ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。こちらは番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加え、’20年からLP聴きも追加してECM本編とJAPOが終了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページとメインブログと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。

2017年12月

1373


Triplicate/Dave Holland Trio(B)(ECM 1373) - Recorded March 1988. Steve Coleman(As), Jack DeJohnette(Ds) - 1. Games 2. Quiet Fire 3. Take The Coltrane 4. Rivers Run 5. Four Winds 6. Triple Dance 7. Blue 8. African Lullaby 9. Segment


ベテラン勢を相手に頑張るスティーヴ・コールマン参加のピアノレス・トリオのアルバム。3人とも変拍子は得意なミュージシャンです。9曲中4曲はデイヴ・ホランド作。スティーヴ・コールマンの作品が1曲目にきていることで、彼の重要性をうかがい知る事ができます。静かでメロディが印象的な2曲目。デューク・エリントン作の3曲目とチャーリー・パーカー作の9曲目の演奏は結局彼らの土俵の中に引き込んでしまう個性的な演奏。静かな局面から徐々に盛り上がっていく4曲目、ラテン・ビートで変拍子の6曲目、テーマが印象的なジャック・ディジョネット作の7曲目。8曲目もトラディショナルということなのですが、彼らの曲のように聞こえます。通して聴くと自由度の高いこのトリオの個性が際立ってきます。

1372


The Lamp And The Star/Alex Cline(Per, Voice)(ECM 1372)(輸入盤) - Recorded September 1987. Aina Kemanis(Voice), Jeff Gauthier(Vln, Viola, Voice), Hank Roberts(Cello, Voice), Wayne Peet(P, Org), Eric Von Essen(B), Nels Cline(Voice), Susan Rawcliffe(Didjeridu) - 1. A Blue Robe In The Distance 2. Eminence 3. Emerald Light 4. Alter Stone 5. Accepting The Chalice


(03/08/15)全曲Alex Clineの作曲。ヴォイスやヴァイオリン、パーカッションなどの楽器の使用で、ジャズらしからぬ特色のあるサウンドが展開しています。静かにはじまって現代的な映画のバックに流れていくようなちょっと暗い弦とヴォイスの響き、中間色系の幻想的なピアノ、後半のややアグレッシヴな展開、そして静かな弦とヴォイスと、徐々に流れが動いていく16分台の1曲目。やや遠くから聴こえてくるヴォイスや弦と時折り盛り上がるドラムスやパーカッションの対比が面白い2曲目、独特の浮遊感から、ピアノが入ってゆったりとした流れを感じさせる3曲目、漂っていくヴォイスや弦を、パーカッションなどが派手に盛り上げる展開をみせる12分台の4曲目、出だしがスペイシーでミステリアスなヴォイスや弦が響く5曲目。

1371


Cosi Lontano...Quasi Dentro/Markus Stockhausen(Tp, Flh, Synth)/Gary Peacock(B)(ECM 1371) - Recorded March 1988. Fabrizio Ottaviucci(P), Zoro Babel(Ds) - 1. So Far... 2. ...Forward... 3. ...Late... 4. ...Across Bridges... 5. ...In Parallel... 6. ...Breaking... 7. ...Through... 8. ...Almost Inside...


超空間的双頭バンド。静寂の時間の方が長いフリーの世界なので、音数より間の方が気になるアルバム。全員作曲者に名を連ねているので、やはり全曲フリー・インプロヴィゼーションの世界か。禅問答ではないけれど、フェード・インしてフェード・アウトしていくような曲名。1曲目は前半ドラムスが中心で、その後他の楽器が漂う世界。高めの音域のベース・ソロが炸裂する2曲目、ゆったりと研ぎ澄まされたホーンが伸びる、間の3曲目、珍しくベースやホーンがリズミックで速めの展開の4曲目、ホーンが静かにメロディを奏でて、他のメンバーも緊張感のある5曲目、パルス的に音に反応していく、間のある6曲目、やはりスペーシーで研ぎ澄まされたサウンドの7曲目、静寂に近い中を各楽器がゆったりとソロをとっていく8曲目。

1370


Passio/Arvo Part(ECM New Series 1370) - Recorded March 1988. The Hilliard Ensemble: Michael George(Bass), John Potter(Tenor), Lynne Dawson(Soprano), David James(Countertenor), Rogers Covey-Crump(Tenor), Gordon Jones(Baritone), Elizabeth Layton(Vln), Melinda Maxwell(Oboe), Elisabeth Wilson(Cello), Catherine Duckett(Basson), Christopher Bowers-Broadbent(Org), The Western Wind Chamber Choir, Poul Hillier(Cond) - 1. Passio Domini Nostri Jesu Christ Secundum Joannem


