ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。こちらは番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加え、’20年からLP聴きも追加してECM本編とJAPOが終了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページとメインブログと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。

2019年01月

1836


Vindonissa/Paul Giger(Vln. etc)(ECM 1836)(輸入盤) - Recorded 1995-2000. Robert Dick(Fl, etc), Satoshi Takeishi(Per) - 1. Vindonissa - Intro 2. Oogoogajoo 3. Introitus 4. Lava Coils 5. Kyrie 6. Fractal Joy 7. Chorale 8. Afterlife Calypso 9. Gloria Et Tarantella 10. An Ear On Buddah's Belly 11. Vindonissa


(03/05/30)奇数番目の曲がPaul Gigerのオリジナルで、彼のソロでの演奏、偶数番目の曲がデュオまたはトリオによるフリー・インプロヴィゼーションで、ヴァイオリン、フルート、パーカッションを中心とした演奏。ソロの演奏はしっとり感がある哀愁を帯びた旋律。2曲目はコントラバス・フルートもあってエキゾチックというかおどろおどろしいというか、その雰囲気がゆったりと流れていきます。なぜか日本的な旋律や間を感じる事ができる4-5曲目(5曲目のタイトルは「切り絵」?)、フルートとヴァイオリンでスペイシーに流れていく6、10曲目、幽玄な世界が繰り広げられる8曲目、ソロながら11分の演奏がドラマチックに展開する9曲目、ややエスニック風味と哀愁で淡々と心にせまってくるタイトル曲の11曲目。

1835


Sonatas Pour Violon Solo/Eugene Ysaye/Thomas Zehetmair(Vln)(ECM 1835)(輸入盤) - Recorded September 2002. - 1-4. Sonata No.1 In G Minor 5-8. Sonata No.2 In A Minor 9. Sonata No.3 In D Minor "Ballade" 10-12. Sonata No.4 In E Minor 13-14. Sonata No.5 In G Major 15. Sonata No.6 In E Major


(04/10/24)Eugene Ysayeは19-20世紀にかけてのベルギーの作曲家でヴァイオリニスト。ここではヴァイオリンのソロの曲ですが、複数の弦を同時に弾きながらハーモニーを感じさせる場面も多いです。しかも短調の曲が多く、まだ難解な作風の時代ではないので、比較的分かりやすいヨーロッパの哀愁感が漂っています。情感の豊かな演奏表現がなかなか見事。それほど冷たくないサウンドですが、13-15曲目は基本が長調系。 (05年1月26日発売)

1834


Changing Places/Tord Gustavsen(P)(ECM 1834) - Recorded December 2001 and June 2002. Harald Johnsen(B), Jarle Vespestad(Ds) - 1. Deep As Love 2. Graceful Touch 3. IGN 4. Melted Matter 5. At A Glance 6. Song Of Yearning 7. Turning Point 8. Interlude 9. Where Breathing Starts 10. Going Places 11. Your Eyes 12. Graceful Touch, Variation 13. Song Of Yearning(Solo)


ECMには珍しく、やや内省的ですが一般受けしそうな美旋律の曲が多いピアノ・トリオが登場しました。北欧系、哀愁系の旋律で、ゆるやかに弾く曲が中心。13曲全部がトルド・グスタフセンのオリジナルというところにも要注目で、ゆったりとしながらも比較的オーソドックスな曲が多めなのもECMらしからぬところ。1-2曲目あたりでこの雰囲気にのまれますが、3曲目でやや定型ビートを外れて自由に速いパッセージを弾いています。また4曲目以降は彼のペースに戻りますが、聴いていくうちに内面を向いているゆえの緊張感も感じます。9曲目あたりの短調の分かりやすいテーマも魅力。ややマニアックな感じかなと思える10曲目。12曲目、13曲目(ソロ・ピアノ)はそれぞれ2、6曲目のヴァリエーション。(03年5月21日発売)

1832


Lift Every Voice/Charles Lloyd(Ts, Fl)(ECM 1832/33) - Recorded January and February, 2002. Geri Allen(P), John Abercrombie(G), Marc Johnson(B), Larry Grenadier(B), Billy Hart(Ds) - 1. Hymn To The Mother 2. You Are So Beautiful 3. Amazing Grace 4. East Virginia, West memphis 5. What's Going On 6. Angel Oak 7. Te Amare 8. I'm Afraid 9. Hafez, Shattered Heart 10. Rabo De Nube 11. Blood Count 12. Go Down Moses 13. Bayond Darkness 14. Nocturne 15. Wayfaring Stranger 16. Deep River 17. Lift Every Voice And Sing 18. Prayer, The Crossing


