(06/09/10)2曲ともStephan Micusの作曲で一人多重録音。長い曲が2曲で、尺八(1曲目)と彼独自の考案による多弦ギター(1曲目が10弦ギター、2曲目が14弦ギター)による演奏というのが特色。ギターのフレーズというよりは弦の振動の響き合いを大切にした奏法のようで、1曲目も、その響きがカラーを変えながらゆったりとせまってくるといった感じのサウンドで、尺八のメロディも長調が基調の温かみのあるのが特徴。ゆったり度はそのままで、ギターも淡々と時にアルペジオで、時にはメロディーで進んでいきます。ラストは尺八4重奏の穏やかな世界。2曲目は14弦ギターのソロで、スペイシーで幽玄なギターソロを聴かせてくれます。タイトルからも日本の旋律、あるいは日本情緒を意識したサウンドだと思います。
カテゴリ: JAPOレーベル
Listen To The Rain/Stephan Micus(All Instruments)(JAPO 60040)
(06/09/10)全曲Stephan Micusの作曲で一人多重録音。今回のアルバムは楽器はSuling、Tamboura、尺八、Dilrubasで、全曲にギターが入っているのが特徴(1-3曲目はギターが1台)。それゆえに、他のアルバムよりはシンプルでギター度の強いアルバムになっています。静かにはじまって、ギターのカッティングが主なサウンドとなってカラーも比較的同じに続き、笛(Suling)が素朴に透き通って絡んでいく1曲目、スパニッシュ・ギターを使い、哀愁の強い静かなフレーズが続いていくタイトル曲の2曲目、尺八が出てくると純日本風になってしまうのですが、マスターしていてその枯れ具合がいい、静かに、後半やや盛り上がり進行する3曲目、Dilrubaというインドの弦楽器も使用する、インド風味で幻想的な20分もの作品の4曲目。
Intergalactic Blow/Globe Unity Orchestra(JAPO 60039)
(19/12/18)JAPO三作目にしてGlobe Unity Orchestraの完全即興演奏。それをAlexander Von Schlippenbachがセレクトしたもの。そうそうたるメンバーが集まっての演奏なので悪くなないけど、やはり即興系が好きな人のための聴く人を選ぶオーケストラ・サウンドか。それにしてはある程度の決め事があるような物語性を見せています。メンバーごとに、あるいは時系列的に出るところと引くところをちゃんと打ち合わせているかのようなフリーサウンド。そこがまたいいのだと思いますが。録音としてはすでに’82年のものですけど、当時でもヨーロッパ・フリーはある程度受け入れられていたことの証明にもなりますね。ソロとバッキングの対比も面白いし、フリーの名手(そうでない方で有名な人もいますが)が集まると、こうなる。
(’19年7月より順次配信)
Wings Over Water/Stephan Micus(All Instruments, Vo)(JAPO 60038)
(06/09/10)全曲Stephan Micusの作曲で一人多重録音。ここではFlower Potsという花瓶を楽器にしたものを3曲(2-3、5曲目)で使用しています。5台のアコースティック・ギターとネイによる、明るさとエキゾチックさが入り混じったような不思議な情緒を感じる1曲目、素朴ながらパーカッシヴでもあって、そこに民族的なヴォーカルが絡んでいて無国籍的な味わいのある2曲目、沈んだ哀愁を持つスペイシーなギターが、フラワーポットと合わさりながら5拍子系のリズミカルな展開になり、再びギターで静かになる3曲目、ネイのソロで日本的な感じもする小品の4曲目、22のフラワーポットを使用して、ネイとの幻想的なサウンドに包まれる5曲目、主に弦楽器のその場で流れるようなフレーズが印象的でもある、笛も登場の6曲目。
Es Herrscht Uhu Im Land/Heiner Goebbels(Synth, P, Ss, Ts, Bs, Voice, Car Radio with Cassette Recorder, Accordion)(JAPO 60037)
(19/12/18)LP1枚分で21曲と多く、ヴォイスやナレーションも絡んでいるため、作詞。作曲者名は割愛。Heiner GoebbelsのECMでの後年の諸作を予想させるサウンドですが、パーカッションが出てくると思ったら、急に曲になったり、ヴォイスも様々な形で絡んでいて、しかもそこにフリージャズとかエレクトロニクスの要素も感じさせる、とにかく目まぐるしく内容が変わっていく実験作。よくこういう実験作が出たなあと思いますけど、その後何枚も彼がアルバムを出しているところ見ると、ヨーロッパではこういう内容がある程度受け入れられているのかな、と思います。ここでは現代音楽の実験作というよりは、フリージャズ寄りの実験作と感じますが、電子音楽とか、あちこちに現れるヴォイスなどで、枠にはまらないものを感じます。
