ジャズCDの個人ページ ECM Blog

メインブログ「ジャズCDの個人ページBlog」より、ECMレーベル(ECMレコード)の記事のみをピックアップして掲載しています。両方に並行して記事がありますが、こちらは、より見やすく、なるべく番号順に掲載していきます。若い番号のものは10-20年ぐらい前の文章をそのまま利用しているのがほとんどです。また、カテゴリーの「ジャズ」(ECM)には「フュージョン・ファンク」「民族音楽」なども含み、「クラシック・現代音楽」(ECM New Series)には「古楽」「宗教音楽」なども含みます。’19年9月より未CD化作でストリーミング配信だけのものも加える作業をし、’20年からLP聴きも追加してあと本編の未配信2枚(1264, 1268)とJAPO3枚(60008, 60023, 60030)を残して完了。Carmoレーベル、Wattレーベル、ECM Special、Works、:rarumシリーズは言及する予定はないです。おそらくコメント付きでほぼ網羅しているのは日本では(私のメインブログと)ここだけではないかと。古いコメント修正中ですが。

2020年09月

2581

Far From Over/Vijay Iyer(P. Key) Sextet(ECM 2581)(輸入盤) - Recorded April 2017. Graham Haynes(Cor, Flh, Electronics), Steve Lehman(As), Mark Shim(Ts), Stephan Crump(B), Tyshawn Sorey(Ds) - 1. Poles 2. Far From Over 3. Nope 4. End Of The Tunnel 5. Down To The Waire 6. For Amri Baraka 7. Into Action 8. Wake 9. Good On The Ground 10. Threnody

(17/08/19)全曲ヴィジェイ・アイヤーの作曲。ECMにしては元気な曲が多く、ACT時代の感触も少しあり。けっこう複雑な曲で、おそらく変拍子が多いと思われます。リズムがパルス的に来るため、何拍子か考えるのは、少々難しい。ただ、そういう点を除けば、通常のジャズから大きくはみ出たところは少ないと思います。聴くのに体力がいりますが、智に勝った部分も。プロデューサーはマンフレート・アイヒャー。メンバーがメンバーだからか、インド的要素は影を潜め、むしろM-BASE的なサウンドを感じるのは一部メンバーのせいか。とにかく、ECMにしては賑やかな演奏が多いです。3曲目のようにシンプルなファンクビートの曲もあるけど、一筋縄ではいかない現代ジャズ的なイメージ。時に静かな場面もあり。少し野性的か。

2580

Blue Maqams/Anouar Brahem(Oud)(ECM 2580)(輸入盤) - Recorded May 2017. Dave Holland(B), Jack DeJohnette(Ds), Django Bates(P) - 1. Opening Day 2. La Nuit 3. Blue Maqams 4. Bahia 5. La Passonate 6. Bom Dia Rio 7. Persepolis's Mirage 8. The Recovered Road To Al-Sham 10. Unexpected Outcome

(17/11/04)全曲アヌアル・ブラヒムの作曲。彼はチュニジアのウード奏者。曲は、構成上はピアノ・トリオにウードなのだけど、ジャズのイディオム的な演奏はほとんどなく、他のメンバーはウードに寄り添うように、哀愁のある、中東的なエスニックな味わいもある演奏をしています。変拍子も割と多めですが、ブラヒムのために演奏されている場面が77分続きます。それだけカットできる要素が少なかったという事か。ブラヒムの演奏に長時間寄り添っても、自然な感じで聴けるのは、周りのメンバーが素晴らしいウデを持っているからでしょう。曲的にはどの曲も割と印象が似てい入るのですが、そこに違いを見つけるのも楽しい。それがウード的な曲なのかもしれませんけど、実に繊細な楽器だと思います。ECM的なアルバムです。

2579

Incidentals/Tim Berne's(As) Snakeoil(ECM 2579)(輸入盤) - Recorded December 2014. Oscar Noriega(Cl, Bcl), Ryan Ferreira(G), Matt Mitchell(P, Electronics), Ches Smith(Ds, Vib, Per, Timpani) - 1. Hora Feliz 2. Stingray Shuffle 3. Sideshow 4. Incidentals Contact 5. Prelude One/Sequel Too

(17/08/18)5曲目前半がMatt Mitchellとの共作で、他は全曲ティム・バーンの作曲。長めの曲が多く、特に3曲目は26分台。トータルで5曲64分。相変わらずフリーかというと、構築されているような部分も目立ち、ジャケットの中身を見ると、メンバーは譜面も参考にして演奏をしているので、自由と構築を行ったり来たりするパターンはここでも踏襲されています。氷のように感じる部分や、メカニカルな盛り上がりが続き、ECMにしてはドシャメシャなフリー、ハッとするほど美しい絡みがあったりと、ドラマチックに進んでいくのが彼としての特徴ではないかと。ECMでSnake Oilを名乗って4作目、ギターが加わり5人になって2作目で、その鋭さはなかなかのものです。プロデューサーはデヴィッド・トーン。ただし、割と聴く人を選ぶかも。

