ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。こちらは番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加え、’20年からLP聴きも追加してECM本編とJAPOが終了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページとメインブログと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。

2017年04月

1118


Places/Jan Garbarek(Sax)(ECM 1118)(輸入盤) - Recorded December 1977. Bill Connors(G), John Taylor(Org, P), Jack DeJohnette(Ds) - 1. Reflections 2. Entering 3. Going Places 4. Passing


(02/05/04)全曲ヤン・ガルバレクによる作曲。サックスには牧歌的で叙情的な面が強くなってきたように感じます。ギターやオルガン(ピアノ)も決して派手になることなく、サックスに寄り添っています。1曲目は15分台の曲で、エキゾチックなメロディで比較的ゆったりしたドラマチックな進行。2曲目は明るめの牧歌的なサウンドがあらわれてきたような曲で、静かな出だしで途中は盛り上がって8ビートのノリで進んでいきます。3曲目はドラムスの緩急自在なビートの上をサックス、ギター、オルガンが舞っているような感じの、まさに叙情的でドラマチックな14分台の曲。曲の後半は盛り上がります。4曲目は漆黒の闇からオルガンが浮かんできて、その上を哀愁あふれるサックスやギターがメロディをゆっくりと奏でています。

1117


Characters/John Abercrombie(G)(ECM 1117) - Recorded November 1977. - 1. Parable 2. Memoir 3. Telegram 4. Backward Glance 5. Ghost Dance 6. Paramour 7. Affer Thoughts 8. Evening


全曲ジョン・アバークロンビーのオリジナルで、多重録音も使用したギター・ソロのアルバム。曲のタイトルも思わせぶりで内省的。音といいエコーのかかり具合といい、いい感じになっています。エコーの効いた空間の中を、同じようなメロディを少しずつ表情を変えて徐々に盛り上がってくる10分台の1曲目、ゆったりとしていて哀愁度が高い2曲目、中間色の色合いのメロディながらもスリリングな部分も感じることができる3曲目、寒色系の分かりやすいエレキギターの旋律が語りかけてくる4曲目、幻想的な雰囲気が漂っている5曲目、やはり中間色的な和音とメロディの対比が興味深い6曲目、思索的な響きを持つゆったりとした感じの7曲目、そのサウンド処理で、荘厳でスペイシーな雰囲気をもたらしている8曲目。

1116


Sol Do Meio Dia/Egberto Gismonti(G, P, etc)(ECM 1116) - Recorded November 1977. Nana Vasconcelos(Per), Ralph Towner(G), Collin Walcott(Per), Jan Garbarek(Ss) - 1. Palacio De Pinturas 2. Rage 3. Kalimba 4. Coracao 5. Cafe - Sapain - Danca Solitaria No.2 - Baiao Malandro


邦題「輝く陽」。エグベルト・ジスモンチのECM2作目。洗練された部分とブラジルのネイティヴな香りが入り混じったサウンド。1曲目は哀愁が漂い、スリルの漂うギターのデュオ。2曲目はパーカッション2人の上を飛び跳ね、さまようギター。3曲目は印象的で美しいメロディと、パーカッションの大昔を連想させるような響きが心にささってきます。4曲目は穏やかなソロピアノが美しく、心地良い。そして静か。5曲目は切れ目がなく、ちょっと曲が判別しにくい。まずギター、サックスとのトリオでメロディアスに迫ります。14分頃にリズミックなパーカッションにのってウッドフルートが飛び跳ね、16分頃渋く音数の少ないギターソロに。19分頃からこれでもかと迫るピアノがまたリズミックでメロディアス になります。(99年9月15日発売)

1115


My Song/Keith Jarrett(P, Per)(ECM 1115) - Recorded November 1977. Jan Garbarek(Ts, Ss), Palle Danielsson(B), Jon Christensen(Ds) - 1. Questar 2. My Song 3. Tabarka 4. Country 5. Mandala 6. The Journey Home