(’19年7月より順次配信)
Musik/Contact Trio(JAPO 60036)
(19/12/17)Evert Brettschneider作が2曲目、Aloys Kott作が3、5曲目、2人の共作が1、4、6曲目。ドラマーが前作から交替してます。幻想的にはじまって、空間をある程度大切にしながら自由に、途中からはアップテンポの4ビートになる1曲目、アコースティック・ギターで情感豊かに静かな演奏が繰り広げられて、そこに時々ベースが絡む2曲目、えらくテンポのいいテーマとアップテンポの4ビートのアドリブの部分が、いわば新しいジャズの雰囲気でカッコいい、この曲はエレキベースの3曲目、少し懐かしいようで情景が浮かぶ感じのドラマチックな展開のある4曲目、ある意味ECM的な空間表現のような出だしから何となく8分の6拍子に行く5曲目、やや広い空間でドラムスが自由な中、流れつつ後半盛り上がる6曲目。
(’19年8月より順次配信)
Out Patients/Tom Van Der Geld(Vib)/Children At Play(JAPO 60035)
(19/12/17)1、5曲目がTom Van Der Geld作、2曲目がBill Elgart作、3曲目がRoger Jannotta作、4曲目がWayne Darling作。プロデューサーはスティーヴ・レイク。ややフリーがかっていて、テーマで少々盛り上がるも、混沌としつつ展開していく1曲目、ベース・ソロではじまり、その後は4ビートで何となくジャズ的に進んでいく、と思ったら急に後半急速アップテンポの4ビートで攻め、ドラム・ソロになる12分台の2曲目、穏やかな、しかも淡い感触のある、ゆったりとした温かみのあるバラードの3曲目、静かにはじまり、メンバーが自由に動いている中をヴァイブラフォンが、コードとメロディを決めて行き、後半サックスがスピリチュアルに盛り上がる4曲目、テンポが自由なのは相変わらずで、ドラマチックな盛り上がりがある5曲目。
(’19年7月より順次配信)
Solidarity/Peter Warren(B, Cello)(JAPO 60034)
(20/12/09)全曲Peter Warrenの作曲。ラスト5曲目の小品が彼のベースとチェロの多重録音の他は、1-2曲目が5人の、3-4曲目が4人の演奏。時期的にもなかなか興味深いメンバーで、やはり特に1曲目では’80年代初頭のジャズが繰り広げられている感じ。1曲目は曲がりくねったテーマから4ビートになってそれぞれのソロが興味深く、やはりジョン・スコフィールドのソロに耳が行きます。でもこの頃は意外に真っ当か。ジョン・パーセルは少し叫ぶようなところもありバップ的にも吹くサックス。持ち替えが面白い。ベースのテーマがいいバラードと思ったら少しドロドロ気味な2曲目、ジャック・ディジョネットはミステリアスで叙情的なバラードの3曲目ではピアノも弾いてます。8ビートでノリのいいとこからフリーにも向く4曲目。
Boundaries/Elton Deen(As, Saxello) Quintet(JAPO 60033)
4曲目が全員のインプロヴィゼーションの他は、エルトン・ディーン作曲。元「ソフト・マシーン」でのサックスの人ですが、やはりここではサウンド的にはフリー・ジャズにかなり近いニュアンス。サックスとコルネットの浮遊感のあるテーマを追うように自由なリズムやピアノが動きまわるフリーのサウンドのタイトル曲の1曲目、出だしのしっとりとしたピアノの上をホーンがゆったりと舞い、さらにピアノを含め全楽器が自由に寄り添うように進んで盛り上がり爆発する、12分台のフリーの2曲目、テーマの部分から全開になっている緩と急が同居している激しめの3曲目、混沌とした音世界を時に転がるようにフレーズが飛び交う4曲目、ピアノがフリー+マッコイ・タイナーのような動きをして激しいフリーにスパイスを入れている5曲目。(06年4月19日発売)
Cerberus/OM(JAPO 60032)
(19/12/15)2、6曲目が全員のインプロヴィゼーション、1、3-4曲目がChristy Doran作、5曲目がUrs Leimgruber作。そしてマンフレート・アイヒャーのプロデュース。心なしかECMサウンドに寄り添っているような気が。そんな雰囲気で割と静かにはじまり、すぐにアップテンポでスリリングな展開になったり静かになったりする1曲目、ECM的でもあって、ややまとまっている感じのフリーを演奏する2曲目、内省的でゆったりとした流れに身を任せるバラードの3曲目、浮遊感のあるラテンリズムでノリはいいんだけど淡彩色的なイメージがあり、中盤静かになってベース・ソロの4曲目、ややにぎやかながら、8ビートでどことなくスマートな面も持ち合わせている5曲目、静寂の中から湧き上がるような、それでも静かなフリーの6曲目。
他のアルバムのセレクトと一緒に、全曲が’06年にA Retrospective/OM(ECM 1642)として再発。