ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。こちらは番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加え、’20年からLP聴きも追加してECM本編とJAPOが終了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページとメインブログと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。

2018年05月

1543


Skies Of Europe/Italian Instabile Orchestra(ECM 1543)(輸入盤) - Recorded May 1994. Pino Minafra(Tp, Megaphone), Alberto Mandarini(Tp), Guido Mazzon(Tp), Giancarlo Schiaffini(Tb, Tuba), Lauro Rossi(Tb), Sebi Tramontana(Tb), Martin Mayes(French Horn, Mellophone), Mario Schiano(As, Ss), Gianluigi Trovesi(As, Cl, Acl, Bcl), Carlo Actis Dato(Bs, Ts, Bcl), Daniele Cavallanti(Ts, Bs), Eugenio Colombo(As, Ss, Fl), Renato Geremia(Vlin), Paolo Damiani(Cello), Giorgio Gaslini(P, Anvil), Burno Tommaso(B), Tiziano Tononi(Ds, Per), Vincenzo Mazzone(Tympani, Per, Ds) - Il Maestro Muratore: 1. Il Maestro Muratore 2. Suquilli Di Morte 3. Corbu 4. Meru Lo Snob 5. L'ate Mistica Del Vasaio 6. Il Maestro Muratore (Ripresa) Skies Of Europe: 7. Du Du Duchamp 8. Quand Duchamp Joue Du Marteau 9. Il Suono Giallo 10. Marlene E Gli Ospiti Misteriosi 11. Satie Satin 12. Masse D'urto (A Michelangelo Antonioni) 13. Fellini Song


(03/09/28)Il Maestro MuratoreはBurno Tommasoの、Skies Of EuropeはGiorgio Gasliniの作曲。編成も本格的で、サウンドもクラシック方面とジャズ(時に前衛的方面が混ざります)の折衷の印象があり、普通のビッグバンド・ジャズとのサウンドとは一線を画します。前半の曲はクラシカルな出だしの印象もあるものの、時にフリーキーなトーンも混ざり、けっこうドラマチック。1、6曲目のテーマは分かりやすく、4曲目のあたりでは、オーソドックスなジャジーな雰囲気からフリーを経て、5曲目のようにクラシカルに展開して行きます。後半の曲も、内省的な部分もあるにしても、ジャジーに盛り上がる場面も、フリーキーな場面も揃っていて、これまたドラマチックな進行。アンサンブルと自由のバランスの妙味 。少人数の編成の曲も。

1542


Standards In Norway/Keith Jarrett(P) Trio(ECM 1542) - Recorded October 7, 1989.Gary Peacock(B), Jack DeJohnette(Ds) - 1. All Of You 2. Little Girl Blue 3. Just In Time 4. Old Folks 5. Love Is A Many-Splendored Thing 6. Dedicated To You 7. I Hear A Phapsody 8. How About You?


全曲スタンダード。発表されたのが’95年なので、ちょっと録音から間が開いています。他のアルバムと半分以上の収録曲がダブっているためかもしれません。(特に「Tribute」とは録音日が9日しか離れていません。) 他のアルバムの同じ曲との比較も面白いかと思います。明るい感じでメロディアスにせまってくる1曲目、静かな優しいメロディに導かれていく2曲目、温かいメロディながらアップテンポでスリリングな展開の3曲目、バラードで語りかけながらも4ビートでやや盛り上がる4曲目、ノリも良くメロディが心地良いアップテンポの5曲目、静かな中にも格調の高さを感じるバラードの7曲目、アクロバティックながらフレーズはきれいな前奏(もちろんメインも)の7曲目、ややアップテンポで陽気にせまってラストを飾る8曲目。

1541


Nordic Gallery/Edward Vesala(Ds, Per, B, Tamboura, Angklung) Sound & Fury(ECM 1541)(輸入盤) - Recorded 1993 and 1994. Jorma Tapio(As, Bcl, Acl, Bfl), Jouni Kannisto(Ts, Fl), Pepa Paivinen(Ts, Ss, Bs, Bass Sax, Fl, Afl, Piccolo), Matti Riikonen(Tp), Iro Haarla(Harp, P, Key, Accordeon, Koto), Jimi Sumen(G), Petri Ikkela(Accordeon), Pekka Sarmanto(B), Kari Linsted(Cello), Tapani Rinne(Cl) - 1. Bird In The High Room 2. Fulflandia 3. The Quay Of Meditative Future 4. Hadendas 5. Unexpected Guest 6. Bluego 7. Lavander Lass Blossom 8. Streaming Below The Times 9. One-Two-Three Or Four-Five-Six 10. A Significent Look Of Birch Grove 11. On The Shady Side Of Forty 12. Flavor Lust


