ジャズCDの個人ページ ECM Blog

「ジャズCDの個人ページBlog」の記事のうち、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載。こちらは番号順に掲載しています。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加え、’20年からLP聴きも追加してECM本編とJAPOが終了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは予定はないです。コメント付きで網羅しているのは日本では(私のホームページとメインブログと)ここだけではないかと。深みはないけど網羅してます。

2019年02月

1873


Boustrophedon (In Six Furrows)/Evan Parker(Ss)(ECM 1873)(輸入盤) - Recorded September 2004. Roscoe Mitchell(As, Ss), Andrews Svanoe(As), John Rangecroft(Cl), Neil Metcalfe(Fl), Corey Wilkes(Tp, Flh), Nils Bultmann(Viola), Philipp Wachsmann(Vln), Marcio Mattos(Cello), Craig Taborn(P), Jaribu Shahid(B), Barry Guy(B), Tani Tabbal(Ds, Per), Paul Lytton(Ds, Per) - 1. Overture 2. Furrow 1 3. Furrow 2 4. Furrow 3 5. Furrow 4 6. Furrow 5 7. Furrow 6 8. Finale


(08/05/27)全曲エヴァン・パーカーの作曲。同時期に録音された、ロスコー・ミッチェルの「Composition/Improvisation Nos. 1,2&3」と参加メンバーが同じですが、やや個性を異にしています。現代音楽的ながら、それでも4曲目後半はドシャメシャのフリージャズで、一気に爆発しています。5曲目にはサックスの咆哮があり、7曲目ではスピリチュアルな循環奏法を中心にしたサックスの演奏がクライマックスでフリージャズ的に盛り上がります。スティーヴ・レイクのプロデュースで、聴く人をかなり選ぶ、硬派なインプロヴィゼーション。大半が現代音楽的、時々フリージャズとも言え、この複雑かつドラマチック、そして混沌としたサウンドのテクスチャーをどう汲み取っていくかは、聴き手の判断にゆだねられるのかも。温度感は低めです。

1872


Composition/Improvisation Nos. 1,2&3/Roscoe Mitchell(As)(ECM 1872)(輸入盤) - Recorded September 2004. Evan Parker(Ts, Ss), Anders Svanoe(As, Bs), Corey Wilkes(Tp, Flh), John Rangecroft(Cl), Neil Metcalfe(Fl), Nils Bultmann(Viola), Philipp Wachsmann(Vln), Marcio Mattos(Cello), Craig Taborn(P), Jaribu Shahid(B), Barry Guy(B), Tani Tabbal(Ds, Per), Paul Lytton(Ds, Per) - 1.-1 2.-2 3.-3 4.-4 5.-5 6.-6 7.-7 8.-8 9.-9


(07/04/14)文字通り、作曲された現代音楽のような部分とインプロヴィゼーションで通している部分が混合している感じのサウンド。ロスコー・ミッチェルの人脈にエヴァン・パーカーの人脈が合わさって、エレクトロニクスの使用はないにしても、現代音楽的な表現の部分が随所にみられます。そして温度感は相変わらず低めのまま推移して、時に現代音楽的に統制が取れて輪郭がはっきりするような、時に混沌とした音の集合体が盛り上がってきてエネルギーを発散させていくようなパワーが持続する部分もあるし、逆に内側にこもっていくような部分も。浮遊感を保ちつつ、全体的にゆったりと流れていき、時に起伏があるという雰囲気。ソロ楽器のインプロも。そして聴く人には緊張感をある程度強います。聴く人を選ぶアルバムか。

1871


To Be Sung On The Water/Michele Makarski(Vln)/Giuseppe Tartini/Donald Crockett(ECM New Series 1871)(輸入盤) - Recorded March 2004. Ronald Copes(Viola) - Giuseppe Tartini: 1-5. Sonata 4 A Major Donald Crockett: 6. To Be Sung On The Water 7-9: Giuseppe Tartini: Sonata 2 D Major Donald Crockett: 10. Mickey Finn Giuseppe Tartini: 11-13. Sonata 8 B Minor


(06/05/24)Giuseppe Tartiniは18世紀イタリアのヴァイオリン奏者、作曲家、そしてDonald Crockettは20世紀アメリカの現代音楽家。多くはヴァイオリンソロで、6曲目のみヴィオラが加わります。Giuseppe Tartiniの曲はバロック音楽らしいゆったり感とヒーリングの感覚をもたらしてくれます。Donald Crockett作は、あまり難解ではないけれど、ゆったりとしていて、音の連なりやサウンドの微妙な色具合を読み取るようなサウンドです。

