売)

1740


Serenity/Bobo Stenson(P) Trio(ECM 1740/41) - Recorded April 1999. Anders Jormin(B), Jon Christensen(Ds) - 1. T. 2. West Print 3. North Print 4. East Print 5. South Print 6. Polska Of Despair(2) 7. Golden Rain 8. Swee Pea 9. Simple & Sweet 10. Der Pflaumenbaum 11. El Mayor 12. Fader 5(Father World) 13. More Cymbals 14. Extra Low 15. Die Nachtigall 16. Rimbaud Gedicht 17. Polska Of Despair(1) 18. Serenity 19. Tonus


2枚組で全19曲、90分ほどの演奏で、比較的短い曲も多いです。彼らのオリジナルは半分ほど。全員のクレジットの曲も2曲あります(静かなフリー ・インプロヴィゼーション)が、他の曲でもフリー的色彩が強い曲も(特に2-5曲目などは組曲のようでそれっぽい)あったりします。他の人の曲も、彼ら独自の北欧で培われた硬質な美意識でまとめあげています。全体的には静かかなという印象で、やはり寒色系の肌触りであまり燃え上がる事もなく曲が進んでいきます。そんな中で17、19曲目が盛り上がります。また、ところどころに美しい曲がちりばめられているのが印象的。8曲目はウェイン・ショーターの曲とは気がつきませんでした。 北欧系のトリオのフォーマットはやっぱりこうなる、というイメージがあります。(00年7月1日発売)

1739


Ensemble Belcanto/Come Un'ombra Di Luna/Dietburug Spohr(ECM New Series 1739)(輸入盤) - Recorded January 2000. Ensemble Belcanto: Dietburg Spohr(Cond, Mezzosoprano), Brigitta Zehetner(Mezzosoprano), Andrea Baader(Soprano), Rita Huber(Soprano), Dzuna Kalnina(Alto), Rica Eunch(Alto) - Haim Alexander: 1-4. Mein Blaues Klavier Konrad Boemer: 5. Un Monde Abandonne Des Facteurs Fabrizio Casti: 6. Come Un'ombra Di Luna Wolfgang Rihm: 7. Seraphin - Stimmen


(04/04/25)女声の6人のグループによる合唱。曲はさまざまな国の4人の現代音楽家によって’95-97年に作曲されたもので、やはり現代音楽らしい難しそうなサウンドを持っています。1-4曲目はパーカッションの音も合いの手のような感じで入っている、やや複雑な流れを持つ合唱。エコーがかかり気味のなかで、他の曲も不思議な浮遊感を伴う旋律とアンサンブルが奥に引っ込んだり正面に出てきたり。やはり現代音楽の合唱。

1738


Hide And Seek/Michael Mantler(Tp, etc)(ECM 1738) - Recorded April-September 2000. Robert Wyatt(Vo), Susi Hyldgaard(Vo, Accordion), Roger Jannotta(Fl, Oboe, Cl), Martin Cholewa(French Horn), Vincent Nilsson(Tb), Bjarne Roupe(G), Tineke Noordhoek(Vib, Marimba), Per Salo(P), Marianne Sorensen(Vln), Mette Winther(Viola), Helle Sorensen(Cello) - 1. Unsaid(1) 2. What Did You Say? 3. Unsaid(2) 4. It's All Just Words 5. If You Have Nothing To Say 6. Unsaid(3) 7. What Do You See? 8. Absolutely Nothing 9. Unsaid(4) 10. What We Can Do? 11. Unsaid(5) 12. It All Has To End Sometime 13. Unsaid(6) 14. I Don't Deny It 15. I'm Glad You're Glad 16. Do You Think We'll Ever Find It? 17. It Makes No Difference To Me