(03/09/28)全曲Edward Vesalaの作曲。1-2分ほどの小品も4曲ほどはさみこまれているアルバム。 1曲目はホーンのアンサンブルを中心にゆったりとドラマチックに展開していきますが、ベースがいない分そのホーンサウンドが強調される特異な11分台の曲。エキゾチックでパワフルな2曲目を過ぎて、ホーンが中心でスローにクラシックのような雰囲気で聴かせる10分台の3曲目、カラフルなエキゾチックさがある4曲目、アグレッシヴな小品の5曲目を経て、複雑な様相も部分的にあるタンゴ作品の6曲目、スピーディーで自由度の高い7曲目、語りかけてくるようなホーンのアンサンブルとフリーな場面のある8曲目、ベースも入って比較的自由なビッグ・バンド・サウンドを聴かせる11曲目、ラストはタンゴで締めくくる12曲目。

1540


Beiseit/Alb-Chehr/Heinz Holliger(ECM New Series 1540)(輸入盤) - Beiseit: Recorded 1994. David James(Countertenor), Elmar Schmid(Cl), Teodoro Anzellotti(Accordion), Johannes Nied(B), Heinz Holiger(Cond), Alb-Chehr: Recorded 1992 and 1993. Elmar Schmid(Cl), Klaus Schmid(Cl), Paul Locher(Vln), Marcel Volken(Accordion), Markus Tenisch(Accordion), Oswald Burmann(B), Flanziskus Abgottspon(Narrator) - 1-12. Beiseit 13-21. Alb-Chehr


(04/03/01)Beiseitは、現代音楽家Heinz Holligerがスイスの民族音楽を元に作曲したとのことですが、やはり現代音楽の難解さが出ているサウンド。カウンターテナーの歌い方もまた現代音楽的。Alb-Chehrの方アルプスの昔の物語が元になっていて、ナレーション付き。こちらはスイスで使われる特殊な楽器で演奏とのこと。表記の他にもいろいろな楽器の音があるようです。陽気で民族的な部分と難解な部分が交互に出てきます。

1539


Dvorak/Janacek/Eben/Prague Chamber Choir(ECM New Series 1539)(輸入盤) - Recorded November 1993. Dagmer Maskova(Soprano), Marta Banackova(Alto), Walter Coppola(Tenor), Peter Mikulas(Bass), Lydie Hartelova(Harp), Josef Ksica(Org), Prague Chamber Choir, Josef Pencik(Cond) - Antonin Dvorak: 1-5. Mass In D Major Op.86 Leos Janacek: 6. Our Father Petr Eben: 7. Prague TeDeum 1989


(04/02/21)19-20世紀の作曲家の作品集。ドヴォルザーク、ヤナーチェク、エベン共にチェコ出身。オルガン(曲によってハープも)と混声合唱による演奏ですが、ECMらしくエコーが効いています。ドヴォルザーク・ホールでの録音とありますが、何となく教会の中で聴いているような雰囲気。チェコ独自の民族的な哀愁も、そこはかとなく漂っている感じです。ただ、ECMにしては珍しく、メリハリの効いている合唱曲という感じです。

1538


"How It Was then... Never Again"/Azimuth(ECM 1538) - Recorded April 1994. John Taylor(P), Norma Winstone(Voice), Kenny Wheeler(Tp, Flh) - 1. How It Was Then 2. Looking On 3. Whirlpool 4. Full Circle 5. How Deep Is The Ocean 6. Stango 7. Mindiatyr 8. Wintersweet


’70年代後半から、休み休み続いていたグループの第5作目。メンバー(一人ないしは複数の作曲(作詞))が多い。楽器編成も特殊だし、そこにヴォイスがからんでいます。静かに語りかけると思ったらちょっとリズムがあって中盤過ぎホーンやピアノで盛り上がりもあるタイトル曲の1曲目、研ぎ澄まされた冷たいピアノとヴォーカルの2曲目、変拍子なのかタイトルどおりに「渦巻き」を表わす急速調の3曲目、しっとりした切ない美しさのピアノとホーンが哀愁を誘う4曲目、ケニー・ホイーラーの一人多重録音の唯一のスタンダードの5曲目、やや激しさもある、浮遊感覚と温度感の低さも特徴的な6曲目、ボボ・ステンソン作の穏やかにゆったりと進んでいくバラードの7曲目、立ち止まりそうなヴォーカルとピアノの囁きを聴く8曲目。

1537


Time Will Tell/Paul Bley(P), Evan Parker(Ss, Ts), Barre Phillips(B)(ECM 1537) - Recorded January 1994 - 1. Poetic Justice 2. Time Will Tell 3. Above The Tree Line 4. You Will, Oscar, You Will 5. Sprung 6. No Questions 7. Vine Laces 8. Clauback 9. Marsh Tides 10. Instance 11. Burlesque