1870


Parish/Thomas Stronen(Ds)/Bobo Stenson(P)/Fredrik Ljungkvist(Cl, Ts)/Mats Elertsen(B)(ECM 1870) - Recorded April 2004. - 1. Improvisation 1 2. Suite For Trio 1 3. Suite For Trio 2 4. Suite For Trio 3 5. Suite For Trio 4 6. Improvisation 2 7. Easta 8. Daddycation 9. Travel 1 10. Quartz 11. Murring 12. Travel 2 13. In Motion 14. C Moll Maj 15. Improvisation 3 16. Nu


トーマス・ストレーネンの作曲は7曲(7-13、16曲目)、フレデリク・ユングヴィスト作が2曲、他は参加者のインプロヴィゼーション。ソロからクァルテットまでさまざま。前半6曲目まで(2曲目を除く)はデュオやトリオでのインプロヴィゼーション。15曲目は4人で。静かで硬質感があるやり取りで、フリー色も鮮明か。2曲目もスペイシーで硬質感があって、他の曲と色合いは似ています。ドラムスというよりはパーカッション的な奏法。7曲目以降は静かながらも美しい曲があって、7-8曲目は遅めながらメロディがはっきりしています。ただ、それでも10曲目のようにフリーに近い雰囲気の曲もあり。9、12曲目はドラムスの静かなソロ。静謐な感じの11曲目、ジャジーな感じもある13曲目。哀愁も感じることのできる14、16曲目。(05年9月14日発売)

1869


Soir, Dit-elle/Trio Mediaeval(ECM New Series 1869)(輸入盤) - Recorded April 2003. Trio Mediaeval: Anna Maria Friman(Soprano), Linn Andrea Fuglseth(Soprano), Torunn Ostrem Ossum(Soprano) - 1. Kyrie 2. Gloria - Missa "Alma Redemptoris Mater" 3. Laude Novella (Lauda 2) 4. Ave Regina Gloriosa (Lauda 3) 5. Credo - Missa "Alma Redemptoris Mater" 6. Ave Maria 7. Regina Caeli 8. Ave Donna Santissima 9. Sanctus Missa "Alma Redemptoris Mater" 10. The Troparion Of Kassiani 11. Venite A Laudare (Lauda 1) 12. A Lion's Sleep 13. Agnus Dei - Missa "Alma Redemptoris Mater" 14. Alma Redemptoris Mater


(04/03/01)ソプラノ三声。14曲中5曲が14-15世紀の作曲家Leonel Powerまたはグレゴリオ聖歌。他の曲は現代音楽家Ivan Moody、Gavin Bryars、Andrew Smith、Oleh HarkavyyらがTrio Modiaevalのために作曲した曲。さすがに”天使の歌声”だけあって、教会の中に響く美しい声(サンクトジェロルド教会)。古い曲も新しい曲もバラバラに配されていて、昔の教会音楽のようにも聴こえ、全体として統一がとれているから不思議です。

1868


Suspended Night/Tomasz Stanko(Tp)(ECM 1868) - Recorded July 2003. Marcin Wasilewski(P), Slawomir Kurkiewicz(B), Michal Miskiewicz(Ds) - 1. Song For Sarah 2-11. Suspended Variations 1-10


(04/03/10)このメンバーでは2作目。Variations8と10(9、11曲目)が4人でのフリー・インプロヴィゼーションで、他はトーマス・スタンコのオリジナル。1曲目だけ連作とは違いますが、美しいメロディをもった静かなバラード。2曲目以降の連作は静かな曲、元気のある曲が適度に入り混じっています。連作にするよりはタイトルをつけた方が良いと思いましたが。2曲目以降を聴いてみても、ちょっと異色ながらちゃんと彼ら独特のジャズ。もちろん、静かな曲での哀愁を帯びた美しいメロディを奏でるトランペットやピアノも印象的。3曲目はテンポが良いラテン風の曲で、意外といえば意外。6曲目も硬派なラテンビートに近いノリ。9曲目もノリが良く、フリー・インプロヴィゼーションとはクレジットを見なければ分からないかも。 (04年10月21日発売)

1866


In Winds, In Light/Anders Jormin(B)(ECM 1866) - Recorded May 2003. Lena Willemark(Voice), Marilyn Crispell(P), Karin Nelson(Church Org), Raymond Strid(Per) - 1. Varstav (Spring Saying) 2. Introitus 3. Sang 80 (Song 80) 4. Choral 5. In Winds 6.Sandstone 7. Allt 8. Soapstone 9. Gryning 10. Each Man 11. Transition 12. Flying 13. Sommarorgel (Summer Organ) 14. Love Song 15. Limestone 16. En Gang (Some Day)