2578

Travelers/Nicolas Masson(Ts, Ss, Cl)(ECM 2578)(輸入盤) - Recorded April 2017. Colin Vallon(P), Patrice Moret(B), Lionel Friedli(Ds) - 1. Gagarine 2. Fuchsia 3. Almost Forty 4. The Deep 5. Travelers 6. Philae 7. Wood 8. Blurred 9. Jura

(18/02/23)全曲Nicolas Masson作曲。ECMではこのメンバーの録音は初めてですが、長く活動してきたメンバーとのこと。やや薄暗いようなサウンドの中を、サックス(クラリネット)が、少し緊張感を伴いつつ、ゆったりと切り裂いていく、という感じの1曲目。やはり静かな中から音が出ては消えていく場面からはじまる2曲目は少し盛り上がりがあり、ピアノのパッセージはやや速く、安定感はあります。曲ごとに色合いを変えつつ、それでも全体の統一感というか、そういうものが存在して、そこに沿って演奏していくのは、長くやってきた成果なのではと思います。そんな中で4曲目は静けさの中に、フリー的な熱さも秘めている、ドラムスも前面に出る音。6曲目は中途で活発な演奏になる場面が。やや不安感をあおるような色合い。

2577

Romaria/Andy Sheppard(Ts, Ss) Quartet(ECM 2577)(輸入盤) - Recorded April 2017. Eivind Aarset(G), Michel Benita(B), Sebastian Rochford(Ds) - 1. And A Day... 2. Thirteen 3. Romaria 4. Pop 5. They Came From The North 6. With Every Flower That Falls 7. All Becomes Again 8. Forever...

(18/02/23)タイトル曲の3曲目のみRenato Teixeira作(ブラジルのSSWとのこと)で、他は全曲Andy Sheppard作曲。ドラムスもある意味パーカッション的な響きだし、ギターも音響的に包み込む人なので、これもある種ECM的空間。素朴な感じのサックスのメロディも、そのゆったり感を醸し出しています。ベースはその中では、ややおしゃべり。ジャケットは暗いですが、1曲目他、多くの曲はほのかに温かみのある雰囲気。最初と最後の曲は物語の始まりと終わりかな。2曲目で一転、緊張感のあるモーダルというかフリーというか、ダークな出だしから徐々に明るくなり、サックスが割と饒舌なサウンドに。3曲目は空間を生かして自由にメロディで語り合う。テンポのいい浮遊感のある5曲目。曲により少しずつ色合いを変えながら。

2576

Lucus/Thomas Stronen(Ds) Time Is A Blind Guide(ECM 2576)(輸入盤) - Recorded March 2017. Ayumi Tanaka(P), Hakon Aase(Vln), Lucy Railton(Cello), Ole Morten Vagan(B) - 1. La Bella 2. Friday 3. Release 4. Lucus 5. Fugitive Pieces 6. Baka 7. Wednesday 8. Tension 9. Truth Grows Gradually 10. Islay 11. Weekend

(18/01/21)1曲目のみ3人作(Thomas Stronen、ヴァイオリン、ベース)で、他は全曲Stronenの作曲。このバンド名では2作目だけど、ピアニストが日本人に替わり、パーカッションはいなくなりました。ピアノ・トリオにヴァイオリンとチェロが加わる基本的な指向性は同じ。1曲目は3人の作曲だけど、ピアノも聴こえるし、インプロヴィゼーションというよりは合作という感じか。北欧オジャズという感じで寒色系の、少しミステリアスなサウンドを持ち、それが静かになったり盛り上がったりしています。何となく、クラシック(現代音楽)との壁を少しすり抜けているような雰囲気も。ドラマー作だけど、メロディは美しく、神秘的なところがあります。それでいて、フリー・インプロヴィゼーション的な自由な空間も静かながら。この感じがなかなか。

2575

End To End/Barre Phillips(B)(ECM 2575)(輸入盤) - Recorded March 2017. - Quest: 1-5. Part1-5   Inner Door: 6-9. Part1-4 Outer Window: 10-13. Part1-4