全曲キース・ジャレットの作曲。4ビートの横ノリタイプの曲ではないですが、大半の曲でバンドとしての透明感があり、メロディアスで印象的な曲が多いです。1曲目は出だしのサックスでは爽やかな朝の陽射しを浴びながら聴きたい雰囲気。その後のピアノはコリまくった演奏で、一部深みにハマる部分も。牧歌的な覚えやすいフレーズで、あっという間に心の中に入りこんでくる有名なタイトル曲の2曲目、メロディがけっこう印象的な哀愁漂う曲で、やはりピアノのソロがディープな3曲目、タイトル通りカントリー的な味わいを見せる8ビートの4曲目、この曲のみフリーのアプローチで過激にせまってくる5曲目、ゆったりとはじまり、8ビートで陽気に聴かせてラストはスローテンポになる6曲目。結果、印象度は高いです。(02年9月19日発売)

1114


Pat Metheny(G) Group(ECM 1114) - Recorded January 1978. Lyle Mays(P), Mark Egan(B), Dan Gottlieb(Ds) - 1. San Lorenzo 2. Phase Dance 3. Jaco 4. Aprilwind 5. April Joy 6. Lone Jack


邦題「思い出のサン・ロレンツォ」。初のグループ名義。3曲がパット・メセニーのオリジナル、そして3曲がライル・メイズとの共作。おおらかなカントリー・フュージョンとでも言うべき作品。でも奥は深そう。マーク・イーガンのフレットレス・ベースも雰囲気にピッタリとマッチ。雄大な自然や風景、変化していくサウンドなどを感じながら聴くことができて物語性のある10分台の1曲目、ノリが良く、かつ陰影に富んでいて車で走っている時に聴きたい2曲目、ジャコ・パストリアスに捧げられていますが、テーマや曲調がポップで渋くて快調な3曲目、ギターで淡く彼の色に染めている小品の4曲目、メロディ良し、リズム良し、そしてサウンドの色彩感が豊かな5曲目。速いテンポが心地良くノレるゴキゲンな6曲目は中間部のピアノも渋い。(02年9月19日発売)

1113

Patience/Tom Van Der Geld(Vib, Per) And Children At Play(ECM 1113)(ストリーミング配信) - Recorded May 1977. Roger Jannotta(Ss, Bs, Fl, Oboe, Bcl), Kent Carter(B), Bill Elgart(Ds, Per) - 1. Patience 2. Golden Stars 3. Alison 4. Celia 5. And Then...

(19/09/30)5曲目が全員のインプロヴィゼーション、2、4曲目がRoger Jannotta作、1、3曲目がTom Van Der Geld作。内省的なフリーという感じで、静寂から時間をかけて穏やかな演奏に持っていく、空間を非常に活かした形でのサウンドのタイトル曲の1曲目、3連4拍子という感じの、割と元気の良くてヴァイブラフォンが熱を冷ますような演奏をしてある意味スピリチュアルとも言える、不思議なテーマをラスト近くに持つ2曲目、ヴァイブラフォンではじまり、少し端正なテーマで静かに進行していく千鳥足的バラードの3曲目、オーボエやドラムスなど、雅楽を聴いているような出だしから、穏やかなヴァイブラフォンのメロディが流れる4曲目、フリー・インプロヴィゼーションといっても静かなやり取りで、後半盛り上がっていく5曲目。

1112


Keith Jarrett/Ritual, Dennis Russell Davies(P)(ECM 1112)(輸入盤) - Recorded June 1977. - 1. Ritual 2. Ritual


(14/01/28)キース・ジャレット作曲で、デニス・ラッセル・デイヴィスがピアノという、ちょっと変わったソロ・ピアノのアルバムです。本職はアメリカの指揮者だけど、ピアノも得意だとのこと。収録時間も32分台と短め。クラシックや現代音楽というよりは、キースの即興演奏をそのまま楽譜にしたような趣きがあります。サウンドの中にあるのは、キースの情念だったり、カラーだったりするのですが、それを他のピアニストが表現できているような気がします。厳密に分析すると明らかに違う面があるかも知れないのですが、ちょっと聴きには、「あの」キースの世界の表現。楽譜に記すまでに、何らかの変化があっていいものだけど、そのまま人だけを移し替えたようなサウンドは、おそらくキースのソロ・ピアノのファンにも受け入れられるのでは。