(04/10/12)全曲Anders Jorminの作曲。既成の詞もありますが、彼が詞をつけている曲も。教会のオルガンの参加が個性的だけれども、いわゆる温度感の低い内省的なECMミュージックの世界。たいていの曲は全員が同時に参加しているわけでなくて、交互に出てくる感じ。オルガンのみの曲は2、11曲目。ベースのみが6、8、15曲目。ヴォイスが入ることによって北欧の香りが強くわき立ちます。3曲目のように、時おり見せるゆったりとしたピアノのソロも美しいが、同時に後半ヴォーカルのつんざきも。5、7曲目のオルガンとピアノのバランスもいい。4曲目では静かな中にベースのアルコの出だしと、中間部からオルガンとヴォイスが大きいサウンドで迫力。16曲目も中間部でオルガンと強い叫び、そして唯一激しいピアノ。 (04年10月21日発売)

1864


Extended Play - Live At Birdland/Dave Holland(B) Quintet(ECM 1864/65) - Recorded November 21-24, 2001.Chris Potter(Ss, Ts), Robin Eubanks(Tb, Per), Steve Nelson(Vib. Marimba), Billy Kilson(Ds) - 1. The Balance 2. High Wire 3. Jugglers Parade 4. Make Believe 5. Free For All 6. Claressence 7. Prime Derective 8. Bedouin Trail 9. Metamorphos


ライヴの2枚組。2、9曲目を除けばデイヴ・ホランドのオリジナル。以前のアルバムで既出の曲が7曲ありますが、曲の長さが10-20分と、スタジオ録音のものよりだいぶ演奏時間が長く、ライヴならではの展開やそれぞれのソロを楽しめます。時にスゴい場面あり。楽器の編成から、ややまろやかなサウンドを想像しますが、そのエッセンスはけっこうトンガっていて、ジャズという土俵の中で現代的な音を発しています。変拍子やキメが随所にちりばめられているはずなのだけども、そういう分析的な聴き方をしなくても、非常に長時間の演奏にもかかわらず、飽きさせず聴かせてくれます。初出の5曲目はテーマが絡みつつ中間色的に盛り上がる曲、6曲目は渋めの滑らかなテーマを持ちこれまた盛り上がる17分台の曲。(03年11月5日発売)

1863


Universal Syncopations/Miroslav Vitous(B)(ECM 1863) - Recorded March 2000 - March 2003. Jan Garbarek(Ss, Ts), Chick Corea(P), John McLaughlin(G), Jack DeJohnette(Ds), Wayne Bergeron(Tp), Valerie Ponomarev(Tp, Flh), Isaac Smith(Tb) - 1. Bamboo Forest 2. Univoyage 3. Tramp Blues 4. Faith Run 5. Sun Flower 6. Miro Bop 7. Beethoven 8. Medium 9. Brazil Waves


全曲ミロスラフ・ヴィトウスの作曲か共作(7-9曲目)。とにかくスゴいメンバーです。2-4曲目にはブラスセクションが入りますが、他の曲もコアのメンバーがクインテット編成とは限らなくて、あまりテクニックにこだわるわけ(時折り見せますが)でもなく、それでいて印象を残してくれる演奏。10分を超える2曲目は全員が揃っていますが、ECMにしては元気な、余裕のあるECM流のジャズ(4ビートではない)を見せつけています。やはり温度感は低め。3曲目はサックスとのトリオ+ブラスで珍しくブルース。ペースが速くスリリングにせまる4曲目、自由な展開ながらもECM流ジャズスピリットあふれる5-6曲目。サックスとベースの掛け合いが印象的なトリオでの7、9曲目。ドラムスとのデュオでのインプロヴィゼーションの8曲目。(03年10月1日発売)

1862


Angles Of Repose/Joe Maneri(As, Ts, Cl), Barre Phillips(B), Mat Maneri(Viola)(ECM 1862)(輸入盤) - Recorded May 2002. - 1. Number One 2. Number Two 3. Number Three 4. Number Four 5. Number Five 6. Number Six 7. Number Seven 8. Number Eight 9. Number Nine 10. Number Ten


(04/07/10)このメンバーでは2作目。全曲フリー・インプロヴィゼーションで、主にトリオの演奏。3曲目がJoe Maneriのみ、5曲目がBarre PhillipsとMat Maneriのデュオ。とは言いつつも、微分音といって12音階をさらに細分化した音階を使っているため、通常のメロディ感というものがなく、不安定な音階を聴く人にジワジワと突きつけてきます。フリージャズと現代音楽の要素を持っているような、不思議な失調感を伴うサウンド。それでも1曲目から10曲目まで、それぞれに個性があるのが分かります。静かな場面と盛り上がる場面など、いろいろ出てきますが、やっぱり音階と咆哮と、楽器から出るさまざまな音と、安易に聴こうとする人をある意味で拒否するかのようなアルバムです。ここまでくると、それはそれで深遠かも。

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