(02/08/03)邦題「ヨハネ受難曲」。70分台の大曲です。アルヴォ・ペルトは現代作曲家ですが、ここではもっと以前の音楽を聴いているような不思議な雰囲気になります。宗教的な題材だからなのか、沈んだ荘厳な雰囲気が全体を支配していて、派手になることなく、時間の流れに沿ってその雰囲気のまま進んでいく感じがあります。もちろん歌詞の方は聖書からとられているようなので、その意味は けっこう重いと思いますが。

1369


Der Mann In Fehrstuhl/The Man In The Elevator/Heiner Goebbels(P, Synth, Prog)(ECM 1369)(輸入盤) - Recorded March 1988. Arto Lindsay(Vo, G), Ernst Stotzner(Vo), Don Cherry(Vo, Tp, Doussn'Gouni), Fred Frith(G, B), Charles Hayward(Ds, Metal), George Lewis(Tb), Ned Rothenberg(Sax, Bcl), Heiner Muller(The Author) - 1. In Einem Alten Fahrstuhl/In An Old Elevator 2. Es Geht Um Einen Auftrag/It Concerns A Task 3. Funf Minuten Vor Der Zeit/Five Minutes Too Early 4. Drei Stufen Auf Einmal/Three Steps At A Time 5. No Taboleiro De Baiana 6. Ein Schneller Blick Auf Die Uhr/Quick Glance At My Watch 7. Allein Im Fahrstuhl/Alone In The Elevator 8. Wilde Spekulationen/Wild Speculations 9. Der Chef/The Boss 1-. Sein Selbstmord/His Suicide 11. Fita Nos Meus Olhos 12. Ich Verlasse Den Fahrstuhl/I Step From The Elevator 13. Ohne Auftrag/Without Any Task 14. Mitleid In Peru/Compassion In Peru 15. Trockener Schlamm Mit Fahrspuren/Caked Mud With Vehicle Tracks 16. Heimweh Nach Dem Fahrstuhl/Homesick For The Elevator 17. Kalter Schweiss/Cold Sweat 18. Etwas Wie Heiterkeit/Something Like Serenity 19. Diese Frau Ist Die Frau Eines Mannes/This Woman Is The Wife Of A Man 20. Auf Einem Grasuberwachsenen Bahndamm/On A Railway Embankment 21. Worin Besteht Mein Verbrechen/What Is My Crime


(03/09/02)Heiner Mullerの詞(詩?)に、基本的にはHeiner Goebbelsが曲をつけたもの。ジャズやアヴァンギャルドの世界では有名なミュージシャンが多く参加しています。出だしに詞の朗読の場面もありますが、ヴォーカルのあるロック風の演奏の場面が多くあって、そのサウンドはアヴァンギャルドな部分はあっても、親しみやすい方だと思います。42分の中に21曲が詰め込まれていて、しかも連続しているので、ロックの叙事詩を聴いているような雰囲気。いきなりビートが効いてノリノリになったかと思えば思索的な、あるいは先鋭的なサウンドになってみたりと、その表現は多彩。たまにジャズ的なフレーズが出てきますが、特にジャンルを限定せずに音楽 や歌を楽しむ(?)、というのが正しい聴き方かもしれません。

1368


Proensa/Paul Hillier(Voice)(ECM New Series 1368)(輸入盤) - Recorded February 1988. - Stephen Stubbs(Lute & Psaltery), Andrew Lawrence-King(Harp & Psaltery), Erin Headley(Vielle) - 1. Farai Un Vers 2. Reis Glorios 3. Aissi Cum Es Genser Pascors 4. L'autrier Una Sebissa 5. Be M'am Perdut 6. Can Vei La Lauzeta 7. Pos Tornatz Sui 8. Be.m Degra De Chantar


(03/11/18)南フランスのドルバドゥール歌曲、いわゆる11-13世紀頃の中世騎士世俗歌曲というものらしいです。現代に正確に再現できるものではないらしいけれども、ヴォイスや歌、そして古楽器を使って、当時の雰囲気を出しています。素朴な楽器の響き、そして素朴ではあるけれども、その憂いを帯びた力強い歌を聴くことができます。どちらかと言うと歌が主で、楽器は控えめな伴奏、または合いの手を入れる感じです。