(18/09/24)全曲ベース・ソロでバール・フィリップスの即興演奏と思われる。収録時間は43分ほど。録音当時83歳で、おそらくソロのアルバムとしては彼の最後のものになるのではないかとのこと。ECMらしく、静かな中でアルコ奏法とピチカート奏法その他を交えて、割とゆったりと進んでいきます。これまでの人生を見渡しているように聴こえますが、あるがままに音を発しているようでもあります。高齢の奏者のインプロヴィゼーションとしては、なかなか冴えていて、速いフレーズはないにしても、ベースの音色も良く、奏法的にもいろいろなアイデアで演奏して聴かせてくれています。確かに曲目通り、組曲的なドラマを感じます。こういう場はなかなか貴重。ただやはり聴く人を選ぶアルバムで、頭の上を素通りしていく人もいるかも。

2574

For 2 Akis/Shinya Fukumori(Ds) Trio(ECM 2574)(輸入盤) - Recorded March 2017. Walter Lang(P), Matthieu Bordenave(Ts) - 1. Hoshi Meguri No Uta 2. Silent Chaos 3. Ai San San 4. For 2 Akis 5. The Light Suite 6. No Goodbye 7. Spectacular 8. Mangetsu No Yube 9. Emeaude 10. When The Day Is Done 11. Hoshi Meguri No Uta (Var.)

(18/02/20)福盛進也作は、2、4、5曲目後半、7曲目、Walter Lang作は6、10曲目、Matthieu Bordenave作が9曲目、間に日本の滝廉太郎、宮沢賢治その他の曲がちりばめられています。日本の歌唱集のような印象だけど、意外にオリジナル割合が多い。メロディはあくまで優しく、そしてゆったりとした「ECMサウンド」で奏でられていて、これはどう見ても(聴いても)、ECMそのものとしての録音ですね。ただ、日本人が聴くのと、欧米人が聴くのとでは印象が違うと思います。欧米人からはある種の東洋のエキゾチックさというのものが、割と強く感じられるのでは。聴いた感じ、ゆったりしていて、ここではほんのりと温かみも感じられるような演奏で、しかも親しみのあるメロディ。これは強いですね。一度は聴いてみたい音楽。

2573

Unloved/Maciej Obara(As) Quartet(ECM 2573)(輸入盤) - Recorded January 2017. Diminik Wania(P), Ole Morten Vagan(B), Gard Nilssen(Ds) - 1. Ula 2. One For 3. Joli Bord 4. Unloved 5. Sleepwalker 6. Echoes 7. Storyteller

(17/11/22)タイトル曲の4曲目のみクリストフ・コメダ作で、他は全曲Maciej Obara作曲。彼はポーランド出身で、ECMでは初リーダー作なれど、他ではアルバムあり。前半テンポ感のあまりない、ゆったりした、時に盛り上がる演奏は北欧のジャズに近く、メンバーもノルウェー出身が混ざっていて、いかにもECMという感じの演奏です。むしろ安心して聴ける、その典型的な、やや寒色系でしっとり感のあるサウンドの1曲目。リズム的には多少変わるものの、北欧的な雰囲気のある曲が続きます。4曲目のコメダ作は、やはりメロディの強度があって、この曲は浮かび上がってきます。ところが5曲目は激しく、6曲目はフリー調からかなり盛り上がり。この5-7曲目あたりで、硬派な北欧的なジャズもやっていると、印象も軌道修正。

2572

Nahnou Houm/Jon Balke(Key)/Siwan(ECM 2572)(輸入盤) - Recorded January 2017. Mona Boutchebak(Vo), Derya Turkan(Kemence), Helge Norbakken(Per), Pedram Khavar Zamini(Tumbak), Barokksolistene: Bjarte Eike(Vln, Leader), Alison Luthmers(Vln), Oivind Nussle(Vln), Milos Valent(Viola), Per Buhre(Viola), TOrbjorn Kohl(Viola), Judith Maria Blomsterberg(Cello), Mime Brinkmann(Cello), Johannes Lundberg(B) - 1. Duda 2. Desmayer Se 3. Castigo 4. Del Rey 5. Ma Kontou 6. Nahnou Houm 7. Zem Zemeh 8. Aun Beniendo 9. Arco Y Flecha 10. Sin Nada Querer 11. Itimad

(17/11/21)SiwanのECM2作目、5曲目がアンダルシアのトラディショナルで、7曲目はメンバーのPedram Khavar Zaminiの打楽器の曲以外は全曲ヨン・バルケの作曲。11世紀から17世紀にかけてのスペインの詩を、曲にのせて歌っていますが、この時期はイスラム教からキリスト教にかけての時期ではなかったか。ヴォーカルはアルジェリア人。そのイスラムの音楽のような主要メンバーとバックの弦楽はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ベースと西洋のもの。でも旋律はアラブの味のところも。ヴォーカルのエキゾチックさと相まって、アラブと西洋の折衷的な民族音楽が繰り広げられています。スペインのアンダルシアも地域的、音楽的には興味深いので、これはバルケにしかなし得ないような、独特な世界観が広がっています。

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