CD2枚組で全18曲。7曲がチャールス・ロイドのオリジナルで、トラディショナルも4曲あります。他にエリントンの曲やマーヴィン・ゲイらの曲もあり、シルヴィオ・ロドリゲスの曲も2曲。牧歌的というか内省的なサックスも相変わらずですが、参加メンバーの顔ぶれもスゴく、彼らがリラックスして演奏している風景もけっこう印象的。ノンビート的に感じられる15分もの1曲目が全体のアルバムのスタートライン。このレーベルには珍しく、穏やかで分かりやすい暖かみのある曲が多いですが、オリジナルにやや浮遊系でスピリチュアルな流れの曲もあります。12曲目は渋い演奏。18曲目はエンディングにふさわしい、後半がノリの良いジャズの14分台のオリジナル。マーク・ジョンソンは1、3-7、10、12、14、18曲目に参加。(02年10月23日発売)

1831


Change Of Heart/Martin Speake(As)(ECM 1831)(輸入盤) - Recorded April 2002. Bobo Stenson(P), Mick Hutton(B), Paul Motian(Ds) - 1. The Healing Power Of Intimacy 2. Change Of Heart 3. Barefaced Thieves 4. Venn 5. Buried Somewhere 6. In The Moment 7. Three Hours 8. In Code


(06/08/07)全曲Martin Speakeの作曲。他レーベルで録音したことはありますが、ここでは叙情的からフリーにかけてのサウンド。やや激しい出だしからテンポのないような牧歌的なゆっくりと、だがはっきりしたメロディで進んでいく1曲目、けっこうメロディアスで耽美的なバラードになっているタイトル曲の2曲目、ややテンポはアップするも4ビートにはならず、サックスのキレイさとピアノの冷たさが印象に残る自由度の高い3曲目、内省的なサウンドでやや静かに進んでいく4曲目、淡々としたピアノではじまりサックスが歌で語っていくようなバラードの5曲目、浮遊度のあるメロディとしっとり感のあるメロディが交錯する静かな6曲目、哀愁のメロディで少しドラムスのビート感もあって進む8曲目、自由度が高く、流れるように進む8曲目。

1830


Exodus/Erkki-Sven Tuur(ECM New Series 1830) - Recorded May 29 and 30, 2002. Isabelle Van Keulen(Vln), City Of Birmingham Symphony Orchestra, Paavo Jarvi(Cond) - 1-3. Concerto For Violin And Orchestra 4. Aditus For Orchestra 5. Exodus For Orchestra


エルッキ=スヴェン・トゥールは20世紀エストニアの現代音楽家。やはり現代音楽らしく難解な様相を持ちながら、ダイナミックで、研ぎ澄まされて突き刺さるような北欧のサウンドを呼び起こします。メロディよりもサウンド全体がせまってくるような感じ。4曲目も不安を感じる音程とダイナミズムが、まるで地の底にいるかのような雰囲気があります。5曲目もタイトルどおりの迫力があって、やや冷たい現代的な香りがします。(03年11月21日発売)

1829


Mercy/Meredith Monk(Vo)(ECM New Series 1829) - Recorded March 19 and 20, 2002. Theo Blackmann(Vo), Allison Easter(Vo), Katie Geissinger(Vo), Ching Gonzalez(Vo), John Hollenbeck(Vo, Per, Marimba, Vib, Melodica, P), Allison Sniffin(Vo, P, Synth, Viola, Vln), Bohdan Hilash(Cl) - 1. Braid 1 And Leaaping Song 2. Braid 2 3. Urban March (Shadow) 4. Masks 5. Line 1 6. Doctor/Patient 7. Line 2 8. Woman At The Door 9. Line 3 And Prisoner 10. Epilogue 11. Shaking 12. Liquid Air 13. Urban March (Light) 14. Core Chant


メレディス・モンクを含め、合計で7人によるコーラス。そして、場面によってヴォイス・パフォーマンスに近い演奏 が繰り広げられます。曲は「ライン1-3」を除いてメレディス・モンクの作曲です。伴奏の上を、時に美しくソフトに包み込み、時に突き刺さってくるヴォイス。前衛的に聞こえたり幻想的に聞こえたり。おそらく記譜された音楽だと思いますが、ECMの冷たい感触のジャズのインプロヴィゼーションに近い肌ざわりもあります。(02年12月18日発売)