劇に曲をつけて、2人のヴォーカリスト(そのうちの1人は元ソフト・マシーンのロバート・ワイアットとのこと)が歌っています。伴奏はインプロヴィゼーションっぽい部分も少しですけれど見え隠れしますが、基本的には室内楽団がバックなので、クラシックや現代音楽の方でくくられるようなサウンド。一部打ち込みっぽいサウンドも入っていますが、New Seriesの方から出てもおかしくない雰囲気があります。ところどころにちりばめられている「アンセッド1-6」はインストルメンタルの曲。曲自体は1-4分台の曲ばかりで、それが17曲もあります。ヴォーカルも、ヴォーカルというよりは(歌い方ではなく雰囲気が)オペラの感触に近いものを感じます。歌われている言葉が分からないと少々退屈になるかも。(01年6月27日頃発売)

1737


Akroasis/Vassilis Tsabropoulos(P)(ECM 1737)(輸入盤) - Recorded March 28, 2002. - 1. Hymn 1(Axion Esti) 2. Hymn 2(Zoi En Tafo) 3. Hymn 3(Ek Nyktos) 4. The Secret Garden 5. Hymn 4(Nymphios) 6. Interlude 7. Hymn 5(Anastasis) 8. Prayer


(03/05/29)4、6、8曲目がオリジナルで、他の曲は「伝統的なビザンチンの聖歌」を基としてアレンジしたものとのこと。確かにその地域を連想するようなメロディや、厳かな雰囲気を聴き取ることができます。その深く消え入るようなメロディと淡い神秘性は1-2、5、7曲目にもあらわれていますが、明るめの3曲目も、ある意味自然と融合していくような、牧歌的な雰囲気を感じ取る事ができます。いずれにしてもジャズのインプロヴィゼーションというよりはクラシックあるいはヒーリング・ミュージックのような色調。オリジナルなのにやはり幻想的で神秘的な4曲目、これでもか、といわんばかりにエキゾチックにせまってくる6曲目、これまたオリジナルなのに「祈り」というタイトルで、しっとりと心の中に入りこんでくる8曲目。

1736


A Recollection/Leos Janacek(ECM New Series 1736) - Recorded January 2000. Andras Schiff(P) - 1-4. In The Mist 5-6. Piano Sonata, 1.X.1905 7-16. On An Overgrown Path 1 17-18. On An Overgrown Path 2 19-21. On An Overgrown Path (Paralipomena) 22. A Recollection


邦題「ヤナーチェク<<思い出>>」。レオシュ・ヤナーチェクは19-20世紀のチェコスロバキアの作曲家とのこと。4つの小品「霧の中で」、ピアノ・ソナタ「1905年10月1日」、組曲「草かげの小径にて」、「思い出」と、比較的聴きやすく、そして東欧のおもかげもあるようなちょっと哀愁のある雰囲気で曲が進んでいきます。比較的穏やかな曲であり、ピアノだと思います。ラストのタイトル曲は最後の作品で1分強の 小品です。(01年8月22日発売)

1735


Voci/Luciano Berio(ECM New Series 1735) - Recorded November 1999 and May 2000. Kim Kashkashian(Viola), Radio Symphonieorchester Wien, Dennis Russell Davis(Cond), Robyn Schulkowsky(Per) - 1. Voci(Folk Songs 2) Sisilian Folk Music - 2. Grido Del Venditore Di Pesce 3. Canzuna 4. Lamento Per Il Venerdi Santo 5. Novena Di Natale 6. Ninna Nanna-Specchiu Di L'occhi Mei 7. Naturale(Su Melodie Siciliane)


邦題「ベリオ:ヴォーチ<声>」。シシリア民謡にインスパイアされて作曲したベリオ(20世紀イタリアの現代音楽家)の曲(1、7曲目)。1曲目はオーケストラとの共演で現代音楽らしく難解で複雑な音の連なり。7曲目は空間的で、歌もはいり民族的な哀愁も感じます。2-6曲目は’55-69年録音の本当の民族音楽。この3種類の対比で浮かび上がる仕組み。 やはりECMならではのアルバム制作方法、と言えます。(02年3月21日発売)

1734


The Water Is Wide/Charles Lloyd(Ts)(ECM 1734) - Recorded December 1999. Brad Mehldau(P), John Abercrombie(G), Larry Grenadier(B), Billy Higgins(Ds), Darek Oles(B on 12) - 1. Georgia 2. The Water Is Wide 3. Black Butterfly 4. Ballade And Allegro 5. Figure In Blue 6. Lotus Blossom 7. The Monk And The Mermaid 8. Song Of Her 9. Lady Day 10. Heaven 11. There Is A Balm In Gilead 12. Prayer