ポール・ブレイとエヴァン・パーカーははじめての共演。全編デュオないしトリオのフリー・インプロヴィゼーション。ハイテンションの傾向もあり。バラバラのようでいて、いつものECMとはちょっと毛色の違う冷たいフリーが展開し、時にややアグレッシヴな17分もの1曲目、緊張感をはらみながら静かに対話しているタイトル曲の2曲目、醒めた混沌を演出している3曲目、ピアノとベースでややフレーズの速い展開の4曲目、音が急速調で飛び交っている5曲目、耽美的な美しさのある6曲目、サックスとベースで超絶なフレーズが続く7曲目、ピアノとサックスだけれど傾向は前の曲に近い8曲目、はっきりとしたピアノのフレーズが印象的な9曲目、サックスとベースで内側を向き続ける10曲目、まさにフリーの鼎談をしている11曲目。

1536


Nordan/Lena Willmark(Vo, Fl)/Ale Moller(Mandora, Natural Fl, Folk-Harp, Shawm, Cows-Horn, Hammered Ducimer, Accordeon)(ECM1536) - Recorded December 1993. Palle Danielsson(B), Mats Eden(Vln, Kantele), Per Gudmundson(Vln, Swedish Bagpipes), Tina Johansson(Per), Jonas Knutsson(Sax, Per), Bjorn Tollin(Sax, Per) - 1. Trilo 2. Kom Helge Ande 3. Gullharpan 4. Mannelig 5. Polska Efter Roligs Per 6. Hornlat 7. Sven I Rosengrad 8. S:t Goran Och Draken 9. Tacker Herranom/Mats Hansu Polskan 10. Knut Hauling 11. Polska Efter Jones Olle 12. Svanegangare/Sven Svanehvit 13. Jemsken 14. Batsman/Turklaten 15. Vallsvit 16. Dromspar-Efterspel


スウェーデンの中世のバラードやフォークソングが中心。アレ・メッレルの曲も15-16曲目に。パレ・ダニエルソンや他の楽器が入る事で、伝統と、ちょっと現代の融合を感じます。曲によって デュオの録音から、7人全員の時まであり。北欧の伝統的なフォークソングはこんな感じかも。ヴァイオリンのメロディが民族的でいい響きです。民俗音楽指向としては、ヴォーカル中心でもあり、このレーベルでは数少ないアルバムのひとつ。16曲も収録されていますが、大半は断片をまとめたものだといいます。ジャズ色はないにしても、懐かしさとエキゾチックさが香り立つさまは、なかなかいい感じ。素朴な雰囲気で、その音階と時に切りこむようなヴォーカルが印象的。異国の地に立つ感覚。5-6、11、13、16曲目はインスト。

1535


Exil: Giya Kancheli(ECM New Series 1535) - Recorded May 1994. Maacha Deubner(Soprano), Natalia Pschenitschnikova(Afl, Bfl), Catrin Demenga(Vln), Ruth Killius(Viola), Rebecca Firth(Cello), Christian Sutter(B), Wladimir Jurowski(Cond) - 1. Psalm 23 2. Einmal 3. Zahle Die Mandeln 4. Psalm 5. Exil


(02/07/24)邦題「エクシール-亡命」。現代音楽。深遠の静寂の彼方からソプラノの歌が静かに浮かびあがってくるような構図で、それに寄り添うように他の楽器が絡んでいます。ごく一部分を除いて音が大きい部分はなく、静かに「亡命」というタイトルの重みを表現しています。やはりその色彩は深い青。その沈潜した雰囲気は安らぎなのか、緊張なのか。テーマとしては後者の方がより近い気がしています。 やっぱり、あるのは重み。

1534


Stranger Than Fiction/John Surman(Ss, Bs, Acl, Bcl) Quartet(ECM 1534) - Recorded November 1993. John Taylor(P), Chris Laurence(B), John Marshall(Ds) - 1. Canticle With Response 2. A Distant Spring 3. Tess 4. Promising Horizons 5. Across the Bridge 6. Moonshine Dancer 7. Running Sands 8. Triptych -Hidden Orchid -Synapsis -Paratactic Paths


8曲目が4人のインプロヴィゼーション、他の曲は全曲ジョン・サーマンの作曲。ミュージシャンは全員イギリス出身。インプロビゼーション的色彩は強いですが、透明な、緊張感のあるサウンド。ベースのアルコから静かに始まり、あたかも冷たいスペイシーなフリーのような1曲目、ベースのアルコからはじまって繊細なピアノやサックスが淡々と語っていく2曲目、ソプラノ・サックスのメロディが印象的で、盛り上がったり静かになったりする3曲目、もったりとしたテーマが繰り返されるのが心に残る4曲目、切ないメロディと浮遊感を抱えながらリズムはプッシュする5曲目、7拍子系のエキゾチックな香りもある6曲目、8分の6拍子で起伏のあるちょっと淡い7曲目、フリーでも、時に構築されたような世界が展開する14分台の8曲目。

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