1828


Charmediterraneen/Orchestre National De Jazz(ECM 1828)(輸入盤) - Recorded October 15 and 16, 2001. Paolo Damiani(Cello, Direction), Francois Jeanneau(Ss, Fl, Codirection), Thomas De Pourquery(Ss, As, Ts), Jean-Marc Larche(Ss, As, Bs), Mederic Collingnon(Cor), Alan Vankenhove(Tb), Gianluca Petrella(Tb), Didier Havet(Tuba), Regis Huby(Vln), Olivier Benoit(G), Paul Rogers(B), Christophe Marguet(Ds), Anouar Brahem(Oud), Gianluigi Trovesi(Piccolo Cl, As) - Sequenze Orfiche 1. Prologo: L'Orfeo 2. Sequenza Prima 3. Sequenza Seconda 4. Sequenza Terza 5. Sequenza Quarta 6. Epilogo Estramadure 7. Part 1 8. Part 2 ) Part 3 10. Montbeliard Trio Artefact 11. Part 1 12. Part 2 13. Argentiera 14. Charmediterraneen 15. Argentiera


(02/08/11)オルケストル・ナショナル・デ・ジャズのECMへの録音ですが、彼ら自身のプロデュースということもあって、ECMらしからぬ元気な演奏。組曲が3つと長尺のタイトル曲がアルバムの中心で、それぞれのドラマ性が面白い。アヴァンギャルド風味を残しながら、まとまりの良い演奏を聴かせてくれます。ゲストとしてアヌアル・ブラヒムらの名前も見え、彼が演奏するとその場面だけ雰囲気が変わります。11-12曲目はブラヒムの曲で、エキゾチックなサウンドを聴くことができます。タイトル曲の14曲目は、やはりブラヒムが最初に登場する、壮大な雰囲気の7拍子の哀愁風味のある曲。後半はソロが中心のフリーっぽく比較的静かな展開になり、ラストでまた壮大な7拍子が復活。他の短い曲もそれぞれ個性があります。

1827


Fugace/Gianluigi Trovesi(As, Piccolo, Acl) Ottetto(ECM 1827)(輸入盤) - Recorded June 2002. Beppe Caruso(Tb), Massimo Greco(Tp, Electronics), Marco Remondini(Cello, Electronics), Roberto Bonati(B), Marco Micheli(B), Fulvio Maras(Per, Electronics), Vittorio Marinoni(Ds) - 1. As Strange As A Ballad 2. Songo D'Orfeo 3-5. African Triptych 6. Canto Di Lavoro 7. Clumsy Dancing Of the Fat Bird 8. Siparietto 1 9. Blues And West 10. Siparietto 2 11. 2 Domatore 12. Ramble 13. Siparietto 3 14. Fugace 15. Siparietto 4 16. Toto Nei Caraibi


(03/07/24)一部を除いてほとんどがGianluigi Trovesiの作曲。ヨーロッパ的な哀愁やフリー的な要素、あるいはクラシックなど非ジャズ的な要素がほど良くブレンドされたジャズです。ジャズの雰囲気の出る部分はモダン期以前の懐かしい感触のサウンドでせまってくるこ とがあります。もちろん現代的な ジャズの香りの部分も。2曲目は不思議なブレンド感覚でジャズ的な哀愁も感じさせます。3-5曲目は組曲で、けっこうドラマチックで目まぐるしい展開。14曲目の 自由なタイトル曲を含め、短いインタールード的な曲も6曲ほどあります。 9曲目はエレクトリック・ベースでファンク的なサウンド。11曲目も元気系。12曲目前半はW.C.ハンディの曲なので、昔懐かしいジャズのサウンド。16曲目前半は民謡が基になっている哀愁路線。

1826


Igor Stravinsky/Orchestral Works(ECM New Series 1826)(輸入盤) - Recorded October 2002. Stuttgarter Kammerorchester, Dennis Russell Davies(Cond) - 1-3. Monumentum Pro Gesualdo Di Venosa Ad CD Annum 4-12. Dances Concertantes 13-15. Concerto In D 16-25. Apollon Musagete


(05/03/15)Igor Stravinskyはロシア生まれの20世紀の作曲家。’27年(16-25曲目)から’40年代(4-12、13-15曲目)、’60年(1-3曲目)にかけての作曲。時代によって違うサウンドです。著名な曲ではないと思いますが、カメレオン作家と異名をとりながらも、ここにあるのはまさにストラヴィンスキーの音楽。’40年代以降はやや現代的ですが、難解な現代音楽への傾倒もほとんどなく、安心して聴けるオーケストラ・サウンド。 (05年9月21日発売)

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