ECM7枚目のアルバム。チャールス・ロイドの作曲は12曲中5曲で、トラディショナルやエリントンの曲も。暖かく感じるロイドのサックスが奏でる1-3曲目の展開が印象的。全体を通してサックスが思索的かつ禁欲的でもあって、分かりやすさの中に内面にこもる感じも少々。ドラムスのマレットが織り成すビートの上を比較的淡々と泳ぐ11曲目は個性的。ブラッド・メルドーが参加ですが、ここではアクロバティックなソロはあまりなく、寄り添うようなピアノも淡々とした感じ。サックスとのデュオの4曲目、5曲目の出だしやソロ、あるいは9曲目のソロ。美しいです。思索的な彼路線を求めるならばサックスとのデュオの7曲目。好みはジョン・アバークロンビーのソロもあって少々元気な5、6曲目あたり。消え入るような牧歌的な12曲目。(00年9月1日発売)

1733


An Acrobat's Heart/Annette Peacock(Vo, P)(ECM 1733) - Recorded January and April, 2000. Cikada String Qartet: Henrik Hannisdal(Vln), Odd Hannisdal(Vln), Marek Konstantynowicz(Viola), Morten Jannisdal(Cello) - 1. Mia's Proof 2. Tho 3. Weightless 4. Over. 5. As Long As Now 6. U Slide 7. B 4 U Said 8. The Heart Keeps 9. Ways It Isn't 10. Unspoken 11. Safe 12. Free The Memory 13. ,Ever 2 B Gotten 14. Camille 15. Lost At Last


キカーダ・ストリング・クァルテットとの共演盤。彼女は不思議な人です。全曲彼女の作品であるには違いないのだけれど、曲にはいわゆるジャズ色はなく、彼女のヴォーカルもいわゆるジャズヴォーカルではありません。 淡々と歌っている感じがします。それでいて独特な旋律。逆に言えば歌いにくそうな感じが漂ってきます。ただ、それにもかかわらず彼女の作品を演奏してきたミュージシャンは多いのです。今回はストリング・クァルテットが寄り添うように参加していて、静かに、静かに彼女独自のヴォーカル、旋律で曲は流れていきます。全編にわたってそのままの流れで進んでいく感じ。 楽器編成からか、少々平板なのですが、このあたりがECMの流儀なのでしょう。やっぱり彼女のファンかECMファン向けかも。(00年10月21日発売)

1732


The Seed-At-Zero/Robin Williamson(Vo, G, Harp, Mandolin)(ECM 1732)(輸入盤) - Recorded March 2000. - 1. The World 2. The Seed-At-Zero 3. Skull And Nettlework 4. Holy Spring - To God In God's Absence 5. Lament Of The Old Man 6. In My Craft Or Sullen Art 7. Verses At Balwearie Tower 8. Can Y Gwynt 9.By Weary Well 10. The Bells Of Rhymney 11. On No Work Of Words 12. The Barley 13. Hold Hard, These Ancient Minutes In The Cuckoo's Month 14. Cold Days Of February 15. Poem On His Birthday 16. For Mr. Thomas


(02/06/13)ECMにしては珍しく、シンガー・ソングライターのアルバム。一人多重録音で、しかも素朴な編成ということで、やや静かでスペイシーな点では、多少サウンドにECMらしさはあるのかな、という気はします。ただ、温度感はいつもより高く、ギターの弾き語りなどはアメリカのフォーク(あるいはカントリー)・ソングをそのまま聴いているかのような印象。ロビン・ウィリアムソンの詞も多く、曲に関しては大部分が彼の作曲。そして16曲全曲が歌詞がついている曲か、語りの部分のみで成り立っているものや、ヴォーカルだけでの曲もあります。ジャンルはともかく、ベクトルが温かい方を向いているという点では、やっぱりかなり異色なアルバムです。 ジャズファンよりはフォーク・ファン、ECMファン向け。

このページのトップヘ