1111


Times Square/Gary Burton(Vib)(ECM 1111)(輸入盤) - Recorded January 1978. Steve Swallow(B), Roy Haynes(Ds), Tiger Okoshi(Tp) - 1. Semblence 2. Coral 3. Careful 4. Peau Douce 5. Midnight 6. Radio 7. True Or False 8. Como En Vietnam


ロイ・ヘインズを迎え、しかもタイガー大越も参加している、ECMには珍しくメロディアスでジャジー(?)なアルバム。特にロイ・ヘインズがゴキゲンな感じです。スティーヴ・スワロウ(共作含む)が4曲目以降5曲もあり、1-2曲目がキース・ジャレット作なのが希少価値かも。プッシュされたノリの良い4ビートが楽しい1曲目、しっとり系の4ビートのバラードでせまる2曲目、ジム・ホール作の明るめなワルツの3曲目、エキゾチックなテーマですがオーソドックスな4ビートの4曲目、なるほどミッドナイト・ムードな静かなバラードの5曲目、全体のサウンドの中でドラムスが効いている6曲目、テーマのあとドラムスのソロが全開の7曲目、このメンバーだとちょっと変わっていますが、ラテン系のリズムでこれまたノリの良い8曲目。

1110


Waves/Terje Rypdal(G, Synth, etc.)(ECM1110)(輸入盤) - Recorded September 1977. Palle Mikkelborg(Tp, Flh, etc.), Sveinung Hovensjo(B), Jon Christensen(Ds, Per) - 1. Per Ulv 2. Karusell 3. Stenskoven 4. Waves 5. The Dain Curse 6. Charisma


参加したパレ・ミッケルボルグが3曲目を作曲、他は全部テリエ・リピダルのオリジナル。エフェクターのかかったエレキギター(シンセ)とベースの個性的な音とフレーズ、そしてアコースティックなドラム、管楽器とのバランスがいい感じ。プログレ的な要素も残しつつ、北欧の幻想的なカラーも備わってビートが効いて盛り上がる1曲目、静かにはじまって叙情的でなだらかな世界を見せてくれる2曲目、ヨーロッパの遊園地の音楽が浮遊感を伴って幻惑されるとこんな感じになるような3曲目、静寂から徐々に浮かび上がってくるような、幽玄なサウンドのタイトル曲の4曲目、ギターとトランペットがややハードにせまってくる、ファンク的で後半はなだらかな感じの5曲目、流れるように、かつ渋めに進んでいく6曲目。

1109


Emerald Tears/Dave Holland(B)(ECM1109)(輸入盤) - Recorded August 1977. - 1. Spheres 2. Emerald Tears 3. Combination 4. B-40/RS-4-W/M23-6K 5. Under Redwoods 6. Solar 7. Flurries 8. Hooveling


デイヴ・ホランドのベースによるソロ作品。全8曲中6曲が彼のオリジナル。多重録音なしのベース1本で勝負していて、彼の表現の多様さや素晴らしさを感じることができます。曲によって弾きまくるものもあれば、どちらかと言うと空間表現的なサウンドのものもあって、曲ごとにその色彩感や空気感が異なっています。3曲目はアルコ奏法を交えた曲で、クラシック/現代音楽のような響きも。4曲目はアンソニー・ブラクストン作の、図形入りの抽象的なタイトル曲で、なぜかこの曲の方がジャジーに感じます。そして6曲目にはおなじみマイルス・デイヴィス作の「ソーラー」があって、ちょっとホッとしましたが、アドリブ部分はオリジナルのような感じです。7曲目はけっこう実験的な雰囲気があります。

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