1367


Aero/Masqualero(ECM 1367)(輸入盤) - Recorded November, 1987. Arild Andersen(B), Jon Christensen(Ds), Tore Brunborg(Ts, Ss), Nils Petter Molvaer(Tp), Frode Alnaes(G) - 1. Aero 2. Science 3. Venise 4. Printer 5. Balet 6. Return 7. Bee Gee


(03/08/14)Arild Andersenの曲が4曲とTore Brunborgの曲が3曲。比較的オーソドックスなクインテットの編成なのに出てくる音はECMサウンド。曲によってはけっこう過激にジャズしていますが。いきなり冷めていて浮遊感が漂っているタイトル曲の1曲目で、なるほど、と納得する演奏。やや激しい部分もあって、彼らにしてはジャジーな演奏の2曲目、ベースのソロではじまって、寒色系かなと思える絡み合うアンサンブルやソロが展開する3曲目、ちょっとハードなユニゾン中心のテーマをもち、ジャズが展開していく4曲目、持続音の上をパーカッションが淡々と続き、後半は曲らしい展開を見せる5曲目、ギターがハードながらメロディアスに聴かせてくれる心地良い6曲目、淡い感触でしっとりとしたメロディが紡ぎ出される7曲目。

1366


Private City/John Surman(Bcl, Recorders, Ss, Bs, Synth)(ECM 1366) - Recorded December 1987. - 1. Portrait Of A Romantic 2. On Hubbard's Hill 3. Not Love Perhaps 4. Levitation 5. Undernote 6. The Wanderer 7. Roundelay 8. The Wizard's Song


多重録音のソロ作品。1曲目と3曲目はバレエのために書かれた曲。ジャズ色はないですが、ECMらしい思索的な、深く、静かな曲も多いです。薄暮の憂いの中からバス・クラリネットのメロディが浮かび上がってくる、ヨーロッパ的哀愁を感じる1曲目、リコーダーで異国情緒を感じさせるようなサウンドの2曲目、やはり青系統のサウンドイメージのあるたゆたうような3曲目、バスクラリネットの多重録音が幻想的な4曲目、ソプラノサックス1本でスペイシーな世界の5曲目、ゆったりしていてクラシック的なアンサンブルもある哀愁路線の6曲目、ちょっと浮遊感をもたらしながらアンサンブルが心地良い7曲目、ミニマル的なアルペジオをバックに、高めの音域を中心にバリトン・サックスがメロディを奏でていく、盛り上がりのある8曲目。

1365


The Paul Bley Quartet(P)/John Surman(Ss, Bcl), Bill Frisell(G), Paul Motian(Ds)(ECM 1365) - Recorded November 1987. - 1. Interplay 2. Heat 3. After Dark 4. One In Four 5. Triste


同じメンバーでの第2作目。やっぱりこのメンバーならではの音。5曲中、ポール・ブレイ作は1、5曲目。前作に続き、静謐な、しかもものすごい緊張感の中での緊密なインタープレイが展開されます。時にハード。1曲目は何と20分もの曲で、確かにタイトル通り「インタープレイ」となっていますが、フリー的に、しかも均整のとれたサウンドでバランス良くドラマチックに展開していくさまは見事。立ち止まりそうになることもありながらその冷たい構成美。ジョン・サーマン作の、リズムのある程度ある中を時にメロディが舞い飛んでいる2曲目、ビル・フリゼール作の、ハードなギターと静謐さをブレンドして各楽器に展開していく3曲目、ポール・モチアン作の各パートが内面をえぐっていくような4曲目、美しいソロピアノで語りかける5曲目。

1364


De La Nuit ... Le Jour/Tamia(Voice)/Pierre Favre(Per)(ECM New Seires 1364)(輸入盤) - Recorded October 1987. - 1. Ballade 2. Wood Song 3. Maroua 4. De La Nuit ... Le Jour 5. Mit Sang Und Klang 6. Yemanja


(03/11/18)2人のどちらかのオリジナルまたは共作。ボーダーレスではありますが、New SeriesよりもECMでいいくらいの内容。パーカッションやメロディ楽器(キーボード?)の上を漂っていく、時にエキゾチックな、時に心に入り込み、時に突き刺さるヴォイスの構図。不思議な世界観。哀愁を誘うメロディの部分もあります。パーカッションも激しい部分は少ないけれど、個性的なサウンド。タイトル曲の4曲目はけっこう幽玄の世界。

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